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【この記事のエキスパート】
防犯アドバイザー:京師 美佳

防犯アドバイザー:京師 美佳

学校卒業後百貨店のエレベーターガール、商社の営業職に就き、2001年3月錠前師資格取得。

町の鍵屋さんではなく、トータル防犯アドバイザーを目指し、セキュリティ企業へ就職。

法人営業部の責任者を務める中、2002年10月 防犯設備士取得。

その後は、防犯ガラスメーカーに勤め、セキュリティ事業部長、そして、防犯アドバイザーとして、防犯診断や電話での相談受付、セミナーなど、幅広く活動を行う。

2005年5月独立。京師美佳セキュア・アーキテクトを設立し、2009年11月には、一般社団法人全国住宅等防犯設備技術適正評価監視機構理事に就任し、現在も、講演、テレビ、新聞、雑誌など、多方面で防犯の啓蒙活動を展開中。


防犯のために設置しておきたい玄関補助錠。ドアの内側に設置するタイプもあり、賃貸住宅でも穴あけ工事不要で簡単に後付けできます。勝手口の防犯にもおすすめ。この記事では、玄関補助錠の選び方とおすすめ商品をご紹介します。引き戸・かぶせ扉対応も。チャート図に基づいたタイプ別診断も試してみてくださいね。

玄関補助錠を取り付けよう
ワンドア・ツーロックで防犯対策!

玄関補助錠を取り付けた状態をワンドア・ツーロックといいます。侵入者に狙われやすい侵入口はドアや窓などがありますが、4階建以上の住宅で約57%(令和元年時点)を占めるのが玄関からの侵入です。開錠方法には、特殊工具を用いるピッキングやドアに穴を開けて内側のロックを外すサムターンまわしがあります。

戸建てや3階建以下の住宅でも窓や玄関からの侵入被害は多いため、警察庁では防犯対策のひとつに玄関補助錠の取り付けを推奨しています。防犯対策のためにドアに適した玄関補助錠を選んで取り付けましょう。

取り付け方法や開錠タイプなど
玄関補助錠の選び方

防犯アドバイザーの京師美佳さんに、玄関補助錠を選ぶときのポイントをご紹介します。ポイントは以下のとおりです。

【1】簡単に取り付けられるものを選ぼう
【2】取り付け方法をチェック! 目的に合ったタイプを選ぼう
【3】防犯性にすぐれた開錠タイプを選ぼう
【4】取り付けるドアの開き方をチェックしておこう
【5】シリンダー補助錠ならCP(防犯建物部品)錠を選ぶ

上記のポイントをおさえることで、あなたに合った商品を見つけることができます。ぜひ参考にしてみてください。

【1】かんたんに取り付けられるものを選ぼう

玄関補助錠には取り付け工事が必要なものもあります。防犯対策のためなら仕方ないのかもしれませんが、原状回復義務がある賃貸物件では、工事による取り付けが難しいでしょう。

賃貸物件やドアにキズをつけたくないときは、工事不要の玄関補助錠が便利です。両面テープ式やドア枠を挟みこむタイプ、シリンダーに差し込むタイプがあり、日曜大工程度のスキルがあれば簡単に取り付けられます。

ただし、サムターンまわしには有効ですが、ピッキングでは防犯性が低くなります。住環境やドアの形態などをふまえて選んでください。

【ポイント!】開錠するのに時間のかかるものを選ぶ

【エキスパートのコメント】

泥棒は侵入するのに5分以上かかれば、その約7割が諦めるという警察庁のデータ(※)があります。泥棒が侵入するのに時間がかかるような鍵を選ぶことが大切です。

理論上、開かない鍵は存在しません。だからこそ、開錠に時間がかかりそうだと泥棒に侵入を諦めさせることが重要です。ふたつ以上つけることが有効ですが、鍵自体も開錠の難しいものや壊すのに時間のかかるようなものを選ぶとより安全です。

(※)出典:(財)都市防犯研究センター

【2】取り付け方法をチェック! 目的に合ったタイプを選ぼう

玄関補助錠にはドアの外側につける外付けタイプと、内側に取り付ける内付けタイプ、ドアに穴を開けてネジで固定する面付けタイプがあります。目的に適した玄関補助錠を選べるように、それぞれのタイプについて解説します。

外付けタイプ|防犯対策アピールに

出典:Amazon

ドアの外側に取り付ける外付けタイプの玄関補助錠は、見た目にもふたつの鍵がついているとわかります。「防犯対策をしています」といったアピールになるため、見た目にも抑止力があります。しかし、対策がされていないドアや窓が狙われてしまう可能性もあるため、勝手口や窓が多い戸建て住宅には向いていないでしょう。

また、つねに見えていることから、ダイヤル式や暗証番号など補助錠のタイプが知られてしまいます。防犯性を高めるには、補助錠にピッキング対策をされた商品や数を増やすといいでしょう。

内付けタイプ|ひとり暮らしに便利

出典:Amazon

内付けタイプの玄関補助錠は、外出時ではなく在宅時の防犯対策にぴったりです。とくにひとり暮らしは犯罪者から狙われやすいため、在宅時や就寝時の防犯対策にぜひ取り入れましょう。賃貸物件で主流のU字ロックやドアチェーンは、防犯性が低いため、ドアにしっかりと固定できるものがよいでしょう。一緒にサムターンカバーを取り付けておくと、サムターンまわし対策もできます。

また、介護中のご家族の夜間徘徊にお困りの方は、暗証番号で開錠する内付けタイプの商品が便利です。

面付けタイプ|取り付け工事が必要

出典:Amazon

面付けタイプの玄関補助錠はドア枠やドアに穴を開けて取り付けるため、基本的に業者による取り付け工事が必要です。サムターンまわし対策やピッキング対策としてはもちろん、バールによるこじ開けやドリルなどによる鍵穴壊し対策にもなるなど防犯性にすぐれているのが特徴です。

工事費用はかかりますが、店舗や事務所などの防犯対策の強化に適しています。

【ポイント!】賃貸物件など住環境によって選ぶ

【エキスパートのコメント】

賃貸物件では、オーナーの許可なく補助錠を設置することができない場合が多いです。現状復帰ができればよい、電子錠などの場合はそのまま残していくならよいといったケースもあり、オーナーに確認してみないと補助錠が設置できるかどうかはわかりません。

賃貸物件であれば、工事不要の商品を選ぶと楽です。ただし、ドアの形態によっては設置できない補助錠もありますので、ご自身の住環境に合った商品を選んでください。

【3】防犯性にすぐれた開錠タイプを選ぼう

防犯性にすぐれた玄関補助錠を選ぶために、知っておきたい開錠方法について解説します。

ディンプルキー|ピッキング対策に

鍵というと両端や片側にギザギザが刻まれている形状が主流です。ギザギザが多いほどピッキング対策を強化できますが、時間があれば開錠できてしまいます。しかし、ディンプルキーはギザギザが刻まれていないため、鍵師でも開錠には時間を要します。

そのため、ピッキング対策を強化したいなら、ディンプルキーを選びましょう。また、ディンプルキーの合鍵を作るときは、メーカーへの届け出が必要です。かんたんに合鍵を作れないことからも防犯性にすぐれているといえますね。

暗証番号(ダイヤル)式|キー不要で便利

出典:Amazon

暗証番号を入力して開錠する玄関補助錠は、鍵を持ち歩かなくていいため紛失リスクがないというメリットがあります。電池や電気配線工事が必要なタイプの補助錠は、導入費用がかかるうえに電池が切れてしまうと暗証番号による開錠ができなくなるため、注意しましょう。

南京錠タイプなど工事不要の玄関補助錠なら、導入費用を抑えることが可能です。

リモコン式|高齢者や子どもがいるご家庭に

出典:Amazon

リモコン式の玄関補助錠も暗証番号式と同じで、鍵の紛失リスクがありません。また、商品によっては手が届きにくいドア上部へ取り付けることが可能です。また、合鍵を作るにはメーカーや施工店に登録が必要なため、防犯性にすぐれています。

ドアの内側からの操作もできるため、高齢者や子どもがいるご家庭の防犯対策にぴったりです。粘着シートで貼り付ける工事不要なタイプもあるため、賃貸物件でも取り付けられます。ただし、電池切れや故障などのリスクがあるため、メーカーによるサポートがあるか確認しておきましょう。

スマートキー式|スマホなどで開錠できる

出典:Amazon

ICカードやスマートフォン操作、指紋認証などにより開錠できるタイプがスマートキーです。普段必ず持ち歩いているものを使うため、鍵を忘れたり失くしたりする心配がありません。

中には、遠隔からアプリやWi-Fiを利用して鍵の操作ができるものも。ただし、バッテリー式で電池交換の手間がかかります。

【ポイント!】自分に合ったタイプ・開錠方法を選ぶ

【エキスパートのコメント】

まずは自分に合った開錠方法や色、形など好みのものを選ぶとよいでしょう。とくに開錠方法に関しては、今ある鍵にもうひとつシリンダー錠を増やしたり、電子錠を設置したりするものなど、さまざまなタイプがあります。

電子錠も番号を押して開けるもの、カードやチップをかざすもの、指紋で開けるもの、スマホやSuicaなどの電子マネーを登録して鍵として使用するものなどバラエティに富んでいます。

ですが、指紋の薄い方には指紋錠は使いにくいでしょうし、若い方ならデザイン性やスマホが鍵になるといった機能がほしいという方もいるでしょう。自分に合った開錠方法で選ぶことをおすすめします。

【4】取り付けるドアの開き方をチェックしておこう

玄関補助錠はドアの開き方によって、取り付けられる商品が変わってきます。海外では内開きドアが主流ですが、日本では玄関で靴を脱いで室内へあがる習慣があるため、外へ押して開く外開きドアが主流です。また、戸建て住宅には玄関スペースの関係から、引き戸をつけている住宅もあります。

また、外開きドアでもかぶせ扉は、商品によって取り付けられないこともあります。防犯対策に適した玄関補助錠を選ぶためにも、購入前にドアの開き方や種類を確認しておきましょう。

【5】シリンダー補助錠ならCP(防犯建物部品)錠を選ぶ

出典:楽天市場

とにかく開錠するのに時間がかかるものを選ぶことが防犯上よいのですが、その基準として「CPマーク」というものがあります。

CPマークは警察庁、国土交通省、経済産業省が認定試験を行なって、5分以上泥棒の開錠攻撃に対して耐えられる商品に与えられます。CPマークのついた補助錠は防犯上、信頼できる商品といえるでしょう。

鍵の他にも、ガラスやサッシなどさまざまな商品がCPマークの認定を受けています。家を建てる際には、できるだけCP部品をお使いください。

選び方のポイントはここまで! では実際にエキスパートが選んだ商品は……(続きはこちら)