◆本記事はプロモーションが含まれています。
【この記事のエキスパート】
IT・テックライター:石井 英男
東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。
ライター歴25年。PC/ITに関するテクノロジーの解説や製品レビューを得意とする。
最近は、STEM教育や3DプリンターやCNCを初めとするデジタルファブリケーションに興味を持ち、積極的に取材や記事執筆を行っている。
また、子どもへのプログラミング教育にも関心があり、CoderDojo守谷のメンターを務めている。
この記事では、遠くのものを観測するのに便利な双眼鏡の選び方とおすすめ商品を紹介します。コンサートや釣り、バードウォッチングなどのアウトドア、スポーツ観戦で活躍しますね。倍率の解説や人気メーカーの紹介もしているので参考に。最初の1台にぴったりの安い製品も!
双眼鏡とは
双眼鏡を選ぶときには、どのような場面で使うのかを意識したうえで、選ぶポイントを絞るようにしましょう。どのような場面にも共通するポイントもありますが、野外で使うのか室内で使うのか、昼間に使うのか夜間に使うのか楽しみ方によって、確認すべきスペックが異なることもあります。
また、ひとみ径やアイレリーフなどの専門用語もありますので、意味を理解することも大事です。
双眼鏡の倍率や明るさ、場面に応じて備わっていると便利な機能など、双眼鏡選びの基礎知識を覚えておきましょう。
双眼鏡と単眼鏡の違い
双眼鏡と一緒に語られることが多い単眼鏡は、筒の数が違うという見た目の違いがありますが、最も違う点として、立体感や距離感の有無が挙げられます。
人間が立体感や距離感を感じるには、両眼で見る必要があります。双眼鏡なら自然と両目で覗くので、立体感や距離感を感じることができますが、単眼鏡では感じることができません。
そんな単眼鏡のメリットは何か? 解説していきます。
単眼鏡のメリット
立体感や距離感が感じにくい単眼鏡のメリットは、携帯性と近接可能な点が挙げられます。
■携帯性
双眼鏡には2つの筒がありますが、単眼鏡は1つなので、双眼鏡よりも軽量です。また、ポケットに入れて持ち運びができるため、登山やトレッキングなどの荷物を減らしたい場合に活躍します。
■近接可能な点
一番違づいてピントが合う距離を最短合焦距離と呼びます。双眼鏡では50㎝前後が限界ですが、単眼鏡はもっと近づいてもピントが合う製品もあります。
双眼鏡とオペラグラスの違い
双眼鏡はプリズムがあるタイプと、プリズムがないタイプに分けられます。プリズムは光を曲げることで対物レンズと接眼レンズの距離を錯覚させ、距離を短くする役割があります。これにより、距離があっても鮮明に見ることができます。そのせいで、サイズが大きく重いタイプが多いのです。
オペラグラスは観劇用を目的として作られているため、小型でおしゃれなものが多く、価格帯も安いものが多い印象です。オペラグラスにはプリズムがありません。
双眼鏡の選び方
それでは、双眼鏡の基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記の9つです。
【1】倍率
【2】コーティングの種類
【3】便利な機能
【4】明るさ調整のための口径
【5】視界
【6】使用目的
【7】アイレリーフ
【8】携帯性
【9】最短合焦距離
上記のポイントを押さえることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】倍率をチェック
【エキスパートのコメント】
適した倍率を定めるために用途を決めることが大切
倍率とは肉眼で見た場合と比べてどれだけ大きく見えるかをあらわすものです。たとえば10倍の双眼鏡ならば、1,000m先にあるものを肉眼で100m先の距離にある大きさで見ることができます。
ただし倍率はただ高ければいいというわけではなく、高いほど見える範囲(視界)が狭くなり、手ブレもしやすくなってしまいます。そのため双眼鏡を選ぶ際には、適した倍率を定めるために用途を決めることが大切です。
今回は一般的な用途(コンサート用や天体観測用も含む)向けの双眼鏡について紹介します。基本的には、コンサート用なら5~8倍程度、天体観測用なら7~30倍程度のものが向いています。
【2】コーティングの種類をチェック
【エキスパートのコメント】
フルマルチコートが一番明るく見える
双眼鏡に使われているレンズやプリズム(内部反射鏡)の表面には、無駄な反射を防ぐためのコーティングが施されています。
安い製品では単層コートが主流ですが、高級品では複数のコーティングが施されたマルチコートが多く採用されています。またレンズだけでなくすべての光学部品にマルチコートが施されたものは、フルマルチコートと呼ばれます。
単層コートよりもマルチコート、マルチコートよりもフルマルチコートのほうが明るく見えるほか、反射光による映り込みも低減されます。そのため天体観測に使うのなら、マルチコートかフルマルチコートを採用した製品を選んだほうがいいでしょう。
【3】便利機能をチェック
双眼鏡にはそれほど特殊な機能は搭載されていませんが、防水機能や三脚の装着ができるかについても確認してみましょう。野外で使用する場合は、雨に濡れることや、誤って落としてしまったところに水たまりなどがあることも想定できるので、防水機能が必須です。
バードウォッチングやスポーツ観戦、天体観測など、長時間にわたる可能性がある利用シーンでは、三脚を使えると便利です。
また、子どもが使う場合は眼幅調整ができるものが◎。子どもの眼幅は50~60mmと言われていますが、一般的な双眼鏡の眼幅は56mm以上のものが多いです。眼幅調整ができるものなら、同じ双眼鏡で一緒に楽しむことができますね!
【4】明るさ調整のための口径をチェック
【エキスパートのコメント】
倍率と口径のバランスがとれた製品を選ぶこと
口径とは、対物レンズ(目に当てないほうのレンズ)の直径のことです。口径が大きいほど、たくさんの光を集めることができますので、より明るくクッキリと物体を見ることができます。高い倍率にするなら、そのぶん口径も大きくしないと、暗く見えてしまいます。
ただし、口径が大きくなると、当然双眼鏡のサイズや重量も大きくなりますので、携帯性が犠牲になります。倍率と口径のバランスがとれた製品を選ぶことがポイントです。
【5】双眼鏡の視界をチェック
【エキスパートのコメント】
飛んでいる鳥を見る際は視界の広い製品を!
実視界とは、双眼鏡を動かさずに、一度に見ることができる範囲を角度で示したものです。実視界が広いほど、一度に見ることができる範囲が広くなるので、対象物をみつけやすくなります。しかし、倍率が高くなれば実視界も狭くなります。
見掛け視界とは、双眼鏡を覗いたときに見える視界の広さのことで、見掛け視界も広いほうが見やすくなります。決まったポイントを注視する場合は、視界が狭くてもそれほど問題にはなりませんが、飛んでいる鳥を追いかけるには、視界の広い製品がおすすめです。
【6】使用目的をチェック
双眼鏡は、倍率と視界の範囲、倍率と明るさ(口径)には関連性があるので、快適に利用するためには、利用するシーンに条件のあうスペックの製品を選ぶ必要があります。
ここでは、双眼鏡を買う際にどういったシーンに、どういった双眼鏡が適しているかというポイントをおさらいします。利用場所が野外なのか室内なのか、対象物は動きのあるものなのか動きの少ないものなのかなどを考慮して、適したスペックの双眼鏡を選びましょう。
コンサート・ライブ・観劇
コンサートやライブ、観劇で双眼鏡を使う場合は、会場が「屋内か野外か」によって選び分けます。屋内で照明が暗い会場の場合は、明るく見える双眼鏡が適しています。野外フェスなど屋外で明るい会場の場合は、明るさよりも防水機能を重視しましょう。
コンサート・観劇全般でおすすめの双眼鏡は、倍率が5倍程度あるものを選べば、じゅうぶん満足できるでしょう。また、高倍率であったとしても手ブレが少なく見えやすい防振機能があると、アーティストや演者の動きを追いかけても、安定した視界で目が疲れません。
美術鑑賞
美術館で作品の鑑賞をしていると、そばまで近寄って細部を確認したいことがあります。
美術鑑賞用に双眼鏡を購入する場合に、もっとも重視したい点が最短合焦距離です。この距離が短ければ短いほど、被写体と距離を縮めて、ピントが合った状態でより大きく拡大して作品の細部を見ることができます。また、持ち歩くので、できれば携帯性やコンパクトさにも重点を置きたいところです。
スポーツ観戦
スポーツ観戦で大きなスタジアムに出かける場合は、ある程度の倍率が出る双眼鏡が必要です。ただ、高倍率になると手ブレで見える画像そのものの質が悪くなったりするデメリットがあります。また口径が大きいものだと双眼鏡も大きく重たくなるので腕が疲れてしまいます。倍率と大きさのバランスの取れた双眼鏡を選ぶようにしましょう。
スタジアムのように、大きい会場で選手と距離がある場合は8~12倍が適しています。体育館などの室内なら4~8倍あればじゅうぶんです。ナイター観戦が趣味の場合は明るめの視野が得られるタイプを、また屋外でのスポーツ観戦なら防水性能もチェックしたいところです。
※詳しくは下記の記事をお読みください。
アウトドア・バードウォッチング
アウトドアで双眼鏡を使用する場合は、なにより防水性能が重要です。防水仕様でないと、双眼鏡の中に水が入り込んでしまい、視界が悪くなってしまいます。レンズそのものは明るくて、20~40mmと適度に大きいものが最適。レンズがあまり大きいと、双眼鏡が重くなって手持ちでの観察がしにくくなるので要注意です。
また、アウトドアでかつバードウォッチングを楽しむ場合は、鳥を見失わないようにするため、視野角は広めで高倍率の双眼鏡を選びましょう。さらに三脚に対応しているものなら、お目当ての鳥が現れるまでの我慢比べもしやすくなります。高倍率の双眼鏡で三脚対応のものなら、被写体に気づかれることなく、リラックスした姿をゆっくりと眺めることも可能です。
※詳しくは下記の記事をお読みください。
星空観賞
星空観賞の場合は、できる限り明るいレンズを選びましょう。遠くを見るので、倍率も7~10倍と高めのものが向いています。また、倍率が高くなると、そのぶん手ブレの影響が大きくなるため、手ブレ対策も必要です。三脚に取り付けられるタイプを選ぶか、手持ちにするなら防振機能のついたものを選ぶか、考えたうえで購入しましょう。
防振機能が得意な双眼鏡メーカーとしては、Canonが有名です。天体望遠鏡を作っているビクセンも、星空観賞に適した機種を販売していますのでチェックしてみてください。
【7】長時間使用や眼鏡ユーザーはアイレリーフをチェック
【エキスパートのコメント】
目が疲れにくいというメリットがある
アイレリーフとは、双眼鏡の視野のすべてをきちんと見ることができる、目と接眼レンズの適切な距離のことです。
アイレリーフが長い製品は目をレンズに近づけずとも双眼鏡を覗くことができるので、目が疲れにくいというメリットがあります。長時間の使用を想定しているなら、アイレリーフが長い製品を選びましょう。
また、メガネをかけたまま双眼鏡を使いたい場合は、アイレリーフが15mm以上の製品を選ぶことで対応することができます。
なお、アイレリーフが長い製品のことを「ハイアイポイント」と呼びますので製品選びの時にチェックしてみましょう。
【8】携帯性をチェック
【エキスパートのコメント】
重量が300g未満の製品をおすすめ
双眼鏡の携帯性も重要なポイントです。口径が小さいほど、重量が軽くなり、サイズも小さくなりますので、携帯性が向上します。つねに携帯して気軽に使いたいのならば、重量が300g未満の製品をおすすめします。重量が300g未満なら、片手で持っても苦になりません。
また、携帯用のケースが付属している製品や、オプションで専用ケースが用意されている製品もありますので、ボディにキズをつけたくないのならば、ケースに入れて携帯するといいでしょう。
【9】最短合焦距離をチェック
双眼鏡は遠くを見るだけでなく、近くにある小さいものを拡大する用途で使うこともできます。
「最短合焦距離」はピントが合う最短の距離を表しています。「最短合焦距離」が短い双眼鏡を選ぶと、美術館や博物館で近くの物を大きく見るという用途に使うことができます。
エキスパートからのアドバイス
用途が決まってないのならまず小型軽量モデルを!
【エキスパートのコメント】
双眼鏡は用途によって選ぶのが基本ですが、とくに用途を定めずに双眼鏡がほしいという場合もあるでしょう。その場合は口径が大きな製品であると重くて気軽に持ち歩くのがむずかしいですし、手で持つのも疲れてしまいます。
そのため最初はあまり口径の大きな製品ではなく、小型軽量モデルを選ぶことをおすすめします。ただし天体観測に使うのであれば、像が明るく見える口径40~50mmクラスの製品のほうがおすすめです。