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【この記事のエキスパート】
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート:石関 華子
埼玉県出身、高知県在住。一児の母。慶應義塾大学文学部仏文科卒。三越日本橋本店の洋酒担当を経てワインやビール、ウィスキーなどの洋酒全般の知識を培い、2016年、J.S.Aワインエキスパートの資格を取得。
現在はOffice Le Lionの代表として、高知県内のワイナリーのアドバイザーやワイン検定の講師を務める一方、ワインに関連する記事やコラム等の執筆も多数手がけています。2019年、日本ソムリエ協会高知支部副支部長に就任。
世界的な名醸地のひとつである、フランス・ボルドー地方のボルドーワイン。この記事では日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート・石関華子さんへの取材をもとに、シャトー(生産者)や、お料理に合うボルドーワインの選び方とおすすめワインをご紹介します。
ボルドーワインとは?
フランスのボルドー地方でつくられるボルドーワインには、次のような特徴があります。詳しくみていきましょう。
ボルドーワインの製法について
ボルドーワインは、ブルゴーニュワインと違い、複数品種のブドウをブレンドしてワインをつくります。「アッサンブラージュ(Assemblage。フランス語で組み立て、寄せ集めの意味)」と呼ばれるブレンド手法は、ボルドーワイン独特の製法です。
アッサンブラージュをすることで、シャトーやつくり手ごとの個性や特徴が反映された、複雑なワインになります。
ボルドーワインの格付けについて
ボルドーワインには厳しい格付けがあります。ブルゴーニュは畑ごとに格付けがされていますが、ボルドーワインの場合はシャトー(ワイナリー)ごとに格付けがされています。
ボルドーで初めて格付けが行われたのは1855年のこと。その後、何度か改定されて、現在の格付け制度に落ち着いています。
ボルドーワインを選ぶときは格付けばかりに目がいきがちですが、格付けされていないワインにもすぐれたものが多いです。格付けだけに注目せずに、気になるワインを味わってみてください。
ボルドーワインとブルゴーニュワインとの違いは?
ボルドーワインとブルゴーニュワインは、どちらもフランスのワインですが、産地ごとに特徴があります。
ボルドーワインは、複数の品種のブドウをブレンドしてつくられており、ブレンドすることでつくり手と土地の個性をワインに反映させているのが特徴です。色が濃く、味が濃厚で力強いワインが多いのがポイント。ボルドーワインの渋みは、長期熟成させることで角が取れ、まろやかな味わいに変化します。
ブルゴーニュワインは、ひとつの品種のブドウだけでつくるのが特徴です。淡く鮮やかな色合いと軽やかな飲み口が特徴で、穏やかな渋みとしっかりとした酸味があります。熟成させなくてもおいしく飲めますが、熟成させることでエレガントなワインになるのが魅力です。
格付けや赤、白の味の特徴の違いも大事!
ボルドーワインの選び方
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート石関華子さんに、ボルドーワインを選ぶときのポイントを教えてもらいました。ポイントは下記になります。
【1】生産地から選ぶ
【2】ブドウの品種にも注目!
【3】シャトー(生産者)にも注目
【4】色から選ぶ
【5】当たり年のヴィンテージワインにも注目!
【6】用途や予算に合わせて価格から選ぶ
上記のポイントを押さえることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】生産地から選ぶ
ボルドー地方のワインの産地はいくつかの地区に細分化されており、地区ごとに異なる個性を持つワインが生産されています。このように、地区ごとにワインの個性もさまざまなので、ぜひワインの生産地区にも目を向けて選んでみてください。
「メドック」をはじめとするジロンド川左岸の一帯
「黒ブドウの王」とも呼ばれる赤ワイン用ブドウ品種、カベルネ・ソーヴィニヨンというブドウ品種から、「男性的」とも形容される濃厚な味わいのワインが生産されています。一般的にカベルネ・ソーヴィニヨンのワインは、カシスのような香りと凝縮した果実味、しっかりとした酸味と渋みを特徴としています
「ポムロール」や「サン・テミリオン」などのドルドーニュ川右岸地域
フランスのボルドー地方、とくにポムロール地区やサンテミリオン地区を含むドルドーニュ川右岸の一帯は、シルクのようなタッチのなめらかで豊満な極上のメルローワインを生み出します。「女性的」とも形容される、果実味豊かでまろやかな味わいのワインが生み出されています。
甘口ワインで有名な貴腐ワインの産地「ソーテルヌ」
ソーテルヌ地区は甘口のデザートワインの代表格である貴腐ワインの産地としても知られています。貴腐ワインとはその名のとおり、貴腐ぶどうから造られる極甘口ワインのこと。貴腐ワインは一般的なスティルワインにはないその甘美な風味と希少価値の高さから、「帝王のワイン」とも呼ばれています。
コスパ抜群の辛口ワインの生産地「アントル・ドゥ・メール」
ガロンヌ川とドルドーニュ川に挟まれたワインの生産地「アントル・ドゥ・メール地方」。ハーブやレモンのような香りが際立つ酸味がシャープな味わいの白ワインで有名なソーヴィニョンブランがつくられているのが特徴です。
【2】ブドウの品種にも注目!
ボルドーワインは複数のブドウをブレンドしてつくられることが多いです。そのなかでも代表的な品種をご紹介します。
カベルネ・ソーヴィニョン
カベルネ・ソーヴィニョンはボルドー地区原産のブドウです。カシスやブラックベリーといった黒系果実の香りと、杉や黒コショウなどパンチのあるフレーバーが感じられます。
タンニンも、酸もしっかりしている重厚感のある味わいが特徴。
カベルネ・ソーヴィニョンだけを使ってつくられたワインもありますが、多くはメルローやカベルネ・フランとブレンドされます。
メルロー
ほかの地域でも広く栽培されているメルローは、口当たりがなめらかなワインになるブドウです。カベルネ・ソーヴィニョンよりも軽やかな仕上がりになります。
果実味があり、タンニン(渋み)・酸味ともにおだやかなので、渋い赤ワインが苦手な人や、ワインを飲みはじめたばかりの人も飲みやすいでしょう。
右岸地区で栽培されたメルローのワインは、ふくよかで果実味あふれる味わいです。
カベルネ・フラン
カベルネ・フランは、軽やかで清涼感のあるワインになります。ボルドーでは、カベルネ・ソーヴィニョンとメルローに次いでつくられている品種で、ブレンドに使用されることも多いです。
現在は、カベルネ・フランだけを使ったワインもつくられており、カベルネ・ソーヴィニョンやメルローとは異なるブドウの味わいを堪能できます。
ソーヴィニヨン・ブラン
白ワイン用のブドウ品種であるソーヴィニヨン・ブランは、そのさわやかな香りが特徴。またしっかりめの酸味とフルーティななかにも苦味のある味わいで、口当たりのいいワインです。また辛口ワインの主体として用いられることが多い品種ですね。
栽培される地域においても違いの出るソーヴィニヨン・ブランは、北の方ではハーブなどの香りが、南の方では果実のような風味がより強くなります。
セミヨン
ボルドーのセミヨンは、ソーヴィニヨン・ブランとブレンドすることが多いブドウ品種です。落ち着いた果実味で上品な味わいを持つのが特徴。
とくに長く熟成させたセミヨンは、コクのある世界最高峰の甘口ワインとして知られています。
【3】シャトー(生産者)にも注目
フランスのボルドー地方でブドウ栽培やワイン醸造を手掛けるワイナリーは、伝統的に「シャトー」と呼ばれています。ボルドー地方では、地区ごとに独自のシャトーの格付けが定められていることが多いのも特徴です。
特に有名なのは、「メドックの格付け」です。メドック地区の中でもとりわけ優れた61のシャトーが、1級から5級まで格付けされています。
ただ、好みや口に合うかどうかは、格付けが高いかどうかだけでは分かりません。格付けされていないものでもおいしいものはたくさんありますので、あくまでもひとつの目安としてください。
【4】色から選ぶ
ボルドーワインを選ぶときは、色にも注目してみましょう。赤・白・貴腐ワインの特徴を紹介します。
赤ワイン
ボルドーの赤ワインは、濃い色合いと果実味あふれるしなやかな飲み心地が特徴です。使われるブドウは、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローが多く、骨格のしっかりした力強い味わいで長期熟成に向きます。
できたばかりの赤ワインは渋みがきついですが、熟成させることでタンニンの角がとれ、シルキーなテクスチャーに変化します。
白ワイン
ボルドーの白ワインは、ソーヴィニヨン・ブランを使ってつくられることが多いです。ソーヴィニヨン・ブランを使った白ワインは、豊かなアロマとジューシーな果実感が感じられる味わいになります。
繊細な酸味とみずみずしい香りは、和食にもぴったりです。
ソーヴィニヨン・ブランとセミヨンをブレンドしたワインも多く、フレッシュさを前面に出したものから、オーク樽の香りをつけたものまでさまざまなタイプの白ワインがあります。
貴腐ワイン
貴腐ワインは、「貴腐ブドウ」と呼ばれるとても甘いブドウを使ってつくられる白ワインです。貴腐ブドウは、特別な条件下でブドウの皮に貴腐菌がつくことで
できます。貴腐ブドウの収穫・貴腐ワインの醸造にはとても手間がかかるため、貴腐ワインは通常の白ワインよりも高価です。
はちみつやドライフルーツを思わせる濃厚な甘い香りと、強い甘みが特徴です。質のよい貴腐ワインはただ甘いだけではなく、ほどよい酸味もあってバランスがとれています。ブルーチーズやフォアグラ、フレッシュフルーツなどと合わせて味わってみましょう。
【5】当たり年のヴィンテージワインにも注目!
ワインは、生産年度によって、良し悪しが異なるので、間違いのないヴィンテージワインを選びたいなら、ヴィンテージとなっている年度のワインを選ぶとよいでしょう。どこの国でもワイナリーごとにヴィンテージ年は異なりますので、全体的には2017年、2015年、2012年、2009年などがヴィンテージ年といわれています。
【6】用途や予算に合わせて価格から選ぶ
【エキスパートのコメント】
ボルドーのワインには、数万円もするような高級ワインから、1,000円台で買えるような手頃なものまで、実に幅広い価格帯のものが存在します。
贈答品にしたり、特別な日に飲むのであれば、少々お値段は張りますが、やはり格式の高い、格付けワインがおすすめです。
一方、気軽にボルドーのワインを楽しみたいときは、比較的手頃な価格のものや、有名シャトーのセカンドラベル(そのシャトーの基準に達しなかったブドウを使用してつくられる、安い価格でリリースされるワイン)でも十分に楽しむことができます。
用途や予算に見合ったワインを選ぶのもよいでしょう。