白石和彌監督が20日、東京・東映本社で行われた映画『麻雀放浪記2020』の会見に出席し、2013年公開の映画『凶悪』でピエール瀧容疑者と共演したリリー・フランキーの言葉を伝えた。

  • リリー・フランキー

    白石和彌監督、ピエール瀧容疑者と共に映画『凶悪』完成披露試写会に出席していたリリー・フランキー(2013年9月4日撮影)

テクノバンド・電気グルーヴのメンバーで俳優のピエール瀧容疑者が麻薬取締法違反の疑いで12日に逮捕されたこと受け、東映は瀧容疑者が出演した映画『麻雀放浪記2020』の「対応に関して協議中」としていたが、この日の会見で当初の予定通り4月5日に公開することを発表。東映の代表取締役社長・多田憲之氏は「容疑が事実であれば、決して許されることではなく、大変な憤りを感じております」とし、中止や延期、編集した上での公開など議論を重ねたが結論に至らず、「配給担当である弊社の判断」でノーカットのまま公開することになったと報告した。

白石監督が、「監督として大きく引き上げてくれた一人」「彼の持っているキャラクターと男っぷりの良さ、いろいろなところに男惚れをして通算5本仕事をさせていただいた」と語る通り、瀧容疑者との縁は深い。2013年公開の映画『凶悪』は映画賞を総なめし、第37回日本アカデミー賞の優秀作品賞、優秀監督賞、優秀脚本賞を受賞。ピエール瀧容疑者はリリー・フランキーと共に優秀助演男優賞を受け、北原里英主演『サニー/32』(18)で2人の再共演が実現すると“凶悪コンビ”として話題になった。

  • 白石和彌

    映画『麻雀放浪記2020』の会見に出席した白石和彌監督

それだけに白石監督のショックは大きく、会見では慎重に言葉を選びながら「一緒に映画を作ってきた仲間がこういう犯罪を犯してしまって僕自身、大変驚きました」「抑えられない憤り」と吐露し、「本当に今はバカ野郎としか言いようがない」と感情をあらわ。「自分の罪を反省して、これからどういう人生を歩んでいくのか分からないですし、僕自身も想像できないですけど、治療をして人としてまずは歩いてほしい」と願い、「個人が犯した罪と作品そのものには罪はない」という考えのもと、ノーカットでの公開を望んだという。

また、事件発覚後に『麻雀放浪記2020』出演者と会う機会はなかったそうで、「主演の斎藤工さんとは『どうなるんだろう』と、少しメールのやりとりをしました」。また、「『凶悪』の時にリリーさんと瀧さん(のコンビ)だったので、リリーさんとはやり取りして、『なんでこういう残念なことが。あいつは何やってんだ』」と肩を落として嘆くリリーの言葉と共に、「みんな一様に、単純にビックリしています」と周囲の反応を伝えた