MAYA SYSTEMは13日、「クラウドSIM」を内蔵したスマートフォン「P6」を5月14日から発売します。海外でもクラウド経由で現地の通信契約を行い、安価にデータ通信が可能な仕組みです。
その場で契約してすぐに海外でのデータ通信が行えるため、旅行者やビジネスパーソンが海外用モバイルWi-Fiルーターをレンタルしなくても済むようにしたい、としています。端末価格は16,800円(税別)となっています。
MAYA SYSTEMのクラウドSIMは、サーバー上にSIMカード情報を保管し、そのデータを端末に配信してデータ通信を行うというものです。その場で契約できるという点はeSIMと似ていますが、技術的には異なるものです。それでも、結果として海外でのデータ通信を安価に行える仕組みです。100カ国以上をカバーし、日本人の旅行先の99%以上で通信ができるとしています。
海外でのデータ通信は、「日本の契約の海外ローミングを使う」、「海外用Wi-Fiルーターをレンタルする」、「プリペイドSIMを購入する」、といった手段があります。日本の大手キャリアのローミングは、980円/1日に加えて日本のデータ通信容量を消費するプランが一般的です。海外用Wi-Fiルーターは、MAYA SYSTEMによれば1日300MBで680円が一般的といいます。
それに対してクラウドSIMを使った場合、1日300MBで380円~という価格に収まります。訪問する国や地域、日数などによって料金は変動するので一概には言えませんが、レンタルすることによる受け取り、返却の手間や破損弁償の危険性などを踏まえて、MAYA SYSTEMはクラウドSIMのメリットをアピールしています。
一般的には、現地のプリペイドSIMが最安というのが一般的ですが、買いに行く手間もあり、SIMフリーの端末も必要です。クラウドSIMはこうした一手間をかけず、日本で契約しておけば現地ですぐにデータ通信ができるというメリットがあります。
クラウドSIMは現地のマルチキャリアに対応しているので、電波が悪いときは、アプリからネットワーク切り替えを行うことができるようになりました。より電波強度の高いネットワークに切り替えてくれるので、単一キャリアと契約するプリペイドSIMよりも広範囲で安定した通信ができる可能性もあります。
Wi-Fiルーターをレンタルする層に対して訴求したい考えで、16,800円のスマートフォン代が最初は必要になるものの、その後は通信料金が安価になるため、頻繁に海外に行く人は特に有利になると強調しています。
jetfon P6は、MAYA SYSTEMが買収したFREETELブランドのスマートフォン「Priori」の後継機種で、「Priori 6」として位置づけています。既存のPrioriユーザーはなおいるため、こうしたユーザーに対しては後継機種として案内していきたい考えです。そうした点もあって、今回のP6はjetfonだけでなく、「FREETEL P6」という2つのブランドで販売します。
機能などはすべて同様で、FREETEL P6でもクラウドSIMの利用は可能です。物理SIM用にデュアルSIMスロットを備え、国内3キャリアのネットワークに対応。16,800円という価格ながら、DSDV(Dual SIM / Dual VoLTE)に対応しており、NTTドコモとソフトバンクのVoLTEが利用できます。
スペックとしては、SoCに初代priori以来というSpreatrumを採用。メモリは2GB、ストレージは16GBで、ディスプレイは5.7インチ18:9HD+液晶を搭載します。背面には測距用カメラを備えたデュアルカメラ。バッテリー容量は3,400mAhとなっています。
価格は16,800円ですが、jetfon P6の購入者は、2020台限定で海外2GB(30日間)および国内20GBのいずれかをプレゼントするキャンペーンを実施。5月14日から6月13日までの期間に購入し、2020年5月末までに利用開始すればプレゼントを受け取れます。
FREETEL P6では、早期発売特典として事前購入限定の14,800円(500台限定)で提供。さらにMVNOのOCNモバイルONEのSIMとセット購入すると端末代金が980円になるキャンペーンも実施します。
またMAYA SYSTEMでは、クラウドSIMを内蔵したIoT/M2Mモジュールも今後提供します。これを端末に内蔵すれば、クラウド経由で通信情報を書き込んで通信が行えます。監視カメラなどの監視、グローバルな荷物追跡など、さまざまな製品に組み込んで、世界で通信が行える点をメリットとしています。
既存のスマートフォンメーカーとも折衝しているとのことで、通常のスマートフォンにクラウドSIMを内蔵した形で提供される可能性もありそうです。