高見泰地叡王に永瀬拓矢七段が挑戦する第4期叡王戦七番勝負第3局が5月4日、長崎市「史跡料亭 花月」で行われ、永瀬七段が勝ってシリーズ成績を3-0とし、初のタイトル奪取にあと1勝と迫りました。
運命の第4局は5月11日
対局は永瀬七段の先手で、昔から指されている「矢倉戦法」へと進みましたが、両者とも旧来の金2枚、銀1枚を密集させ玉をしっかり守る形ではなく、最近の流行である金銀を自陣に広く配置する「バランス重視」の形を選択しました。途中まで先手と後手の形が全く同じというやや珍しい序盤戦から永瀬七段が先攻、最後まで攻めの姿勢を崩さず押し切りました。
永瀬七段はこれがタイトル戦登場3回目。3連勝で初戴冠のビッグチャンスを迎えたわけですが、これまでのタイトル戦でも、いずれも「勝てば初戴冠」のチャンスがあったのです。
2016年度の第87期棋聖戦五番勝負では羽生善治棋聖(当時)を第3局まで◯●◯の2-1と追い詰めましたが、第4局、第5局を連敗し敗退。また2017年度の第43期棋王戦でも、渡辺明棋王に対し第4局まで●◯●◯の2-2とし、第5局に勝てば初タイトル獲得でしたが惜しくも敗れています。若手ながら番勝負の怖さは身にしみているはずです。今回は七番勝負、棋士人生初の3つのアドバンテージを握る状況となりましたが、より一層気を引き締めて第4局に臨むことでしょう。
高見叡王は苦しくなりました。対局の様子を中継していたニコニコ生放送では、終局後に落胆しているような姿が映し出され、やや気掛かりではありますが、第4局に勝てば第5局、と第6局、1日に2対局が行われる持ち時間1時間制の戦いに持ち込めます。後のない状況ですがとにかく先手番の第4局に勝って、3-0から2日で3-3に持ち込める他棋戦にはないルールを活かすよりありません。過去に2例しか発生していない七番勝負における3連敗4連勝の達成者となれるか。
永瀬七段の4-0奪取か、高見叡王が踏みとどまるか。注目の第4局は5月11日、広島県廿日市市「みやじまの宿 岩惣」で行われます。