社会人になると、初めて耳にする単語がたくさんあります。品物を取り引きする流れの中にも、受注・発注・検収・納品・請求といった単語がやりとりされますが、今回はその中の一つ、「検収」という言葉についてお話しします。
検収の意味
検収とは、「納入された品物が、発注どおりであるかを検査して受け取ること」をいいます。文字通り、「検査して、収める」という意味です。
発注した品物が、発注どおりの種類・数量であるか、破損等の不備がないかを確認するほか、品物が機器であれば動作確認も行います。いずれも、発注書や納品書といった書類と照合するのが一般的です。
また、IT関連では、コンピューター等のシステム開発を発注した際に、納品されたシステムが発注どおりであるかを検証することを検収といいます。
発注から請求までの流れ
検収は、品物を取り引きする中で行われるものですが、具体的にどの段階で実施するものなのか、見積もりから請求までの流れを確認してみましょう。
「コンビニ店にA社の監視カメラ3台を設置してもらう」ケース
まず、A社に監視カメラ設置の依頼をし、現地にて監視カメラの種類や設置台数・設置箇所などを確認し、A社から「見積もり」をもらいます。見積もりに納得したら、正式に「発注」します。
A社は、コンビニ店からの発注を受けて(受注)、実際に監視カメラを設置(納品)します。設置してもらったコンビニ店からすれば、商品を受領したことになります。
受領したら、監視カメラ設置の内容が見積書どおりであるか、動作等に問題がないかを確認し正式に受け取ります。これが検収です。A社は、検収されたことを確認してから、コンビニ店に対して「請求」手続きを行います。
この一連の手続きは、口頭でやりとりされるものではなく、それぞれ「○○書」といった書類にサインや押印をもらうことで次のステップに進みます。一般的には、受注側がこれらの書類を用意し、発注側はサインや押印をするだけになっています。
検収書の役割
受領書は、「とりあえず取り付けてはもらいました」「とりあえず商品は届きました」という書類で、仕事としては途中経過にすぎません。
これに対し、検収時に発行される検収書では、「発注書どおりに納品してもらったことを確認しました。破損・動作不良等の問題もありません」ということを意味します。受注側からすれば、正式なOKが出た証しです。これをもって、受注側は請求書を発行します。
時折、検収を急ぐよう催促されることがありますが、受注側からすれば、検収されないと請求書を発行できない、請求できないと代金を回収することができないからです。商品を受け取っただけで安心して、箱も空けずに置きっ放し、なんてことの無いよう気をつけましょう。
検収後のクレーム・返品は原則NGです。隠れた欠陥等があった場合には別ですが、見た目に商品が凹んでいたり、使ってみたら動かなかったりしても、検収書を発行した以上、後日壊したものと判断されても仕方ありません。
いい加減な検収で損害を与えることのないよう、検収作業はきちんと行いたいものですね。