自転車保険への加入拡大や義務化を視野に入れた有識者会議が2019年1月に開かれました。背景には自転車事故に関連した損害賠償が多くなってきていることがあります。
自転車保険の認知度は高くなってきているとは思いますが、自動車保険と違い、加入の必要性を低く感じている方もいるのではないでしょうか。
本稿では、春から自転車で通学されるお子さんを持つ親御さんや、保育園・幼稚園の送迎で新しく自転車を購入された方も気になる自転車保険についてご説明します。
自転車保険とは
自転車保険では、自転車による事故で相手に怪我を負わせた場合や、他人のものを壊してしまい損害賠償の責任を負った場合、また起こした交通事故によるケガで自身が入院・通院した場合に備えることができます。
自転車事故の賠償金額が高額化している
自転車は道路交通法では軽車両に位置付けられています。交通ルールを守って自転車を運転することが前提であり、そのルールを守らなったことにより起こしてしまった事故は重大な責任を負う事となります。
刑事上の責任としては「業務上過失致死罪」、民事上の責任としては被害者に対する「損害賠償責任」となります。
損害賠償責任については、加害者が未成年でも被害の状況によって多額の損害賠償を被ることがあります。過去には、神戸市で小学生の男児が高齢女性を自転車ではね、相手の女性が寝たきりの状態になってしまった事故で、加害者側には9,500万円の賠償が命じられました。
自転車の事故は全国では減少しているものの、自転車と歩行者の事故は昨年より増加しています。最近は警察より注意喚起もされていますが、まだまだスマートフォンを見ながらの「ながらスマホ」などは多いような気がします。スマートフォンをはじめ、自転車に乗っているときの「ながら運転」は、周囲が見えず重大な事故になる可能性がありますので絶対にしてはいけません。
自転車保険の義務化が進んでいる
全国の自治体では自転車事故の賠償金が高額化していることを受けて、自転車保険の加入を義務化しようとする動きが出てきています。すでに加入を義務づけている自治体もあり、現在のところ(平成31年3月時点)では下記のようになっています。
今年の4月から自転車保険の義務化が決まった埼玉市では、通学などで自転車を利用する学生に加入の有無を確認するなどし、保護者は子供に対し加入義務を負うことになります。自転車を利用する人が対象なので、県外から埼玉県に自転車で遊びに行く際にも、自転車保険に入らないといけなくなりました。
義務化されていない場合でも加入は必須
自転車は環境や健康に良いだけではなく、最近は町おこしに一役買い、観光地だけではなく様々な場所で借りられるようになりました。実際、私も横浜のベイバイクや都内のシェアバイクなどの電動自転車をよく利用し、以前よりフットワークが軽くなりました。自転車レーンも増え走行しやすい環境にはなっていると思いますが、道幅が狭く見通しが悪い交差点では、自動車同様注意しなければなりません。
自転車保険の義務化は全国で広がりつつあります。しかし、まだ義務化になっていない地域も多くあります。お子さんがひとりで自転車に乗り出かけるようになると、急に開放的になるかもしれません。電動自転車は坂道も楽に走れて便利な反面、自分では気づかないうちにスピードが出てしまいがちです。
義務化されていない地域でも自転車保険の加入を検討されてみてはいかがでしょうか。交通ルールを守ることはもちろんですが、もしもの時のリスクには備えるべきです。