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【この記事のエキスパート】
山岳/アウトドアライター&プロデューサー:高橋 庄太郎
1970年宮城県仙台市出身。高校山岳部で山歩きを始め、早稲田大学卒業後は出版社に勤務。
その後、フリーランスのライターに。著書に『山道具 選び方、使い方』(枻出版社)、『テント泊登山の基本』(山と渓谷社)などがあり、近年はテレビ番組やイベントへの出演も増えている。また、アウトドアメーカー各社とのコラボレーションを行なう自身のブランド「SCREES」を立ち上げ、製品開発にも取り組んでいる。
ハイキングやトレッキングといった登山に必要なバックパック(登山ザック)。人気ノースフェイスなどから小柄な女性でも背負える15L、20Lの日帰り登山向けサイズから30L、40L以上の大型までさまざまな容量の商品が発売されています。本記事では女性用登山バックパックの選び方とおすすめ商品を紹介します。
女性用バックパックの特徴
【エキスパートのコメント】
女性用バックパックの最大の特徴は、男性よりも華奢で、全体的に丸みを帯びた体に合わせ、ショルダーハーネスやヒップハーネスが設計されていること。たとえば、ユニセックス用のショルダーハーネスは直線的なデザインですが、女性用のショルダーハーネスは胸もとを圧迫しないように曲線を描いています。
また、女性は男性よりもヒップとウエストの差が大きいので、腰骨に乗せてフィットさせるヒップハーネスは、ユニセックス用よりも角度がついています。そして、各部のハーネスの長さは短め。身長が低い方こそ女性用を選ぶメリットは大きく、体への負担も少なくて済みます。
女性用登山バックパックの選び方
それでは、女性用登山バックパックの基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記のとおり。
【1】用途やシーンに合った容量
【2】自分の体に合うもの
【3】ポケットなどのディテールが使いやすいもの
【4】耐水性、通気性の高いもの
【5】軽すぎない、ウエストベルト付きのもの
【6】普段使いもするなら色やデザインもチェック!
上記のポイントをおさえることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】用途やシーンに合った容量を選ぶ
登山は軽いハイキングから連泊をともなう本格的なものまであります。バックパックの容量は、登山シーンに合ったものを選びましょう。
日帰りなら10~30Lまでのもの、1泊2日なら30~40L、2泊3日なら40~60L、3泊以上なら60L以上のものが選択肢になります。シュラフや防寒着の持ち込み、自炊の有無によって荷物の量が変わるので、適したものを選ぶのが重要です。
【エキスパートのコメント】
一般的に男性よりも筋力が低い女性は、重い荷物を運ぶと体に大きな負担がかかりがちです。この荷物の重さにはバックパック自体の重さも含まれるため、バックパック自体が軽ければ荷物の重さも減ります。
荷物を入れることだけを考えれば、少し大きめのものを選んでおいたほうが便利ですが、不要なほど大きいバックパックは荷物を重くするだけですので、必要十分な大きさを選びましょう。
【2】自分の体に合うものを選ぶ
長時間荷物を背負うには、自分の体に合うバックパックを選ぶのが重要です。背面長やフィット感の合うものを選びましょう。
背面長を測り、レディース用を選ぼう
首の下にある出っ張った骨から、腰骨までの長さが背面長です。登山用バックパックには背面長が設定されています。自分の背面長に合うサイズのバックパックなら、隙間ができず自分の体にフィットするので長時間背負っても疲れにくいです。
購入するまえに自分の背面長を測り、ぴったりのサイズのバックパックを選びましょう。また、女性の体形に合わせて作られたレディースラインを選ぶのが重要です。
【エキスパートのコメント】
リュックやザックなどともいわれるバックパックには、男性用として販売されているものはほとんどなく、基本的にはユニセックスの扱いです。
実質的には男性の体型をもとにデザインされているものがほとんどで、男性よりも小柄で体型も異なる女性には背負いにくいものが多くなっています。
それでも重量が軽い小型バックパックであれば、それほど問題なく背負えますが、荷物の重さが増える中型から大型バックパックになると体への負担が大きくなってきます。
そこで登場するのが、女性の体に合わせたバックパック。女性でもユニセックス用が違和感なく背負える方もいらっしゃいますが、やはり女性用を選ぶほうが失敗は少なくなります。
最重要ポイントは「体に合うこと」
フィット感を確かめるために、できれば購入前に試着してみるのがよいです。バックパックを正しい位置で背負ったときに、背中との間に隙間ができずぴったりフィットするものを選びましょう。
【エキスパートのコメント】
バックパック選びは、ウェア選びと同じです。男性用のウェアが女性の体にフィットしないのは当然ですし、女性用のウェアのなかにもさまざまなサイズがあり、背が低い人向けに作られたものは背が高い人に向いていません。もしもサイズが合わないものをなんとか着られたとしても、心地よさは感じられないでしょう。
単に女性用を選べばいいというわけではなく、ハーネスのフィット感やサイズ感などの点を考慮し、女性用のなかでも、特に自分の体に合うものを選ぶことが重要なのです。
【3】ポケットなどのディテールが使いやすいものを探す
登山中に荷物を取り出せるように、便利な工夫や機能のあるバックパックも豊富にあります。上下や側面から内部にアクセスできるもの、内部に仕切りがついている二気室構造のものなどです。
ほかにも、水分補給に便利なボトルなどを入れられるサイドポケットつきのものもあります。荷物の取り出しやすさもチェックしてみましょう。
【エキスパートのコメント】
男性と女性の荷物を比較すると、女性は身だしなみに関するグッズを筆頭に、細々とした小物が非常に多いのが特徴です。それらを整理して入れるためには、サイドやフロントなどのポケットが充実しているタイプのほうが使いやすいでしょう。
バックパック内部に小物を仕切って入れられるオーガナイザーが付属しているモデルもあり、男性以上に女性には好評のようです。
【4】耐水性、通気性の高いものを選ぶ
女性用登山バックパックの素材で、確認しておきたいのが耐水性と通気性です。気候が変動しやすい登山環境では、急な雨にも対応できるように耐水性の高い素材のバックパックを選びましょう。素材だけでなく、上部が蓋のようになっていて内部に浸水しない構造のものもあります。
バックパックと背中の間に汗をかいたままにすると、夏は不快なだけでなく、冬や雪山は体温が下がる原因にもなります。背面がメッシュになっているなど、通気性のよい素材を選びましょう。
【5】軽すぎない、ウエストベルト付きのものを選ぶ
登山用バックパックは軽量のものもあります。一方で、軽量にするためにショルダーベルトの厚みやポケットをなくすなど機能性をけずってしまっているものもあります。軽いだけで選ばず、機能性もチェックするようにしましょう。
また、ショルダーベルトだけでなくウエストベルトも付属しているものなら、体によりバックパックがフィットします。肩と腰に負担が分散するので、長時間背負っても疲れにくいです。
【エキスパートのコメント】
バックパックは、頑丈で壊れにくいものは重くなり、華奢で破損しやすいものは軽くなる傾向があります。そのあたりのバランスも一考すべきポイントです。
【6】普段使いもするなら色やデザインも確認しよう
女性用登山バックパックは、色やデザインもおしゃれなものがそろっています。登山シーンだけでなく普段使い用のバックパックとして兼用したいときには、色やデザインにも注目して選んでみましょう。
また、あざやかな色のバックパックはファッションのアクセントになるだけでなく、登山中にも目立つため万が一の遭難時にも自分の居場所を知らせるうえで役立ちます。
有名ブランド・メーカーの特徴
女性用登山バックパックは、いろいろなメーカーから発売されています。バックパック選びに迷ったら、メーカーの特徴で選ぶのもよいでしょう。
トータルコーデしやすい「ザ・ノース・フェイス」
THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)はアメリカ発のアウトドアブランドで、登山やアウトドア、ランニングなどいろいろなシーンに合った機能性の高いアイテムを展開しています。
機能性は損なわず、デザイン性も高いので普段使いに取り入れられるものも豊富にあります。ウェアなど登山ファッションをトータルコーデしたいときにも、すべてそろえられます。
ほかの登山用品も一緒に探すなら「モンベル」
mont-bell(モンベル)は日本発のアウトドアブランドです。機能美、軽量、迅速をコンセプトとした登山やアウトドアのアイテムを展開しています。
モンベルはバックパックのほか、ハットや防寒着などのウェア、さらにタオルやボトル、アウトドアファニチャーなどのギアやツールまでそろえられます。手にしやすい価格のものも充実しているので、ほかの登山用品も一緒に購入できます。
シンプルデザインで登山仕様のものなら「カリマー」
karrimor(カリマー)はイギリス発のアウトドアブランドです。登山アイテムも雪山登山やアスリートの使用も想定したultimateラインと、トレッキングやハイキングを想定したexplorerラインがあり、登山シーンや用途に合ったアイテムが探しやすいです。
バックパックデザインはシンプルなものも多く、メンズラインとおそろいでそろえられるものも多くあります。
上級者や買い替えにもよい「ミレー」
フランス発祥のブランドであるMILLET(ミレー)は、世界ではじめてショルダーベルトつきのバッグを発売し、現在のバックパックのもとになりました。その後、山岳登山向けの専門的な機能を取り入れたバックパックづくりを続けています。
機能性が高く、本格仕様のバックパックがそろっています。登山上級者や、ステップアップのために買い替えを検討しているときにも選択肢に入ります。
選び方のポイントはここまで! では実際にエキスパートが選んだ商品は……(続きはこちら)