南海電気鉄道は24日、利用者へのアンケート結果を反映し、リニューアルした9000系「NANKAI マイトレイン」(4両編成)の報道公開を実施した。同車両は4月25日から南海本線・空港線・和歌山港線で運行開始する予定となっている。

  • 南海電鉄が9000系をリニューアルした「NANKAI マイトレイン」を報道公開(写真:マイナビニュース)

    南海電鉄が9000系をリニューアルした「NANKAI マイトレイン」を報道公開

「NANKAI マイトレイン」は、車内の快適性を高め、通勤電車をもっと身近で快適に感じてもらうことを目的に、利用者と一緒に車両づくりを考えるプロジェクトとして2017年にスタート。社内でプロジェクトチームを結成し、議論を経て4種類の内装デザイン案が策定され、座席シートの座り心地や吊り革の形状・高さなども含めたアンケートを行うイベントが2018年2月に開催された。投票結果に加え、アンケートの記述内容、イベント開催時の反応も参考としつつ、内装の更新内容を決定している。

報道公開でお披露目された9000系のリニューアル車両(難波方から「9501」「9001」「9002」「9502」)では、アンケートで最も好評だったデザイン案にもとづき、「わが家のリビングにいるような」がコンセプトのくつろげる空間をめざしたという。

  • 「NANKAI マイトレイン」の外装は約1年間の期間限定でオレンジ色を基調とした装飾が施され、ヘッドマークも掲出される

車内の床はリビングを思わせる和やかなイメージの木目調としたほか、座席端部の袖仕切りや乗降ドアも木目調に。シートは一般座席と優先座席で異なる配色となり、一般座席は空間に締まりの出るブラックとグレーを採用。1人分のスペースごとに色分けすることで、着座位置がわかるようにしている。

一般座席の吊り革はネイビーをアクセントカラーに採用。座席部分は標準的な高さとする一方、出入口部分や座席間の吊り革は標準より高めの配置としている。なお、南海電鉄が行ったアンケートでは、吊り革の形状に関して僅差で三角型が上回ったとのことだが、「握りやすい」「回して使えるのが良い」などの意見が根強いことも考慮し、「NANKAI マイトレイン」では丸型デザインとなった。

同車両は内装・外装において期間限定の装飾も行われた。内装は運行開始後の約1カ月間、なんば高架下の商業空間「EKIKAN」のインテリアショップ「CRASH GATE」とコラボレーションを実施する。壁面をタペストリーやウッドパネルなどのインテリア雑貨で装飾することで、リビングにいるような、よりリラックスできる空間を演出するとのこと。

  • 車内は座席、吊り革、床面、壁面の色・材質など変更。リビングにいるようなくつろげる空間をめざした

  • 4月25日の運行開始から約1カ月間、ドア上・ドア横のスペースを活用した期間限定装飾も実施

外装の期間限定装飾は約1年間実施する予定。プロジェクトのロゴをデザインしたヘッドマークを掲出し、車体前面から側面にかけてのラインもイメージカラーのオレンジを基調としている。オレンジのラインは上下2色あり、下の細いラインは南海線の特急「サザン」と共通する色だという。車体側面下部に配したラインを近くで見ると、小さく「NANKAI マイトレイン」と描かれてあることも確認できる。

報道公開で取材に応じた南海電気鉄道営業推進室の大門浩子氏は、外装の期間限定装飾に関して、9000系では内装デザインのリニューアルと床下機器等の更新が行われる一方、「車体自体の更新がなかったため、ひと目で他の9000系と区別がつくようにオレンジのラインを使用しました」と説明。リニューアルされた内装について、「デザイン案のほぼそのままのものが出来上がったのではないかと思います」「イメージパースで見るよりも明るく、あたたかみのある電車になったと感じています」とコメントし、運行開始を前に「お客様の声が反映された電車なので、外装はもちろん内装も見ていただき、リビングにいるような気持ちで楽しんでいただければ」と話していた。

9000系をリニューアルした「NANKAI マイトレイン」は4月25日の日中時間帯をめどに運行開始予定(都合により変更される場合あり)。南海本線・空港線・和歌山港線で通常運用に入り、運行時刻などは原則非公開となる。特急「サザン」の自由席車として運行される場合もあるという。なお、「NANKAI マイトレイン」の追加投入などは現時点で未定とされ、当面は1編成のみの運行になるとのことだった。

  • 9000系をリニューアルした「NANKAI マイトレイン」の車内・外観