JR東海は18日、リニア・鉄道館で開館時から展示している蒸気動車「ホジ6014号」が文化庁の文化審議会答申を受け、同社所有の車両として初めて重要文化財(美術工芸品)として指定されたと発表した。
蒸気動車は客車の片側に小型蒸気機関車と同様の走行機能を備え、単車運転を可能にした車両。明治30年代後半から昭和初期にかけて、都市近郊や地方の非電化・閑散線区で使用されたという。小単位の高頻度・短距離輸送を担い、当時は「自働車」、後に「汽動車」と呼ばれた。
「ホジ6014号」は、機関走行部を容易に取外し可能とした構造が特徴の蒸気動車で、1913(大正2)年3月15日に汽車製造によって製造された。車体の長さは約15m、自重は24.1トン、定員は80人。1913年の新製当時の姿でほぼ現存(ダブルルーフ・伝声管・ロングシート・吊革など)し、1962(昭和37)年には国鉄が鉄道記念物に指定している(当時の車両称号はキハ6401)。現存する唯一の蒸気動車であり、気動車の始祖とも呼ばれる。
1913年の運行開始から1943年まで関西地区および直方地区(福岡県)で運用され、1967(昭和42)年から博物館明治村で約40年間展示。2011(平成23)年からリニア・鉄道館で展示され、現在に至る。文化審議会からは、「本車輌は現存唯一の蒸気動車であることにくわえ、蒸気機関、動力伝達機構、台車、台枠、 車体などの保存状態が特に優れ、鉄道史、科学技術史上等の研究上に価値が高い」と評価されている。