東京2020組織委員会は3月30・31日、野村ホールディングスとの共催により、「東京2020競技体験プロジェクト『東京 2020 Let’s 55 ~レッツゴーゴー~ with 野村ホールディングス』を開催した。
16競技の体験ブースがズラリ
「東京 2020 Let’s 55 ~レッツゴーゴー~」とは、東京2020オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに全55競技を体験する場をお届けするというプロジェクト。過去には3回開催されており、33競技を実施済みだという。4回目となる今回の会場は、なんと東京証券取引所。日本最大の金融商品取引所でオリンピックPRイベントが行われたというわけだ。
同地でスポーツイベントを開催するのは、明治11(1878)年の設立以来初の試みとなる。当日は、東証の重厚な建物の中のあちこちに体験コーナーが設けられ、子どもたちの歓声が響き渡った。
会場内で行われたセレモニーでは、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の武藤敏郎事務総長と、野村ホールディングスのグループCEO・永井浩二氏がスピーチを実施。
武藤氏は、「最近は株価に元気がありませんが、このイベントが株式市場の活性化のお役に立てればと思っております。3月30日の本日から、オリンピックの開会式まであと480日とちょっと。本当に、あっという間だと思います。それまでに、多くの皆様にこのような競技体験をしていただくことで、スポーツを身近に感じていただきたいです。そして、オリンピックとパラリンピックを盛り上げていきましょう」と語った。
これに続いて永井氏は、「この場所にお子さんが大勢いて、ここで賑やかな子どもの声を聞くのは新鮮な体験です。今回、55種類もの競技が体験できますが、55競技すべてを経験した方は、おそらくいらっしゃらないと思います。ある研究によると、『一流のアスリートになるためには、少なくとも3つ以上の競技を体験するとよい』という結果もあるそうです。まず、子ども自身がいろいろ経験した結果、自分に本当に合った競技を選べるということがいいですね。それから、普段使わない筋肉を使うことでケガをしにくい身体を作れるという効用もあるようです。日本では『一途』を重要視します。子どものころから野球一筋! といった姿勢もすばらしいですが、今日と明日はせっかくの機会なので、これまで縁のなかった競技も体験してください。それから、野村ホールディングス主催の金融・経済教室もありますので、そちらもご参加ください」と、同プロジェクトの開催意義を述べた。
イベント中のセレモニーが行われるステージには「鐘」が設置されており、武藤氏と永井氏がそれぞれ1回ずつ鳴らしてセレモニーを締めくくった。
この鐘は東京証券取引場を象徴するもので、通常は上場する会社の繁栄を願い、五穀豊穣になぞらえて5回鳴らされるが、この日は、イベントの成功と経済発展を祈念して特別に鳴らされたというわけだ。
厳かにセレモニーが行われるかたわらで、会場のあちこちでは歓声が響き渡っていた。例えば、バレーボールの体験コーナーでは、アスリートとアタックゲームができるほか、選手のパネル設置なども。スポーツに参加しなくても、記念撮影するだけでも楽しめそうなブースが並んでいた。
また、今回行われた16競技の中では、座った姿勢で行う「シッティングバレー」の体験は初の試みとなり、多くの人の興味を引いていた。
実は同競技は、戦争で身体が不自由になった人々が考案したスポーツで、始まりは1956年までさかのぼるとのこと。そのほか、視覚障がい者のために開発された5人制の「ブラインドサッカー」の体験コーナーなども、なかなか触れる機会がない競技とあって賑わいを見せていた。
世の中にはまだ知られざる競技が多数あるということをアピールするきっかけにもなり、奥深いスポーツの世界が垣間見える貴重な機会となった同イベント。参加者も、競技の体験などを通して、東京2020オリンピック・パラリンピック大会がますます楽しみになったようであった。