不動産情報プラットフォーム事業を行うマーキュリーは4月4日、2018年に首都圏で供給された新築マンションの平均坪単価を集計。エリア別でみた駅別の坪単価ランキングとその要因を発表した。
本調査によると、首都圏の新築マンションの価格は上昇を続けている。特に東京23区は過去5年間にわたり過去最高値を更新し続け、2018年には380.2万円まで上昇した。
その要因は、2011年に発生した東日本大震災の復興需要に加え、2020年開催の東京オリンピックに向けたインフラ整備や施設の建築などにより建築コストが高騰したこと。もうひとつも東京オリンピック需要によるもので、地価の上昇という点が挙げられる。
本調査では、高騰している坪単価に注目。1都3県で2018年に供給された新築マンションの平均坪単価を駅別に集計し、上位をランキング形式でまとめた。
東京都では上位10駅のうち、6駅が港区という結果に。2017年は単価850万円以上の駅は1駅のみだったが、2018年は3駅に増加している。また、都心3区(千代田区・中央区・港区)は日本のビジネスの中心地として経済活動が活発なだけでなく、住宅地としても高級住宅街として高い人気を誇っており、3区に位置する8駅が上位にランクインしている。
再開発で注目されている渋谷駅では、パークハウス渋谷南平台とパークコート渋谷ザタワーといった大規模物件が平均単価を大きく牽引し4位にランクインした。
23区全体でみると、平均を上回る坪単価400万円以上の駅が2018年は75駅となっており、2017年の61駅から大きく数を伸ばした。これが要因のひとつとなり、23区全体の平均坪単価が上昇したと考えられる。
唯一、過去5年間の平均坪単価推移で下落しているのが神奈川県(横浜・川崎)だ。2017年はパークコート山下公園やガーラ・シティ新丸子駅前といった高額物件の供給で坪単価が跳ね上がったが一時的なものだった。
神奈川で特徴的なのは、東急東横線や東急田園都市線といった「東急線」沿線の需要が高いこと。東急線は地下鉄にも乗り入れており利便性に優れており、自由が丘や武蔵小杉、二子玉川やたまプラーザなどはおしゃれタウンとしての知名度が高い。「田園都市構想」を基にした街づくりにより、ブランド力が高まったことが要因だと考えられる。今回のランキングでも上位10物件中6物件(※1)が東急沿線の駅という結果になった。
(※1)あざみ野駅含む
埼玉県もじわじわと値上がりが続いている。10物件中5物件がさいたま市のJR沿線駅となった。特に、JR京浜東北線の川口駅~大宮駅間を最寄り駅とする新築マンションの供給が多く、かつ坪単価が高い傾向が伺える。
京浜東北線は都内の上野駅や東京駅、有楽町駅や新橋駅といったオフィスが集中する駅に停車する為、都内通勤者にとって京浜東北線は利便性が高い。この傾向はほぼ例年通りで、埼玉県内における新築マンションは前述したJR京浜東北線の川口駅~大宮駅間を最寄り駅が主軸となっていると考えられる。
千葉県は2017年の188.1万円から17.5万円アップし、205.6万円という結果に。ランクインした多くが東京23区に隣接する浦安市や市川市に位置する駅という事に加え、JR総武線沿線の駅が多くランクインしている。JR総武線は秋葉原駅や新宿駅を停車駅としており、都内通勤者にとって利便性の高い沿線だと考えられます。
その為、千葉県においては、例年JR総武線沿線に供給される新築マンションが県内の相場を牽引する傾向にある。今回大きくジャンプアップした駅は4位の津田沼駅。総戸数759戸、平均坪単価266.0万の津田沼ザ・タワーが津田沼駅の坪単価上昇の要因となった。
今回の調査により、「一都三県で新築マンションの坪単価を牽引する駅は、ほぼ例年と変わらない」ことがわかった。
それぞれのエリアで上記のような特徴を持つ駅は、今後もそのエリアの新築マンション供給の主軸として高単価で供給されると考えられる。
また、大きなトピックスとして2020年東京オリンピックを来年に控え湾岸エリアの需給動向が活発になると言われているが、東京オリンピック需要が新築マンションの相場に対してどれ程のインパクトが出るのか、引き続き注目が集まりそうだ。