京王電鉄は26日、鉄道事業において2019年度に総額297億円の設備投資を行うと発表した。座席指定列車「京王ライナー」のさらなる運行拡大をめざし、5000系を1編成増備するほか、京王線8000系・井の頭線1000系の車両リニューアルなども実施する。

  • 座席指定列車「京王ライナー」でも活躍する5000系。既存の5編成に加え、新たに1編成増備される

京王線の最新車両5000系は現在、計50両(10両編成×5編成)が在籍。ロングシート・クロスシートに転換できる座席を備え、座席指定列車「京王ライナー」としても活躍している。今年2月から朝の時間帯にも「京王ライナー」が設定され、現在は朝に京王八王子発新宿行1~2本・橋本発新宿行2本、夕方以降に新宿発京王八王子行5~6本・新宿発橋本行5~7本を運行中。5000系を新たに1編成(10両編成)増備することで、「京王ライナー」のさらなる運行拡大をめざす。

車両のリニューアル工事は今年度、京王線8000系の3編成(計26両)、井の頭線1000系の3編成(計15両)で実施。車体改修に合わせ、車いす・ベビーカースペースを全車両に拡大する。あわせて車内防犯カメラの設置(8000系3編成、1000系3編成で実施)、VVVFインバータ制御装置の更新(8000系3編成、1000系3編成で実施)、英語に対応した車内自動放送装置の導入(8000系2編成、1000系3編成で実施)、車内液晶ディスプレイの2画面化(1000系3編成で実施)なども予定している。

京王線8000系の13編成でLED化工事も行われる。前方監視カメラの設置が推進され、京王線は2019年度中、井の頭線は2020年7月までに全編成で設置完了予定とのこと。

  • 車両リニューアルにより、車いす・ベビーカースペースが全車両に拡大される(写真は井の頭線1000系)

  • 2画面化したドア上の液晶ディスプレイ

  • より省エネ性能の高いVVVFインバータ制御装置への更新により、運転用電力が削減される

  • 防犯対策として車内防犯カメラや踏切監視カメラなどの設置も推進

  • 前方監視カメラは京王線・井の頭線の全車両に設置される予定

今年開催されるラグビーワールドカップをはじめ、国際的なスポーツイベントに向けた駅ホームの整備や防犯対策も実施する。東京スタジアム(味の素スタジアム)や武蔵野の森総合スポーツプラザの最寄り駅である飛田給駅で改修工事を行い、防犯カメラの増設・更新、ホームドアの設置も予定している。新宿駅新線口では旅客トイレの改修工事に加え、改札外の段差解消用としてエレベーターの新設工事が進められる。

その他、仙川駅、分倍河原駅、橋本駅のホームの一部に転落防止固定柵、京王稲田堤駅1番線ホームに転落防止ゴムを設置し、計12駅でホーム縁端部の視認性向上を目的とした注意喚起ラインが施工される。若葉台駅で旅客トイレの改修工事を進め、各駅のトイレの洋式化も引き続き実施。京王八王子駅・稲城駅などでホーム・コンコース照明のLED化を推進する。新宿駅の行先案内盤や各駅に設置した案内ディスプレイにおいて、平時・異常時情報における多言語案内の拡充も図る。

  • 新宿駅新線口の旅客トイレが改修され、エレベーターも新設

  • 転落防止固定柵(写真は東府中駅)

  • 転落防止ゴム(写真は聖蹟桜ヶ丘駅)

  • 注意喚起ライン(写真はつつじヶ丘駅)

  • 多言語対応の案内ディスプレイ(イメージ)

  • 駅舎補助電源装置のしくみ(駅設置の例)

  • 京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業における事業区間の縦断図

若葉台車両基地において、車両がブレーキをかけた際に発生する回生電力を設備内で利用可能とする駅舎補助電源装置を設置。事業主体の東京都・世田谷区・渋谷区・杉並区とともに進める京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業において、工事に必要な用地取得をはじめ、高架橋の基礎杭工事などが行われる。井の頭線では落雷対策として避雷器を増設し、強風の影響による列車遅延対策として防風壁の設置も進められる。