お金に関する調査データは公的機関や金融機関などが行ったものがいろいろ公表されていますが、ほとんどは貯蓄額や家計に関するもの。夫婦のお金に対する意識や投資に対する考え方まで設問に加えているものは、あまりありません。

そんな中で2018年10月にスパークス・アセット・マネジメントが行った「夫婦のマネー事情と夫婦円満投資に関する調査2018」では、ヘソクリの額、お金にまつわる夫婦ゲンカなども調査。友人や身近な人の間では話題にしにくい設問を中心に、この調査を見ていきましょう。

お金についての調査で、まず知りたいのは「貯蓄額」

お金に関する調査の設問の定番といえば「貯蓄額」。主導して管理しているのは半数以上が妻という今も昔も変わらない結果ですが、この調査で注目したいのは夫婦別々に管理している世帯が2割もいるということ。貯蓄を夫婦別々に管理しているということは、給料を把握していないことにもつながるようで、共働き夫婦の3割弱は配偶者の給料を把握していないという結果が出ています。

お金のプロたちが“貯まらない家計”の理由に挙げることが多い、夫婦のお金の別管理。出産で妻の働き方が変わったり、住宅購入でまとまったお金が必要になったりしたとき、貯まっていないことに愕然とする人も多いといいます。給料の詳細を知らないのは良しとしても、せめて貯めているお金は早めに情報公開しておくのが賢明かもしれません。

貯蓄に関しては年代が上がるほど増えるという、極めて常識的な結果。ただし60代以上で1390万円というのは、年金受給額にもよりますが長い老後期間を考えると少し心細いかもしれません。

へそくりについての設問も、家計調査ではよく見られる設問です。へそくりをしているのは男性より女性の方が多く、へそくり金額も男性より女性の方が多いというのは、多くの調査で共通する結果。

興味深いのは、へそくりをしている理由です。男性は「自分へのごほうび、消費のため」が1位なのに対し、女性は「老後の生活費のため」が1位。上位に「家計の収入が途絶えたときの備えのため」「家族が病気やケガになったときの備えのため」が入るなど、いざという時への備えとしてへそくりをしている現実が見えてきます。

とはいえ、こづかいそのものは全世代を通じて女性より男性の方が高額。女性はこづかいからだけでなく、家計費を上手にやりくりしてへそくりを貯めているのでしょうか。こづかい額で注目すべきは、性別・世代を問わず2016年よりも2018年の方がアップしていること。景気の良さが少しは表れているのかもしれません。

約2割の夫婦は、年に1回以上お金が原因で夫婦喧嘩をしている

暮らしをともにする上で、お金は大きな問題。しかし、いくら夫婦とはいえお金のことは面と向かっていいにくいもの。それだけに、ガマンの限界を超えるとケンカになってしまうのでしょうか。約4割の夫婦が年に1回以上お金のことで喧嘩をし、1年の平均回数は2.9回、約16%は年に5回以上夫婦喧嘩をしているのです。とはいえ、6割強の夫婦は0回ですから、どちらが普通ともいいにくい結果です。

ちなみに、パートナーのどんなお金の使い方にイラっとするのでしょう。ほとんどは順位こそ違え、男性も女性も同じようなことにイラっとするようですが、10位以内に入っていないことがひとつずつあります。それは、男性の回答では「子どものことにお金を使いすぎる」。女性の回答では「見栄を張って高価なものを買う」です。そんな、それぞれの特性を理解すれば、少しはパートナーに対して寛容になれるかもしれません。

夫婦で一緒に考えて投資をすると会話が増える!

調査を行ったスパークス・アセット・マネジメントは投資信託などの運用を行う投資顧問会社ということもあり、投資についての設問も行われています。

現在、夫婦で一緒に考えて投資を行っているのは24.5%、今後行いたいと思っている人も含めると3割以上が考えているよう。女性は年代を重ねるにつれて投資への意欲が高まるようですが、男性は若い世代も投資に関心が高く、夫婦一緒に投資を行うことへの意欲も高いようです。

夫婦で一緒に考えて投資を行うことのメリットは、男女とも「夫婦の会話が増える」が一番。女性は「悩んだときにすぐ相談できる」「自分とは異なる視点の意見が聞ける」「急な値動きをしたときなども冷静でいられる」など、投資行動をする上で頼りにできることをメリットと感じるようです。ところが男性は「夫婦仲が良くなる」「夫婦の価値観が揃うようになる」といった、行動の共有に意義を感じているよう。同じことをしていても、感じていることが違うのは興味深い結果です。

  • 鈴木弥生

鈴木弥生

編集プロダクションを経て、フリーランスの編集&ライターとして独立。女性誌の情報ページや百貨店情報誌の企画・構成・取材を中心に活動。マネー誌の編集に関わったことをきっかけに、現在はお金に関する雑誌、書籍、MOOKの編集・ライター業務に携わる。ファイナンシャルプランナー(AFP)。