研修期間はリクルートスーツの新入社員もいますが、仮配属が決まるころにはそういう訳にもいきません。正解がひとつに絞りづらい女性のビジネスファッション。季節や職場方針に応じて正解は変わります。アイテムの幅が広いからこそ楽しむこともできるでしょう。
とはいえ、「それはやりすぎだろう!」とツッコミたくなるような新社会人が、あなたの周りにいるのではないでしょうか。
のべ4,500人を超えるビジネスマンの買い物に付き添いトータルコーディネートのお手伝いをする服のコンサルタントが、「社会人としてNGな服装」についてお伝えします。
ショートパンツで周囲がざわつく
「ショートパンツをはいてきた元・読モの新入社員。制服に着替えるので業務に問題ないが、会社のロビーで誰もが釘付けになり、彼女が去った後は周囲がざわついた」(40代女性/事務・企画関連)
通勤は私服OKとはいえ、「その印象が同僚にどんなメッセージを伝えるか?」という視点がポイントです。「個性の演出」より「コミュニケーション」として服装を捉えたとき、選ぶアイテムも確実に変わるはずです。
制服がある会社にお勤めの方は、通勤服で油断しがち。オフィスにふさわしい印象は、男女問わず「清潔感」です。色気はプラスどころか、オフィスではマイナスに働きます。私服通勤OKでも油断はできません。
生足勤務はどうなの
「ストッキングを履いていない女性社員がいた」(40代女性/事務・企画関連)
OLさんにとっては常識ですが、新入社員は理解していないかもしれません。スーツや制服を着用する場合、ストッキングは必須アイテムです。ファンデーション同様、身に着けることで肌が整い足をキレイに見せてくれるからです。また、スーツや制服に合わせる靴「パンプス」に欠かせません。
カジュアルファッションを愛する方にとっては、ストッキングを履く機会が多くはないでしょう。ですが、社会人のたしなみとして必須アイテムだったのです。
「網タイツ」は有りか無しか
「網タイツで出社した女子」(40代男性/事務・企画関連)
生足NGとはいえ、当然ながら網タイツもNGです。厳密にいえば、網タイツというより柄物・色物のストッキング・タイツもオフィスには不要です。ストッキングは自分の肌に近い色、迷ったときはワントーン暗めに選ぶと印象が締まります。柄・色がないベーシックなストッキングを選びましょう。
ビジネスカジュアルの捉え方
「複数の新人女子社員が、ビジネスカジュアルとしてミニスカートに生足、サンダルで出勤」(50代男性/事務・企画関連)
会社・職種によって許容範囲は変わります。ここで重要なことは「ビジネスカジュアルという言葉の定義が、人によってちがう」ということです。職場の先輩の服装を見ながらアイテムの境界線を見極めましょう!
お客様対応の可能性がある場合、一般的にジャケットが推奨されています。というのも、来客のビジネスマンがスーツを着ている可能性が高いからです。同席される女性だけカジュアルな服装ではアンバランスに見えてしまいます。
といっても、女性ジャケットはバリエーションが豊富です。ノーカラーからスタンドカラーまで、襟型によってその印象は別物。一方、完全内勤の場合、ジャケットに準ずるジャケット風カーデガンもオフィスに最適です。
ワンピースのおすすめ
「派手なワンピース」(30代女性/サービス関連)
ワンピースはとても便利なアイテムですが、ドレスライクなものからカジュアルなものまで雰囲気は変わります。素材の質感は、このドレス感を見極めるうえでポイントです。
綿・麻のゴワっとした素材はカジュアルに見えますし、光沢感が強すぎる質感ではドレスに寄ってしまいます。その中間にあるレーヨン・ナイロンなどのテロっとした素材のワンピースがオフィスには合わせやすいでしょう。
セミナー講師として人前に登壇する職種でもなければ、基本的には紺・オフホワイト・グレーあたりがオフィスカジュアルとして使いやすいです。アクセントとなるグリーン・オレンジなどを取り入れる際は、ジャケットを羽織ることでバランスを取りたいところです。
また、色を取り入れたいときはカーデガンや靴など面積が小さいものに絞ってみてはいかがでしょうか?
肌の露出には要注意
「暖かくなるとノースリーブなど露出度が高い服装で出社」(60代男性/事務・企画関連)
企業で身だしなみ研修を担当するとき、打ち合わせの段階でよくでる話題です。「暖かくなってきたとき、ドレスコードの基準が分からなくなる」というもの。
ノースリーブのような腕が露出する服は、「女性らしさ」というより「色気」に直結するため職場ではふさわしくありません。男性社員が目のやり場に困ってしまうからです。ノースリーブのインナーを身に着けるときは、カーデガンを合わせ肌の露出をコントロールしましょう。
趣味全開のアクセサリー
「ブランド物のアクセサリーをこれ見よがしに付ける」(30代女性/事務・企画関連)
アクセサリーの取り入れ方はセンスが問われます。華美なものはオフィスにはふさわしくないからこそ、シンプルなデザインを取り入れましょう。ネックレスはじめ、アクセサリーは目立つからこそ、主役として扱うのではなくコーディネートの脇役として活かせるデザインを選びます。
「頭にねこのバレッタを着ける」(30代女性/事務・企画関連)
髪留めも含め、主張が強いアイテムがプラスにならないビジネスファッションの世界。デザイン性が強すぎるものが良いとはいえない環境です。シンプルでベーシックなアイテムを中心として、小物は軽めにワンポイント加える程度がねらい目です。そして、清潔感を目指して全身のコーディネートを整えましょう。
著者プロフィール: 森井良行(もりい・よしゆき)
エレガントカジュアル 代表取締役
20代後半から40代の男性のファッションを「エレガントカジュアル」でワンランクアップさせる「服のコンサルタント」。 街のセレクトショップを歩き、顧客に試着を繰り返してもらいながら、その人に最も似合う服を探していく独自の「買い物同行」は9割以上の高い満足度を誇る。著書『毎朝、迷わない! ユニクロ&ツープライススーツの上手な使い方』 (WAVE出版)