相模鉄道は28日、相鉄・JR直通線用の新型車両12000系の報道発表会・試乗会を実施した。新型車両12000系は4月20日から営業投入される予定。かしわ台車両センターでお披露目された後、試乗会が行われ、かしわ台駅から西横浜駅まで約30分かけて走行した。
新型車両12000系は総合車両製作所のステンレス車両「sustina(サスティナ)」の「S24 シリーズ」(1両あたり車体長約20m・片側4ドア)として製造され、2019年度末までに10両編成を6編成(計60両)導入する予定となっている。今回お披露目された第1編成(12101~12001)は、昨年12月18日に横浜市金沢区の工場を出発し、かしわ台車両センターへ輸送された。その後は運行開始に向け、車両の整備や各種検査などが行われたという。
車両の開発コンセプトは「安全×安心×エレガント ~目先のトレンドに左右されない『醸成するデザイン』~」。相鉄グループが進める「デザインブランドアッププロジェクト」の概念にもとづき製造され、ステンレス製の車体に横浜を象徴する濃紺色「YOKOHAMA NAVYBLUE(ヨコハマネイビーブルー)」の塗装を施した。代表的な能面のひとつ「獅子口」をイメージした力強いデザインの先頭形状も外観における特徴となっている。
車内は昨年デビューした相鉄・東急直通線用の車両20000系の仕様を踏襲し、落ち着きのあるグレー系の配色で統一。ロングシートの座席は座り心地を改良し、ランダムパターンを施した汚れの目立たない生地を採用している。座席端部の仕切り板は強化ガラス製で、荷棚まで届くサイズに大型化され、乗客同士の干渉を緩和する。
座席の高さを上げて立ち座りを容易にし、座り心地を損ねない範囲で座面を小さくした「ユニバーサルデザインシート」も一部の優先席・一般席に導入。座席下部に大型の荷物を収納できるスペースを設けたほか、12000系では荷棚を復活させている。車いす・ベビーカー利用者向けのフリースペースは全車両に設置。2016年度グッドデザイン賞を受賞した吊り革、時間帯によって色調が変化する調色調光式のLED照明も採用した。
「ナノイー」搭載の空気清浄機をはじめ、長時間停車したときなどに乗客によるドア開閉が可能な個別ドアスイッチも導入。ドア上に液晶式案内表示器(17インチ)を設置したほか、相鉄線の特徴とされる「車内の鏡」も取り付けた。全車両で車内Wi-Fiも提供。前方監視カメラと車内防犯カメラにより、安全・安心のさらなる向上も図る。
室内灯や各種灯火類のLED化、IGBTタイプのVVVFインバータ制御装置の採用などで消費電力を低減し、防音車輪の採用で騒音も低減。JR線との相互直通運転にあたっての対応として、車両情報処理装置(TIMS)を共通化し、車両システムに会社間切替機能などを本格搭載する。ホームドア設置駅で自動停車可能なTASC(定位置停止装置)にも対応する。
報道発表会では、12000系を4月20日から営業運転に投入すると発表され、相鉄・東急直通線の車両20000系と並んで12000系がお披露目された。続いて相模鉄道とJR東日本が共同発表を行い、「そうにゃん」「Suicaのペンギン」も参加する中、相鉄・JR直通線の開業日を2019年11月30日と発表。その後は試乗会となり、「そうにゃん」らの見送りを受けてかしわ台車両センターを出発し、かしわ台駅から西横浜駅まで走行した。車体前面・側面の種別・行先表示器には「そうにゃん」のイラストも表示された。
新型車両12000系の営業運転開始に先立ち、一般向けのイベントも開催。4月13日の「新型車両デビュー記念撮影会 in 相模大塚」(10~15時開催。最終入場は14時30分)では、相模大塚駅構内に留置した12000系を撮影できるほか、「そうにゃん」と12000系の2ショット撮影、「12000系デビュー記念入場券セット」(限定2,000セット)や12000系グッズの販売などが予定されている。
4月14日は午前に一番試乗会、午後に区間試乗会を行う予定。応募は往復はがきにて行い、締切は4月1日(当日消印有効)。当選者200名が一番試乗会に招待され、かしわ台車両センターからいずみ野駅まで乗車できる。区間試乗会はいずみ野線内を走行し、一番試乗会に漏れた応募者の中から最大1,000名まで乗車できるという。