4月2日、16人トーナメントで1位、2位が決勝トーナメントに進出する第32期竜王戦ランキング戦2組準決勝の佐藤天彦名人―西川和宏六段戦が行われ、佐藤名人が勝って今期決勝トーナメント一番乗りを果たしました。
決勝は森内俊之九段―橋本崇載八段の勝者と
竜王戦は全棋士が最高クラスの1組から6組(※)までに分かれランキング戦を行い、各組の成績上位者が広瀬章人竜王への挑戦権を争う決勝トーナメントに進出します。また、原則として各クラス成績上位4人と下位4人は、来期ひとつ上、ひとつ下のクラスに昇降級します。(※6組には選抜された女流棋士と奨励会三段、アマチュアも数名参加します)
16人トーナメントで行われる最高クラスの1組からは5人決勝トーナメントに進出できますが、2組は前述の通り16人中2人。3組は16人中1人しか進出できず、4組と5組は32人トーナメントで1人、6組にいたっては大所帯(今期は62人)のトーナメントで優勝者1人しか進出できません。
また、表を見るとわかるように本戦トーナメントのシステムも上位クラスのほうが優遇されますので、下位クラスから挑戦権を獲得するのは難しく、第1期から第31期までで5組、6組から挑戦者となった棋士はおらず、今期、藤井聡太七段が所属している4組から挑戦者が出たケースも3件のみにとどまっています。
佐藤名人は同棋戦に2007年度第20期から参加。挑戦権獲得経験はありませんが、第24期(3組優勝)、第25期(2組優勝)に連続して決勝トーナメントに進出しています。第30期に1組から2組への降級を喫しましたが、今期32期に自身3度目の進出と、1組返り咲きを果たしました。
しかし、まだ気は抜けません。表の通り、2組の優勝と2位では挑戦権獲得まで1勝の違いがあります。1組から3組を勝ち抜いてきた猛者たちの中で、まず挑戦者決定戦三番勝負に進まなければならないとなれば、この1勝のアドバンテージはとてつもなく大きいもの。佐藤名人は何としても優勝を勝ち取りたいところでしょう。
豊島将之二冠との名人戦七番勝負の第1局を4月10日に控え、七番勝負中に2組決勝を迎えることが濃厚ですが、多忙の中2組決勝を制すれば自身初の複数冠もぐっと近づいてきます。