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【この記事のエキスパート】
山岳/アウトドアライター&プロデューサー:高橋 庄太郎
1970年宮城県仙台市出身。高校山岳部で山歩きを始め、早稲田大学卒業後は出版社に勤務。
その後、フリーランスのライターに。著書に『山道具 選び方、使い方』(枻出版社)、『テント泊登山の基本』(山と渓谷社)などがあり、近年はテレビ番組やイベントへの出演も増えている。また、アウトドアメーカー各社とのコラボレーションを行なう自身のブランド「SCREES」を立ち上げ、製品開発にも取り組んでいる。
雪山の登山では登山靴の機能が重要です。ノースフェイスやマムートなどから、メンズ・レディース用、残雪期・厳冬期向き、安いモデル・高機能モデル、アイゼン装着可など多数の商品が発売されています。この記事では雪山用登山靴の選び方とおすすめ商品を紹介します。
失敗しない!
雪山用登山靴の選び方
それでは、雪山用登山靴の基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記の6つ。
【1】自分が行きたい山域と季節を明確に
【2】保温性やゲイター機能をチェック
【3】アイゼンの装着をチェック!
【4】自分の足に合うものを選ぶ
【5】アッパーの素材の特性をつかむ
【6】 ハードな登山には「アルパインシューズ」を
ポイントをおさえることで、より具体的に欲しい機能を知ることができるので解説していきます!
【1】自分が行きたい山域と季節を明確に
ひと口に雪山といっても、暖かな太平洋側の低山のように積雪が数cmしかなく、ローカットのシューズでも歩けるような場所もあれば、日本海側の高山のように数mも積もっていて、足を踏み出すと登山靴ごと腰まで埋もれてしまうような場所もあります。
また、初冬や春以降の残雪期は雪山にしては、気温がそれほど寒くはないものの、厳冬期は非常に気温が下がり、同じ山でも標高が上がるに従って気温が低くなり、ときにはマイナス20度になることも。
なので、まずは「自分が行きたい山域」と、登る「季節」を明確にしましょう。目標とする山の積雪量と気温が、雪山用の靴を選ぶときにはとても重要なのです。
【2】保温性やゲイター機能をチェック
積雪と低温に対応すべく、雪山用の靴には一般的な無雪期用登山靴よりも必要とされる機能が増えますが、最も重要な機能は「保温性」です。
アッパー(足の甲を覆う部分)の裏側やインソール(フットベット)に保温材が使われていないと指先から足が冷えはじめ、ひどい場合は凍傷になってしまいます。保温材の量や質はさまざまなので、目的の山の気温に適したレベルのものを用意しましょう。
そして、雪の侵入を防ぐ構造も重要です。登山靴上部から雪が入り込みにくいように、別途ゲイター(スパッツ)を組み合わせるのが一般的ですが、なかには簡易的なゲイターが一体化して付属している登山靴もあり、そのようなタイプを選べば、登山靴のみでも雪の侵入はおおむね避けられます。
【3】アイゼンの装着をチェック!
春から秋の無雪期は登山靴だけで山を歩くことができます。しかし、積雪期は雪がやわらかくて足元が沈む場合、雪中での浮力を出すワカンやスノーシューを併せ、雪面がかたく凍りついていたり、ソールがグリップしなかったりするときは鋭い爪がついたアイゼン(クランポン)が欠かせません。
どんな登山靴にも固定できるストラップ式から、コバといわれる溝状の部分が登山靴にあればかんたんに取りつけられるワンタッチ式やセミワンタッチ式まで多様にそろっています。コバの有無を含め、登山靴とアイゼンの相性もとても重要です。
【4】自分の足に合うものを選ぶ
登山靴選びでもっとも重要なのは、自分の足の形が、その登山靴に合うかどうかです。雪山用の靴は、はじめに機能の面からタイプや形状を選んでいきますが、いくら保温性が高く、雪中で行動しやすい構造の登山靴でも、使用する人の足に合わなければ意味がありません。
雪山用に必要じゅうぶんな機能性をもつという前提をふまえ、最終決定を下す最重要ポイントは「自分の足に違和感なくフィットすること」です。
【5】アッパーの素材の特性をつかむ
現代の雪山用登山靴には防水透湿性が当たり前で、どれも「ゴアテックス」を代表格とする防水透湿性メンブレンが内側に使われています。
しかし、その上に張られているアッパーは化繊と合皮のコンビネーションタイプが主流です。一般的に、摩耗(まもう)しにくく傷みにくいのは合皮ですが、化繊よりも重くなります。
一方、化繊は軽量なものの、使用していると次第に毛羽立ってきて、ひどいときには穴が空きます。
長く使うなら合皮の面積が広いもの、体力を補える軽量なものなら化繊の面積が広いものを選ぶといった考え方をしてもいいでしょう。
【6】 ハードな登山には「アルパインシューズ」を
アルパインシューズとは、岩場などが多い難易度の高い登山道でも安定して歩けるように作られたシューズです。ほとんどがハイカットの作りになっているので、足首をしっかりとホールドすることができます。
保温性や防水性にも優れているので、ハードな雪山にはアルパインシューズがおすすめです。
エキスパートのアドバイス
安全のために目立つカラーを選ぶことも重要
【エキスパートのコメント】
厳冬期の北アルプスや富士山のように、過酷な雪山に挑む人は非常に少数で、雪山では無理をせず、自分ができる範囲で楽しめればじゅうぶんという方は多いようです。
雪山用の靴を選ぶ際に必要なのは、その「自分ができる範囲」もしくは「自分が楽しみたい範囲」を見定めることです。
高山向けのハイスペックなモデルは、低山ではむしろ使いにくく、価格が上がるだけです。セレクト時の意外な視点として挙げられるのは「色」。
雪面で視認性がよいのは原色系の靴で、真っ白で段差すらわかりにくい雪中でも安全性が高まります。
派手な色がどうしても苦手な人以外は、登山靴全体または一部だけでも目立つ色が使われているものを選ぶといいでしょう。