かつて「報道のニコン」と呼ばれたように、ニコンといえば新聞社など報道の分野で活躍するカメラを多数輩出してきたメーカー、というイメージを持つ人も多いでしょう。そのような硬派なイメージがあるニコンですが、意外にもコスプレイベントに出展。1対1で美人コスプレイヤーが撮影できるブースを設け、コスプレ写真ファンの注目を集めていました。
70万円のフルサイズミラーレスでコスプレイヤーを激写
5月11日と12日の2日間、池袋サンシャインシティ(東京都豊島区)でコスプレイベント「Ultra acosta!」(ウルトラアコスタ)が開かれました。有名コスプレイヤーが来場したほか、一般のコスプレイヤーが思い思いに自慢のコスプレを披露するなど、会場は若いコスプレファンで大いに盛り上がっていました。
そのようななか、カメラを抱えた人でにぎわっていたのが、ニコンイメージングジャパンが会場内に設置した「Nikon コスジェニックレッスン 春のUltraフォトブース」。ブース内では、最新のフルサイズミラーレスを使って人気コスプレイヤーを1対1で撮影できる、という魅力的な内容のイベントが開かれていました。
イベント初日の11日に参加していたコスプレイヤーは、ターニャさん、うらまるさん、ひのきおさんの3名。いずれも、SNSで多くのフォロワーを抱える人気の美人コスプレイヤーばかりです。
コスプレイヤー撮影体験で貸し出されていたのは、同社のフルサイズミラーレス「Z 7」「Z 6」の2種類でしたが、有効4,575万画素の上位モデルであるZ 7を選ぶ参加者が大半でした。交換レンズは、4月に販売が始まったばかりの大口径標準ズームレンズ「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」をぜいたくに装着。Z 7とこのレンズの組み合わせだと、実売価格は実に70万円に迫ります。普段なかなか体験できない組み合わせだけに、撮影体験の参加者も興味深そうにシャッターを切っていました。
コスプレイヤーの撮影体験は1人2分間の時間制限が設けられていましたが、普段カメラを扱い慣れた人が多かったようで、テキパキと撮影していました。Z 7なら、ライブビューでもファインダー撮影時と同じAF性能で撮れる点に着目し、腕を伸ばしてライブビューで撮影する人が見られました。
Z 7+24-70mmの描写に驚く
筆者も、Z 7を借りて3名のコスプレイヤーを撮影してみました。Z7の高画素とNIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sの解像力の高さが相まって、まつげの1本1本やカラコンの模様まで克明に描写されており、「ここまで写るのか!」と正直驚きました。
まずはターニャさん(@Tanya_JP)です。
続いてはうらまるさん(@uramaru_y)です。
最後はひのきおさん(@hinokio_q)です。
人物撮影では正確なピント合わせが重要となりますが、今回はすべて顔認識AFを利用したので、基本的にシャッターを押すだけという簡単さで撮影できました。ちなみに、Z 7とZ 6は5月公開予定の新ファームウエアで「瞳AF」に対応する予定ですが、今回は残念ながら試すことはできませんでした。
ブースでは、コスプレイヤーに本格的なカメラでの撮影を体験してもらうべく、デジタル一眼レフカメラを無料で貸し出すサービスも実施されました。貸し出されたのは、APS-Cセンサーを搭載したデジタル一眼レフカメラ「D7500」と「D5600」。交換レンズは、標準ズームレンズのほかに単焦点レンズ「AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G」も用意され、会場のさまざまな場所で一眼レフを用いた撮影を体験していました。
コスプレ撮影の楽しさを訴求するニコン
今回、ニコンがUltra acosta!にブースを設けたのは、同社がWebサイトで展開している無料のコスプレ撮影講座「コスジェニックレッスン」で学べる内容をリアルに体験してもらいたい、という狙いがあるそう。コスジェニックレッスンで撮影を担当しているフォトグラファーの山本哲也さんが来場していたので、コスプレ撮影のポイントをお聞きしました。
「一番のコツは、コスプレしているキャラクターが持っている特性を強く引き出して撮ることですね。元気なキャラクターならはつらつとした様子を大げさに表現してもらうとか、影のあるキャラクターだったらそれを強く表してみるということです。“キャラクターを強調する”という点が、一般的なポートレート撮影との違いといえますね」(山本さん)。
ニコンのコスプレイベントへの出展は、「となりでコスプレ博」に続いて今回で2回目だそう。しかし、まだコスジェニックレッスンを知らない人も多いとのことで、こうしたリアルイベントを通じてWebサイトでの取り組みも知ってほしいとのことでした。
ニコンは、ポートレート撮影に向くフルサイズミラーレス用の中望遠レンズ「85mm f/1.8」や大口径の望遠ズームレンズ「70-200mm f/2.8」を2019年中に投入する予定になっています。瞳AFへの対応と合わせ、「晴れのコスプレ姿をきれいに残すならフルサイズミラーレスでなきゃ」というトレンドにつながるかもしれません。
著者プロフィール
武石修
1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。