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【この記事のエキスパート】
芸術大学教員/DIYアドバイザー:野口 僚
徳島県の家具メーカーにて木製家具の製造に携わり、機械加工、仕上げ、組み立て、塗装など木工全般と家具製造ノウハウを培いました。
その後東京では業界新業態の体験型DIYショップで店長として勤務。店頭ではお客様の相談に乗りつつ、一人一人にぴったりのDIY用品を提案してきました。
同時にDIYレッスンの企画と講師を行い、日本のDIY文化発展のために努めてきました。
現在は大学のデザイン学部の助手として大学内工房に在中し、
学生に対しデザインやモノづくりの手法などを主に教えています。
本記事では、工具として使いやすいハンマー・トンカチの選び方とおすすめ商品を紹介します。家具を傷つけずに作業できるDIY向けのゴムハンマーや、大工さんも用いる本格的な玄能ハンマー、ショックレスハンマー、片手ハンマー、キャンプ向けの商品などをピックアップ。
ハンマー・トンカチの用途・役割
ハンマー・トンカチは、釘や杭を打ち込んだり、家具のパーツをはめ込んだりする際、叩いて使用する工具のこと。
用途は大きく、建設作業やDIY作業向けのタイプとアウトドア向けのタイプの2種類があります。
建設作業やDIY作業:釘・杭を打ち込むなど
建設作業やDIY作業向けの商品は、基本的には釘や杭を打ち込むための加工がされているハンマー・トンカチです。
釘を打ちつける鉄製のタイプ、木材の位置を調整したりするゴム製・樹脂製(プラスチック)のタイプ、金属板を打ち込んだり、木材の組み合わせに使用する木づちなどがあります。DIYや家具の組み立てなどで、パーツ同士をはめ込んだりも可能です。
片手ハンマーが主流で、その他、調整用のゴムがついた両口タイプ、釘抜きがついた便利タイプもあります。
アウトドア向けのタイプ:テントのペグなどを打ち込む
アウトドア用のハンマー・トンカチは、テントのペグを打ち込んだり、骨組みの組み立てなどに使用します。
ペグハンマーと呼ばれる専用のものもあり、持ち続けても疲れない軽量なものや、衝撃が少ないゴム製のものが多いです。
ハンマー・トンカチの選び方
それでは、ハンマー・トンカチの基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記の4つ。
【1】ハンマー・トンカチの種類
【2】素材ごとの特徴
【3】ヘッドの形状
【4】重量
上記の4つのポイントをおさえることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】ハンマー・トンカチの種類
ハンマー・トンカチには、大きく分けて、「ネイルハンマー」「片手ハンマー」「両口玄能」「ペグハンマー」の4種類があります。一つひとつ解説していきます。
ネイルハンマー:力がなくても打ちやすい万能タイプ
片面が釘打ち用、もう片面がくぎ抜き用のベーシックなハンマーで、一般家庭で使うならこのタイプがおすすめ。
打撃部分が重くなっており、持ち手は木製など軽量なことが多いので扱いやすいのが魅力です。力がない方でも釘を打ちやすいのが魅力です。
片手ハンマー:刻印の打ち込みにも使える
あまり目にする機会がないのがこの片手ハンマーで、ポンドハンマー、ボールハンマーとも呼ばれています。主に鉄鋼や金属加工作業に使用される専門的なタイプです。片面が球状になっており、刻印や鉄板の曲げ加工などに便利。
両口玄能:片面は木材に傷がつかない仕様に
片面が平らで、もう一方はR状になっています。釘打ちの際、最初は平面で打ち、仕上げに曲面で仕上げることで木材が傷つかないような仕様になっているのが特徴。ヘッドの形状は円だけでなく、四角、八角形などさまざまな種類があり、用途で使い分けることができますよ。
ショックレスハンマー:長時間使用しても疲れにくい
ヘッドの内部に砂や鉄球、バネなどが入っています。それが左右に移動することで衝撃が高まり、軽い力で作業できるのが魅力。また、無反動ハンマーとも呼ばれ、打撃時の衝撃を吸収し手が痛くなりにくいのも特徴です。
長時間作業していても負担がかかりにくいので、イチから棚やテーブルなどを組み立てる際にはとても便利ですよ。
ペグハンマー:テントを設営する際に便利
キャンプなどでテントを設営する際に、風で飛ばされないようにペグを打って固定します。そんなシーンで使うのがペグハンマーです。片面が平らでペグを打ち、もう片面がカーブしておりペグを抜くことができます。
すっぽ抜けしないようにヒモを備えているモデルや、持ち運びしやすい軽量かつコンパクトなモデルもあるので、テントを立てるときには専用のハンマーを使うことをおすすめします。
【2】素材ごとの特徴をチェック
ハンマー・トンカチの素材についても、それぞれ特徴があります。こちらも解説していきますね。
鉄製:力を入れやすく、釘を打ちやすい
鉄製のハンマーは、強度が高いため、釘を打ち付けるのに向いているタイプ。重量もあり、力が入りやすいほか、丸頭のタイプであれば鉄板曲げにも使用可能。
両口タイプで、打ち込み用・仕上げ用の2タイプが使えるものなど、使いやすいモデルが数多くあります。
アルミ製:軽量で耐久性がある
アルミ製のハンマーは、鉄製よりも軽量で、さらに釘を打ちつけても大丈夫な耐久性も魅力。また、サビに強いため、日々のメンテナンスもあまり必要ありません。鉄製のハンマーよりも使い勝手がいい商品です。
一方で、軽量なため、力が入りにくいデメリットもありますのでご注意ください。
ゴム製:軽く、子供でも扱いやすい
ゴムハンマーはヘッドが柔らかいことに加え、100g台という軽量なものも多く打ち損ねて手を打っても大けがになりにくいのでお子さんなどにもおすすめです。
ゴムの黒色が木材などに色移りすることもあるので、目立たない位置に試し打ちをしてから使うことをおすすめします。
樹脂製(プラスチック):木材などが傷つかず、扱いやすい
プラスチックという樹脂で作られているので、柔らかく扱いやすいのが魅力です。鉄製に比べて使用しているとヘッドが摩耗してくるので、取り換えたり、買い替える必要があります。
木製:対象物を傷つけにくい
木製ハンマーは金属に比べ柔らかいので、木材を傷つけずに作業することができます。素材はブナや本樫などで適度に硬度があるので、木材家屋の建築現場でも利用されます。釘を打つだけでなく、木材同士を組み合わせたり、木ダボを打ち込んだりするのにも便利ですよ。
【3】ヘッドの形状をチェック
ハンマーのヘッドには、片口タイプと両口タイプがあります。利用しやすい方を選んでみてください!
片口:狭い箇所にも打ち込める
平らな面と、先が尖った鋭い面を備えたハンマー。打ち込む場所が狭いときや、ピンポイントで釘を打ち込みたいときに便利なアイテムです。最初は平らな面で打ち始め、仕上げに鋭い面で釘を打つことで、きれいに仕上がります。
両口:打ち込みと仕上げを使い分けられる
平らな面と、若干曲がったR状の面を備えているのが両口タイプです。こちらも打ち始めと仕上げを使い分けることで、奥までしっかり打ち込むことができます。片口タイプに比べて、打ち損じても木材などが傷つく可能性が少ないので初心者にはこちらがおすすめ。
【4】重量をチェック
ハンマーに慣れていない方は、軽すぎる、重すぎるハンマーを避けるようにしましょう。軽すぎると釘が入り込みにくくコツが必要になってきます。重すぎると腕が疲れやすいです。
片手で動作を繰り返して疲れにくい適度な重さのものを選ぶことをおすすめします。目安としては250~450gくらいがちょうどいいでしょう。
エキスパートのアドバイス
【エキスパートのコメント】
ハンマーは多種多様な種類が販売されていますが、打ち込む材質や行いたい作業によって適したハンマーが変わってきます。
叩く動作としては全て同じなので最適ではないモノでも、工夫次第で使えてしまうのがハンマーのいいところではありますが、効率よくストレスなく綺麗に作業するためには、自分の行う作業に最適なハンマーを見つける必要があります。
持った際の重さ感覚も重要になってくるため、自分が使いやすいお気に入りのハンマーを探してみましょう。