5月7日(米国時間)、AMDはORNL(米オークリッジ国立研究所)が2021年度に導入を予定するスーパーコンピュータシステム「Frontier」を同社とCrayによるシステムが受注したと発表した(Photo01)。

  • Photo01:Frontier想像図

FrontierはORNLが2021年度からの運用開始を予定していたExascaleのシステム。ORNLは現在「Titan」(Opteon+Keplerの27TFlopsのシステム)に加えて、「Summit」(POWER9+Voltaの200PFlopsのシステム)を運用しているが、FrontierはこのSummitの後継機種として、これまで選定が進められていた。

Frontierの導入は2021年中に開始し、運用は2022年後半からになるという。スケジュール表には「1,000PFを超える性能」とあり、AMDのプレスリリースでは1.5EF(1,500PF)を超える性能をターゲットとすると記載されている。ちなみにDOE(米エネルギー省)との契約金額は6億ドル以上とされている。

  • Photo02:導入スケジュール。CYはCalender Yearで、丁度現在が"Award contract"に相当する

今回の発表では、詳細な構成は明らかにされていないが、AMDによればFrontierはHPC向けにカスタマイズされたEPYC(Photo03)とRadeon Instinct(Photo04)を1:4の比で組み合わせた構成(Photo05)で導入するという。

  • Photo03:これが次のRomeなのか、それとも7nm+を利用するMilanなのかは不明。タイミング的にはMilanか、下手をするとその次の世代でも間に合うかもしれないが

  • Photo04:これも現行のVEGA 7nmのままということはあり得ず、Naviもしくは7nm+を使う"Next-Gen"ベースのものになるかもしれない

  • Photo05:Radeon INSTINCT同士だけでなく、EPYCとRadeon INSTINCTもInfinity Fabricで接続されることになる

このCPU+GPUが恐らくは1つのノードとなり、ノード間はCrayのSlingshotで接続されると思われる。

DOEは2019年3月にANL(米アルゴンヌ国立研究所)に1EFの性能を持つAurora(厳密に言えばAurora改)について、Intel/Crayと契約を結んだが、Frontierに関してはそのままIntelとの契約にはならなかったというのはなかなか興味深い状況である。

2021年の導入開始目指し、IntelとAMDの新たな戦いが始まった、というわけだ。