豊島将之棋聖(※王位とあわせて二冠)への挑戦権を争う第90期ヒューリック杯棋聖戦決勝トーナメントは、4月4日に2回戦の羽生善治九段―菅井竜也七段戦、5日に同・久保利明九段―八代弥六段戦が行われ、菅井七段と久保九段が勝ってベスト4に進出しました。
羽生九段の通算100期挑戦は持ち越しに
菅井七段は2017年度、第58期王位戦七番勝負で羽生九段を4-1で破りタイトル初挑戦にして初戴冠を果たしていて、羽生九段との対戦成績も4日の対局で7勝3敗としました。棋聖戦では2014年度、第85期以来のベスト4入りとなります。あと2つ勝って、第59期王位戦七番勝負で敗れタイトルを奪われた豊島棋聖へのリベンジの舞台に立てるでしょうか。
羽生九段は星勘定を見れば苦手と言える菅井七段に敗れ、タイトル通算100期へのファーストステップであるタイトル戦挑戦権獲得は持ち越しとなりました。最速でのタイトル戦登場は挑戦者決定リーグに参戦中の第60期王位戦となります。
タイトル戦登場14回、通算獲得7期の実力者・久保九段は、番勝負に関しては不思議なことに王座戦、棋王戦、王将戦に活躍の場が片寄っていて、棋聖戦も上位常連ではあるものの、五番勝負への登場がありません。2007年度の第78期、2008年度の第79期に挑戦者決定戦まで進んでいますが、それぞれ渡辺二冠、羽生九段に敗れています。しかし、過去にも未来にもとらわれず今に専念するという意味の「前後際断」を座右の銘とする久保九段は、棋戦との相性など気にはしていないことでしょう。今年2月に王将位を奪われ無冠になった今、羽生九段と同様にタイトルホルダーへの復帰を狙います。
9日に行われる2回戦の渡辺明二冠―稲葉陽八段戦、11日に行われる郷田真隆九段―中村太地七段戦で今期のベスト4が出そろいます。4強はタイトル保持経験、タイトル挑戦経験者のみになることが確定していますが、挑戦者は誰になるでしょうか。例年、挑戦者決定戦は4月下旬に行われ、五番勝負が6月初旬に開幕します。