JR北海道は10日、国土交通省へ鉄道事業の旅客運賃・料金の上限変更認可申請を行ったと発表した。消費税率が引き上げられる2019年10月1日を実施予定日とし、同社の旅客運輸収入全体で11.1%(税抜9.1%)の改定を申請。増収額として年間40億円を計画しているという。

  • 新千歳空港駅発着の快速「エアポート」

運賃・料金改定の目的として、鉄道事業収入が伸び悩む中、安全投資と修繕に関する費用を確保することで毎年400億円規模の営業赤字が発生する収支構造となっており、今後も安全確保の経費を確保しつつ、「鉄道の競争力を維持すべく輸送サービスの向上」「ご利用が少なく鉄道を持続的に維持する仕組みの構築が必要な線区の維持」を図るためと説明。同社の最大限の経営努力を前提としており、具体的には業務効率化や資材調達方法の見直し、工事費の低減、さらに「快速エアポートの増発と733系車両への更新」「特急列車の新型車両への置き換え」「多目的車両の導入」を挙げている。

普通旅客運賃は平均で15.7%(税抜13.6%)の改定を行う予定。運賃改定が認可された場合、営業キロ100kmまでの運賃について、賃率によらない「対キロ区間制運賃」(距離をいくつかの区分に分割し、区分ごとに運賃を定める方法)を導入する。

札幌駅から乗車した場合、桑園駅・苗穂駅までの運賃(初乗り運賃)は現行の170円から200円となり、30円の値上げに。その他、琴似駅・白石駅まで現行の210円から250円、発寒駅・平和駅まで現行の220円から290円、手稲駅・新札幌駅まで現行の260円から340円、小樽駅・石狩当別駅まで現行の640円から750円、岩見沢駅・千歳駅まで現行の840円から970円、苫小牧駅まで現行の1,450円から1,680円に値上げされる。

新千歳空港駅までの運賃に関して、空港アクセス輸送開始の設備投資にかかるコストに充てるため、加算運賃140円を収受していた。利用者数が堅調に推移し、加算運賃収入などで設備投資額等の回収が順調に進捗(2017年度末時点で回収率85.3%)したことから、運賃改定が認可された場合、加算運賃を20円に引き下げる届出を行う予定。札幌駅から新千歳空港駅までの運賃は現行の1,070円から1,150円となり、札幌~千歳間の値上げ額130円に対し、札幌~新千歳空港間の値上げ額は80円に抑えられる。苫小牧駅から新千歳空港駅までの運賃は現行の680円から660円となり、20円の値下げとなる。

営業キロ101km以上の運賃は現行と同様、キロ数に賃率を乗じて算出するが、200kmまでに適用する賃率は1.1倍程度の引上げとなる。営業キロ201km以上に適用する賃率は据え置くとのこと。普通旅客運賃の改定にともない、定期旅客運賃も平均で22.4%(税抜20.1%)の改定を申請。定期旅客運賃の割引率は現行のままとする。

特急料金・座席指定料金などの料金は消費税率引上げの分のみ転嫁し、増収を目的とした改定は行わない。特別企画乗車券については、今回の運賃改定が認可された場合、届出を行う予定とされている。