iPhoneなどを使って、リアル店舗で手軽に支払えるスマホ決済サービスのApple Pay。「ゼロからはじめるApple Pay」は、iPhoneユーザーにアンケートし、その回答をひもときながら、Apple Payのメリットや使い方などを紹介する連載です。
第4回ではSuicaカード、第5回では、JR東日本が提供するSuicaアプリについて紹介しました。SuicaアプリをWalletアプリと連携させることで、Suicaを複数枚発行して使い分けたり、オートチャージできたりと、よりApple Payを便利に利用することができます。
とはいえ、さすがのApple Payでも不便な点はあるのです。そこでApple Payを使う上で、不便だと感じている点をユーザーに質問してみました。
調査時期: 2018年10月12日~2018年10月18日 調査対象: マイナビニュース会員 調査数: iPhoneを日常的に使っていると回答した805名(Apple Payの不満点に関する質問は、このうちApple Payを使っていると回答した221名が対象) 調査方法: インターネットログイン式アンケート |
不満点に関する回答のうち、以下の4つについては第5回で解説しました。
- Suica以外の電子マネーが使えない 18.6%
- オートチャージできない(ビューカード除く) 16.3%
- VisaブランドのカードでSuicaにチャージできない(Suicaアプリ除く) 12.7%
- バッテリーがなくなると使えない 47.1%
第6回では、以下の5つの質問に答えていきますね。
- ポイントカードを別に出す必要がある 25.8%
- クレジットカードを利用した時につくポイントが少ない 19.9%
- うまく顔認証・指紋認証できない 18.6%
- Visaブランドのカードでネットショップの決済ができない 10.9%
- 利用デバイスを紛失したときの操作 20.8%
Apple Payで払うとポイントが付かない?
「Apple Payを使う上で不便だと感じている点について教えてください」という質問で、25.8%の人が「ポイントカードを別に出す必要がある」と回答しました。この気持ち、筆者は痛いほど理解できます。
第3回で、クレジットカードが1枚で何役もこなしていることを紹介しました。一般的なのが、クレジットカード+ポイントカード+電子マネーの1枚3役の組み合わせ。つまりクレジットカードを1枚出せばポイントをゲットして、電子マネーでサクッと支払えたところ、Apple Payを使うことで、クレジットカードとは別にポイントカードを出さないと、ポイントがもらえなくなっているのです。
楽天スーパーポイント、dポイント、Pontaポイント、Tポイントなど、主要な共通ポイントカードは今ではアプリが用意されています。とはいえ、これらのアプリを起動させてバーコードを表示し、お店の人に読み取ってもらった後、Walletアプリを開いてApple Payで支払うというのは、なかなかに慌ただしいです。
スマートに支払うためには、あらかじめサイフからポイントカードを用意し、片手にポイントカード、片手にApple Payの支払い画面を表示したスマホを準備して、レジに臨むのがベスト。でも、Apple Payのメリットはサイフなしで決済できること。その利便性に対してこの行動は逆行してない?
……とモヤモヤしていたこの気持ちが、このたび解消されました。実はApple Payにポイントカードが登録できるようになり、2018年11月7日からWalletアプリの中にPontaカードが収納可能に。しかもローソンならApple Payの決済と同時に、ポイントを貯めることもできます。
まさにコレが求めていた支払い方法。今はPontaカードだけですが、いずれもっと多くのポイントカードに対応してくれれば、ポイントカードを別に出す必要はなくなりそうです。
Apple Payで払うとポイントが少ない?
次に19.9%の人が回答した「クレジットカードを利用した時につくポイントが少ない」という問題ですが、この話も、上のポイントカード問題と似通ったところがあります。
例えば、ビックカメラでは現金で支払うと10%のポイントが貯まります。ですがクレジットカードで支払うと、ポイント還元は8%に下がります。これはクレジットカード会社を経由することで手数料がかかるから。そのぶん、ポイントが減るんですね。
ですが、ビックカメラが発行しているクレジットカード「ビックカメラSuicaカード」を利用すると、しっかり10%のポイントが得られます。会員サービスといったところですね。
ただし、Apple Payに登録した「ビックカメラSuicaカード」で支払うと、得られるポイントは8%になってしまいます。これは、国内で支払う場合には、「ビックカメラSuicaカード」ではなく、iDかQUICPayかに振り分けられるため。クレジットカードの中には、利用する加盟店によって貯まるポイントが多くなる店舗がありますが、そんなお得な特徴も、Apple Payに取り込むことで失われてしまうのです。
でもこれは仕方のないこと。日本のApple Payは、日本の事情に合わせてかなりカスタマイズしてくれています。これ以上の要望はさすがに無理というものでしょう。そこはスマートな支払いを取るか、ポイントを取るかの究極の決断。ポイントを取る人は、そういったお得なお店では、Apple Payではなくクレジットカードで支払うのが良さそうです。
うまく顔認証・指紋認証できない?
さて、18.6%の人が「うまく顔認証・指紋認証できない」と回答している“認証問題”ですが、いちiPhoneユーザーとして、コレについても激しく同意です。Apple Payの認証は、iPhone 7/iPhone 8シリーズが指紋認証のTouch IDを採用。iPhone X以降のバージョンでは顔認証のFace IDが採用されています。
Touch IDは手が汗ばんでいたりするとうまく認証せず、かと言って乾燥していてもうまくいかない時があります。それにFace IDは角度が悪いと認証できず、マスクをしていてもダメ。「決済の度にマスクを取るのが面倒」という声は、花粉が舞い散る時期、多く聞きます。
とはいえ、「iPhone XS」や「iPhone XS Max」では随分、認証の精度がアップしているそう。マスクは顔自体を隠してしまうので仕方ないとして、Touch IDのセンサー部分は汚れがつかないよう定期的に拭くなどして対応してください。まだウワサ段階ですが、次のiPhoneではFace IDとTouch IDの両方が搭載されるかもしれないとか……。そうなればマスクをしている時はTouch IDを使って認証するなど、使い分けができそうです。
Visaブランドのカードでオンライン決済できない?
「Visaブランドのカードでネットショップの決済ができない」はオトナの事情で仕方がないこと。詳しくは第3回を参照してみてください。
iPhoneを失くしたとき困らない?
そして「利用デバイスを紛失したときの操作」は、第2回で紹介しているので詳しい解説を省きますが、iPhoneを落としたり、盗まれたりした時も、Apple ID のアカウントページにアクセスしたり、「iPhoneを探す」アプリ を使えばApple Payの使用を一時的に停止できるので、不便というほどでもないのかなと思います。
次の第7回では、Apple Payに関する不満点のひとつに挙がりながら、本当は意外とカンタンな「機種変更するときの設定」についてお伝えしますね。
著者プロフィール
綿谷禎子(わたたにさちこ)
情報誌の編集部から編集プロダクションを経てフリーランスのライターに。現在は小学館発行のビジネス情報誌「DIME」を中心に、企業のオウンドメディアや情報サイトなどで幅広く執筆。生活情報サイト「All About」のガイドも務める。自称、キャッシュレスクイーン。スマホ決済や電子マネー、クレジットカード、ポイント、通信費節約などのジャンルのほか、趣味の文具や手帳の記事も手掛ける。