「投資やってる?」――いま、そんな質問を受けることが増えてきてはいないだろうか? 2018年1月からスタートした「つみたてNISA」など、若い世代でも始めやすい資産形成制度が登場するなど世間的にも"若者の投資"に注目が高まっている。では、"なぜ、いま若者は"投資"をすべきなのか?"。日本証券業協会で話を聞いてきたので解説したい。
なぜ証券投資を始めるべきなのか?
新社会人になったばかりの若い世代の人たちにとって、なかなか想像しにくいのが"将来かかるお金のこと"。日々の生活はもちろん、結婚、住宅、老後……現代社会を生きていくためには膨大な資金が必要となる。それを見越して若い頃からマメに貯金をしているという人もいるかもしれないが、これからの時代は貯めるだけでは不十分だということをご存じだろうか。
少子高齢化の影響によって、将来の日本では64歳以下の割合が減り、65歳以上の割合が増加していくと言われており、そうなると働く人は減るのに社会保障の給付が必要な人は増えていくことになる。つまり、このバランスを保つために一人当たりの社会保険料や税金が現在よりも増加すると考えられているのだ。
そうなると、貯めるだけでなく"増やす"ことも必要不可欠であることがわかるはず。しかし、今は金利が低いので金融機関にお金を預けていてもほとんど増えない。では、どうするべきか。そこで有効ツールとして注目されているのが"証券投資"による資産形成なのだ。
投資初心者のための5つの質問
将来に必要なお金を確保するために投資を始めようと思っても、「投資ってコワいんじゃ……?」「投資の始め方がわからない……」という不安でいっぱいの新社会人が大多数ではないだろうか。ここからは、投資初心者が知りたい5つの質問を、日本証券業協会 広報部の真木 爽さんに聞いてみたので、参考にしてみてほしい。
1.「あんまりお金がないけど、投資できる?」
このように"まとまったお金がないと投資はできない"というイメージをお持ちの方も多いようですが、投資は"まとまったお金を作るためにこそやるべき"と考えていただけばいいと思います。20代の若い世代の方々であれば、もちろんですが、多くの方は月に何万円もの金融商品を買うことは経済的に困難と思われます。そのように多額をつぎ込むのではなく、それこそ1,000円~でも始められる金融商品もあります。月収の一部の10,000円や5,000円程度を投資に回していくのであれば、ずいぶんとハードルが下がると思います。
2.「投資はどうやって始めればいい?」
証券会社や金融機関で口座をつくり、自分に合った金融商品を選ぶことで投資を始めることができます。投資は"当面使う予定がないお金で運用する"のがオススメです。"貯金で運用する"とお考えの方も多いかもしれませんが、貯金は旅行や引っ越しなどのシーンで切り崩すこともあります。それら近々使う可能性があるお金は確保しておき、"貯金の中でも当面使う予定がないお金を投資にまわす"ように考えるといいと思います。
3.「初心者にオススメの投資は?」
株式や債券、投資信託、預貯金……と、数多くの金融商品があるので初心者の方は迷ってしまうことが多いと思います。そんなときは、各金融商品の特徴に合わせて、自分に合ったものを選んでみてください。
・株式
会社が発行している「株式」を購入し、その会社の成長によって投資効果を得る。購入した価格より高く売れると「値上がり益」が得られ、配当金や株主優待など+αのお得なポイントが多いのも特徴。
・債券
国や地方公共団体が発行している借用証書のようなもの。定期的に「利子」を受け取ることができ、さらに満期日を迎えれば「額面金額」を受け取れる。
・投資信託
資産運用の専門家がいろいろな金融商品などを組み合わせて作っているパッケージ商品のこと。商品ごとに安全性や収益性が異なる。
・預金
銀行などの金融機関にお金を預けること。安全性と流動性は高いものの、収益性は高くない。
まだ投資への知識が少ない初心者の方は、毎回決められた金額ずつ購入していく「積み立て投資」の方法がおすすめです。なかでも、最大20年間の非課税メリットが得られて長期運用がしやすい「つみたてNISA」は、20歳以上であれば利用可能でメリットも大きいのでぜひ活用していただきたいです。
4.「損しないために注意すべきことは?」
金融商品はリスクを伴いますが、大切なのは自分に見合ったリスクとリターンのバランスを考えることです。当然ですが、リスクが大きければリターンも大きく、リスクが小さければリターンも小さくなります。
リスクを最小限に抑えるために重要な考え方として、投資の世界では「ひとつのカゴに卵を盛るな」というものがあります。ひとつのカゴに卵をすべて盛ると、そのカゴが落ちればすべての卵を失ってしまいます。それを回避するために、複数のカゴに卵を分散して盛りましょうという、投資先を分散させること(分散投資)の重要性を示しています。
この分散投資の代表的な方法のひとつとして、定期的に一定金額の金融商品を購入する「ドルコスト平均法」というものがあります。この方法は、金融商品の価格が安いときは多く、価格が高いときには少なく購入することで、結果として購入価格が平均化され、購入単価を下げることができます。前述した「つみたてNISA」もこの方式に則ったものですので、リスクを抑えたい初心者の方におすすめと言えます。
5.「投資はいつ始めるべき?」
「思い立ったが吉日」という言葉のように、なるべく早く始めることをおすすめします。投資には「複利効果」というものがあり、これは運用によって得た収益をさらに投資にまわすことで、利息が利息を生んでさらなる収益を生むという考え方なのですが、早くから運用を始めて収益が得られれば、これらの恩恵を長く受けることもできます。それが将来の資産形成にもつながりますので、スタートはなるべく早めがいいと思います。
就職や転職、結婚など人生の転機をきっかけに、投資を始める方も多いので、新社会人の方々もぜひ今を契機と捉え、証券投資を始めてみてはいかがでしょうか。
証券投資を始めると、こんなメリットもある!
これらを知れば、新社会人も若いうちから投資を始めるべき理由がわかったのではないだろうか。また、投資は必要なお金を作るだけでなく、社会の仕組みを学ぶうえでも役立つとのこと。投資を始めることで、自ずとニュースや新聞をこまめにチェックし、さまざまな企業や世の中の動向にも敏感になる。そういった知識は新社会人にも有意義なものになるはずなので、社会勉強のために投資を始めてみるというのもいいかもしれない。
私たちが将来に必要なお金を作るうえで重要な役割を担う"投資"。就職や新生活といういいタイミングをきっかけに、ぜひ始めてみてほしい。