JR西日本は11日の社長会見にて、第5世代移動通信システム(5G)の実証実験を実施し、その結果について発表した。
5Gは現在の3G・4Gと比べて高速かつ大容量の通信が可能になるほか、高信頼性・低遅延・省電力などさまざまな優れた特徴があるといわれる次世代の通信システム。総務省や携帯電話会社が中心となり、2020年の実用化をめざし、整備を進めている。
JR西日本は鉄道事業者として、この5Gが保守要員の確保や高度化する技術力の継続した維持・継承といった将来の課題を解決する可能性に着目。ただし、5Gが鉄道特有の環境で通信可能かどうか見極める必要があったため、総務省が実施する5Gの実証試験に協力することになったという。試験は2月18~22日、NTTドコモと共同で実施。JR京都線(東海道本線)島本~高槻間の沿線道路に200m間隔で基地局を4基、特急列車の回送列車にも5Gの移動局を設置して行われた。
試験内容は、列車の窓および120km/hを超える高速移動の影響など、鉄道特有の環境でも通信が可能か確認するもので、具体的にはハイスピードカメラで撮影したハイフレーム映像の高速アップロードや、4Kカメラで撮影した映像を途切れることなくリアルタイムにアップロードするなどの試験が行われた。
実証試験を受けて、鉄道特有の環境で120km/hを超える高速でも5G通信が可能と判明。高信頼性・低遅延という5Gの特徴を生かし、「鉄道で利用している通信などの代替、鉄道沿線の精緻な情報をリアルタイムに取得し、問題箇所を早期発見し迅速な対応につなげる」など、将来的な鉄道事業者の課題を解決できる可能性を実証したという。この試験結果を参考に、将来的な活用方法の検討を進めていくとしている。