メルカリのスマホ決済「メルペイ」が、ゴールデンウィークに「50%還元」を打ち出し、話題を呼んだ。また、連休中には若者がひっきりなしに行き交う原宿の竹下通りをジャックし、メルカリとの相乗効果を狙ってきた。
キャッシュレスの波に乗り、多くのスマホ決済がひしめく中で、メルペイは後発組だ。だが、他の事業者にはない特色を出すことで、着実にその距離を詰めてきている。
原宿・竹下通りが「竹下メルペイ通り」に
メルカリの100%子会社としてスマホ決済を展開するメルペイは、2月13日のサービス開始後、4月17日には登録者数が100万人を突破。先行する各社に比べてまだまだ規模は小さいものの、わずか63日で大台に乗せてきた。
さらにゴールデンウィークには2500ポイントを上限とした「50%還元」を実施。景品表示法による規制との兼ね合いを心配する声も上がったが、メルペイでは「法的に問題ない」と説明した。
主なターゲットはフリマアプリ「メルカリ」ユーザーの若者だ。連休中は原宿の竹下通り商店会と組んだ「竹下メルペイ通り」キャンペーンを実施。約80店舗がメルペイでの支払いに対応した。
人気クレープ店「マリオンクレープ」の場合、竹下通りの店舗では現金のみの取り扱いだったが、初めてのキャッシュレスとしてメルペイに対応した。メリットとして「現金を扱う手間が減る」ことを挙げた。メルペイは店側に1.5%の手数料がかかるものの、それを考慮してもなおメリットが上回るという。
また、カラフルなわたあめで有名な「TOTTI CANDY FACTORY」(トッティキャンディファクトリー)は、店頭でメルペイ対応を大きくアピール。200円引きの特典を提供していた。連休中のキャンペーン終了後も、メルペイは続けていくという。
今回、一度に80店舗がメルペイを導入できた背景には、メルペイがQRコードやバーコードを用いた「コード払い」と、FeliCaを用いた「iD」の両方に対応している点がある。すでにiDを導入していた店ではそのまま利用でき、iDを導入していない店ではタブレット端末で簡単にコード払いに対応できるのだ。
各店舗では、メルペイ以外のスマホ決済やクレジットカードの導入も検討を進めていくという。すでに訪日外国人などからクレジットカードの要望は増えているとのことから、メルペイをきっかけにキャッシュレス対応が進むことを期待したい。
後発ながら、メルカリを中心とした独自の強みあり
国内のスマホ決済ではPayPayやLINE Pay、楽天ペイが先行している。後発のメルペイに勝ち目はあるのだろうか。
大きな強みとなるのが「メルカリ」アプリの存在だ。アプリをゼロから展開するにはPayPayのように莫大な投資が必要だが、メルペイは広く普及しているメルカリのアプリをそのまま利用できる。さらにはiPhoneの「Apple Pay」に対応しているのも強みだ。
フリマを利用するには金銭の授受が付きもの。他のスマホ決済ではクレジットカードや銀行口座を紐付ける手間がかかるのに対し、メルペイはフリマの売上金を支払いに利用できる。
4月23日からは、他の事業者にはない「メルペイあと払い」も始まった。審査による限度額の範囲内で、残高を超えて支払いができる。1カ月300円の手数料はかかるものの、いざというときにチャージする手間が省けるのは便利な場面がありそうだ。
店舗展開にも期待がかかる。全国のiD対応店舗で利用できるほか、これから開拓していくコード払いではLINE Payと提携、初夏には加盟店を相互開放する予定となっており、一気に対応店舗が増えることが予想される。
先行する各社が踏み込めていないセブン-イレブンで、連休中に驚異の「70%還元」を実現するなど、メルペイ独自の動きもある。メルカリユーザーを原動力に、他の事業者にはないユニークな施策でどこまで追い上げてくるか、注目したい。
(山口健太)