女優の倉科カナが、東海テレビ・フジテレビ系ドラマ『ミラー・ツインズ Season1』(毎週土曜23:40~)で、謎の女性・白石里美(本名・吉崎英里)を演じるにあたっての役づくりや、主演を務める藤ヶ谷太輔の印象などを語った。
――撮影が進み、英里と里美に対して印象や捉え方に変化はありましたか?
台本で読んだときと、実際に演じたときでは心に響く言葉が違いました。英里は勇吾(藤ヶ谷)に命じられて圭吾(藤ヶ谷/二役)のところに潜伏していますけど、勇吾と圭吾は顔が一緒だから、英里の目の前に勇吾がいたとしても、彼に対してのセリフが本当に勇吾に向けてのものなのか。それは圭吾に対しても同じことが言えて、彼女は混乱していると思います。それは私自身にも言えることで、英里は里美でもあるから、彼女の複雑な心境を自分のもののように感じています。
――英里が勇吾に命じられて圭吾に近づいたときの気持ちはどんなものだと思いますか?
圭吾と出会う前、心に一番強くあったのは勇吾への従順なまでの気持ちだと思い、そこを軸に演じました。家族であり、恋人であり、とても深い結びつきですよね。あまりにも気持ちが強いから“依存”と言えるほどだと思います。勇吾とふたりの世界から出られないし、出る気もない。だから勇吾に命じられたことに迷いなく従ったと思います。
――勇吾もまた英里に依存していますよね。彼女がいなかったら、彼の人格はとっくに崩壊していたのではないでしょうか。
勇吾と英里はお互いを必要としていて、お互いがいないと多分生きていけない関係でしょうね。そんな気持ちが強すぎて、思わぬ方向に話が進むもの、この作品のおもしろいところだと思います。
――では、勇吾へのそこまでの強い気持ちを感じて圭吾と向き合ったとき、倉科さんはどんな思いが湧いてきましたか?
例えると、勇吾は影で、圭吾は光です。圭吾といると、勇吾には感じない穏やかな気持ちでいられます。もともとは打算で近づいたけれど、“普通の恋人”として過ごす時間はとても幸せなものです。里美でいることは偽りで、圭吾を騙しているとわかっていながら、自然と心が弾み、安らいでしまう。きっと英里は本当とウソの境目が分からなくなってきていると思います。
だから圭吾を思いやる気持ちにもウソはないはずです。勇吾のことが一番であるけれど、圭吾の苦しみを間近で見てきて、第1話で言った「圭吾はいつまで苦しめばいいの?」という言葉も心からの心配です。一方で、目の前にいない勇吾に「圭吾はいつまであなたのことで苦しめばいいの?」と問いかけている気もして。英里と里美、気持ちの比重が行ったり来たりするから、“不思議の国”にいる気がします。
――英里が圭吾に惹かれるのも分かる気がします。平凡な日常にある幸せを気づかせてくれるのは圭吾ですよね。
圭吾といると、「この優しい気持ちはどこから来るんだろう?」ってことがちょくちょくあります。勇吾の復しゅう心に寄り添って生きてきましたけど、圭吾が見せてくれる世界に「こんな選択肢もあったんだ」と実感しているは確かですね。
――倉科さん自身は圭吾と勇吾、どちらがタイプですか?
勇吾です! 即答できますね(笑)。勇吾を大切に思う人物を演じているからっていうのもありますし、私は結構気まじめなタイプです。“まじめ”とか“縁の下の力持ち”とかいう言葉が好きですし。私にデンジャラスなところがないから勇吾に魅力を感じるのかもしれません。もちろん安定という意味では、圭吾ほどピッタリな男性はいないと思いますよ。
――恋人にするならこういうタイプ、結婚するならこういうタイプみたいな(笑)
そうだと思います。だって、結婚相手にデンジャラスさなんて、求めないじゃないですか(笑)
――初共演となる藤ヶ谷さんの印象はいかがですか?
私は兄弟が多いせいか、藤ヶ谷さんと年齢は一緒ですけど、弟みたいな感覚になっています(笑)。とてもチャーミングでフランクだし、人との垣根を作らない方ですね。アイドルとして活動されていることをつい忘れてしまい、時々「テレビでキラキラしている藤ヶ谷さんが目の前にいる!」って思うこともあります(笑)。物作りにも真摯(しんし)な方で、無邪気でいながら現場全体のこともいつもしっかり見ていらっしゃいます。一緒にお仕事をしていて、気持ちの良い方です。
――ところで圭吾と勇吾は顔こそ同じですが、性格は正反対です。倉科さんにも周りの人が驚くような一面ってありますか?
私に対して、ふわっとしたイメージを持つ方が多いみたいです。10代や20代の頃、女の子らしい役が多かったせいかもしれません。ピンクが好きで巻き毛で、みたいな役が(笑)。本当の私は大雑把で、お会計の際、「私が払うよ」「いいよ、私が」みたいなやりとりが苦手。さっさと終わらせたくて、「じゃあ、私が払います!」って言っちゃいます(笑)。喜怒哀楽もはっきりしているし、思ったことははっきり言いたいですね。心に引っかかったものがあるまま物事が進むのが嫌で、ちゃんと言葉にして、納得して前に進みたいんです。
――あらためて、今後の見どころをお聞かせください。
英里と里美は本当に難しい役でワンシーン、ワンカット苦悩しています。だからこそ、最後まで大切に演じたいと思っています。圭吾、勇吾、それに英里だけでなく他の誰もがいろいろな事情を抱えていて、話が進むにつれ伏線がどんどん張られます。皆が “重要参考人”みたいな(笑)。現場でもキャストのみなさんと「この場面の目線はこういう意味があるから」とか「ここはあの場面に、ああいう意味があるから」とディスカッションしつつ丁寧に演じています。視聴者の方からすると、「私、そこに気づいていたよ」という箇所がいたるところにある、伏線に気づくのが快感の作品だと思います。ぜひオンタイムでご覧いただき、気になる点はあとでしっかり確認してください。ですから、録画もマストですよ(笑)