三菱電機は3月20日、食パンを密閉して1枚ずつ焼き上げるトースター「三菱ブレッドオーブン(TO-ST1)」を発表しました。4月25日の発売に先駆け、試食会に参加したので、その様子をレポートします。焼きたてパンのように香り豊かなトーストや、ふわっふわのフレンチトーストが絶品でしたよ!

  • 三菱ブレッドオーブン。ダイニングテーブルにも置けるような木目調のデザインを採用しています

三菱ブレッドオーブンは、食パンを庫内に密閉することで、焼き上げ時に食パンの香りとうまみを逃さないようにしたもの。上下にフタが開く箱形のオーブンで、本体サイズはW270×D223×H140mm(フタを開けない場合)です。発売は4月25日で、価格はオープン。市場価格は3万円前後(税別)の見込みです。

  • 上下にフタが開くボックス型のオーブン。食パン1枚を焼くサイズということで、幅はそれほどとりません

  • 操作部分は本体前面下部に集約。左からメニューボタン(トースト、冷凍トースト、トッピングトースト、フレンチトースト)、食パンが何枚切りかを選択するボタン(4枚切り、5枚切り、6枚切り、8枚切り)、焼き色ボタン(ふわふわ、薄め、ふつう、濃いめ、サクサク)です

食パン1枚、こだわって焼く

さっそく調理方法を見ていきましょう。まず三菱ブレッドオーブンのふたを開けて、プレートの上にパンをのせます。一度に焼けるのは、食パン1枚まで。つぎにフタを閉め、調理メニュー(トースト、冷凍トースト、トッピングトースト、フレンチトースト)、食パンが何枚切りか(4枚切り、5枚切り、6枚切り、8枚切り)、焼き色(ふわふわ、薄め、ふつう、濃いめ、サクサク)を選びます。

  • 三菱ブレッドオーブンに付属するレシピの開発を手がけた、京都にある「喫茶マドラグ」で店主を務める山崎三四郎裕崇(やまざきさんしろうひろたか)氏が調理実演をしてくれました! パンの上に卵、ブラックペッパー、パルメザンチーズをのせ、卵をかこむようにオリーブオイルをかけ、三菱ブレッドオーブンで焼きます

  • フタを閉めて密閉します

  • ボタンで調理メニューや焼き加減を決めます。今回は、「トッピングトースト」「4枚切り」「ふつう」で設定しました

  • おいしそうなトーストが焼き上がりました。焼き上がりまでの時間は約3分半です

  • 仕上げにボッタルガ(カラスミ)とパセリをふりかけます。トロッとした卵が食欲をそそりますね

  • プレートにバターをしいた上にパンをのせたので、裏面はカリカリ。それでいて耳の部分はふんわりとしていました

パンの上にのせた卵は、黄身がとろりとしているのに白身が固まっていて、半熟卵の理想的な状態です。パンは表面がカリっと、中はふわふわでしっとりしています。驚いたのは、トーストの耳がふわふわしていること。トーストの耳のかたさが苦手な子どもでも、最後までおいしく食べられそうです。三菱電機はこのトーストを「生トースト」と表現していました。

一般的なトースターは扉部分に窓が備わっていて、焼き上がりの状態を視認できますが、三菱ブレッドオーブンは窓がなく、焼き上がりの状態が見えません。そのかわり、「カチカチ」という音で焼き上がりが分かるようになっています。最初は「カチ……カチ……」で、焼き上がりの1分ほど前から「カチ…カチ…」になり、焼き上がる10秒ほど前になると「カチカチカチカチ」と、だんだん「カチカチ」の間隔が短くなっていきます。

炊飯器チームが追求した「トーストのおいしさ」

調理デモをした「喫茶マドラグ」の店主である山崎三四郎裕崇(やまざきさんしろうひろたか)さんは、「三菱ブレッドオーブンで焼いた食パンは、ふわふわで甘みも感じられる。香りも楽しめます。ベーカリーで焼き上げたばかりの食パンを蘇らせるようなイメージですね。生卵を使ったトーストを調理しましたが、一般的なトースターだと生卵の加熱調整が難しいんです。三菱ブレッドオーブンは、上下のプレートで食パンの両面を均等に加熱するので、半熟卵もいい感じに仕上がります」と話しました。

三菱ブレッドオーブンのトーストは、豊かな小麦の香りと甘みを感じられ、それでいて耳までふわふわ。今まで食べてきたトーストとは違うものといえるでしょう。焼き上げ時のポイントは密閉すること。

三菱電機によると、「ヒーターの熱、食パンから出た水分(蒸気)や香りを漏らさないよう、密閉断熱構造を採用しています。また、一般的なトースターで採用されているガラス管ヒーターではなく、フラットヒーターを上面と下面に搭載し、ムラなく均一に食パンを焼き上げます。センサーは底面と側面に配置し、微妙な温度変化も見逃さない、細かな加熱制御を実現しました」とのことです。

  • プレートやフタに茶色のパッキン(密封装置)が搭載されています。これが密閉構造のポイント

三菱ブレッドオーブンを開発したのは、三菱電機で炊飯器を開発していたチームでした。開発チームは、「パッキン(密封装置)を使った構造、温度制御などは、炊飯器開発で培った技術を応用したものです」と語っていました。水分を生かしつつ、食パンの魅力を最大限に引き出す温度制御は難しく、開発までに約3年の月日をかけたのだと、苦労をにじませていました。1度に焼ける食パンの枚数を1枚ずつに設定したのも、「庫内を密閉し最適な温度制御をすることを考えると、1枚ずつ焼くのがいい」と、おいしさを追求した結果といえます。

  • 焼きたて食パンと、トーストは味のバランスが異なります。三菱電機は、焼きたて食パンの状態に近づけるよう三菱ブレッドオーブンを開発してきました

  • トーストはカリっとしつつも、焦げた味や香りはしません。パンの耳はふわふわ

  • プレートなどのパーツはすべて取り外せないので、焼いたあとはペーパーなどで拭いてお手入れします。水洗いは推奨しません

  • 焼き色は5段階で調整できます

ホテルの朝食みたい! ふわふわのフレンチチースト

三菱ブレッドオーブンの細かな温度制御の実力が分かるのがフレンチトーストです。卵液をしみこませたパンをプレートに置き、フレンチトーストの専用メニューを選択。調理時間は4枚切りで約10分でした。

【注:音声が流れます】三菱ブレッドオーブンを開けると、香りがもくもくもくっと立ち上がり、おいしそうなフレンチトーストが現れました

  • 卵液をしみこませたパンを焼いていきます

  • フレンチチーストは専用キーがあります。調理時間は4枚切りで約10分です

  • ふんわりと焼き上がりました

  • 最初に下から加熱して、温度上昇をみながら加熱をコントロール。そのあとに上面を焼き上げるので、中まで火が通り、かつ焦げすぎない焼き上がりとなります

  • トッピングをのせると、カフェで食べるフレンチトーストのようになりますね。フレンチトーストはプリンやスフレのようなふわふわ食感で激ウマでした

フレンチチーストは卵液に砂糖をいれるので焦げやすいのですが、三菱ブレッドオーブンで作ったフレンチトーストは、中にしっかり火が通りつつ、表面はほどよい色づきで、タイマー設定は不要なのがいいところ。できあがったフレンチトーストは激ウマ! こんな贅沢な朝食を食べたら、いい気分で一日を過ごせそうです。

家電量販店では売らない

三菱ブレッドオーブンを最初に見たとき、1枚ずつ焼くということを聞いて「ファミリー向けではないのでは?」と思ったのですが、家族でトーストをシェアして食べるのもアリだと感じました。5枚切りの食パンは約3分(2枚目以降は2分ほど)で焼けるので、たとえば子ども2人に焼いたトーストを半分ずつ渡しておいて、子どもがトーストを食べている間にもう1枚食パンを焼く、といった利用で朝の忙しい時間帯も切り抜けられるのではないでしょうか。

  • 付属ヘラ。焼きあがったパンをお皿にのせるほか、プレートの掃除にも使えます

三菱ブレッドオーブンは当面、家電量販店では販売せず、Amazon.co.jpなどのネット通販のみ取り扱います。インテリアショップなどでの販売も検討していくほか、体験イベントも実施する予定だそう。焼きたてパンのような「生トースト」を楽しめる三菱ブレッドオーブンは、パン好きなら一度ぜひ使ってみてほしい製品です。