OPPOは2019年、「10倍ハイブリッドズームスマートフォン」「FeliCa・防水スマートフォン」「Renoブランドのスマートフォン」を発売する、とオッポジャパン代表取締役社長の鄧宇辰氏が明言しました。今年は、さらに日本市場で存在感を高めていきたい考えで、18日に開催された説明会では、同社が発表した「10倍ハイブリッドズーム」搭載スマートフォンも展示されていました。
超広角から最大10倍、画質をソフトで美しく
10倍ハイブリッドズームは、中国OPPOが2019年1月中旬に北京で技術発表し、MWC19 Barcelonaで搭載スマホがお披露目された、スマホ用カメラの新機能です。3つのカメラを組み合わせたトリプルカメラを採用しており、35mm判換算で16mmの超広角からのズーム比が10倍、同160mmまで画質劣化を最小限に抑えた撮影ができる、という技術です。
この最新スマホの発表当初、OPPOは「10倍ロスレスズーム」と表現をしていました。これは、「すべてのズーム比で800万画素を維持するという意味」(OPPO映像プロジェクトマネージャー李龍佳氏)だそうですが、OPPO独自の表現となっていたため、これを「10倍ハイブリッドズーム」に改めたようです。
ハイブリッドズームという表現も複数の意味がありますが、複数レンズによる焦点切り替えに加え、デジタルズームでも中央切り抜きで疑似的にズームするといった方式を採用するなどして画質劣化を抑えた方式、あたりの意味でしょう。特にOPPOでは、ソフトウェアアルゴリズムを駆使して画質劣化を抑えている点をアピールしています。
「10倍ハイブリッドズーム」のレンズの動きは?
「10倍ハイブリッドズーム」を搭載する新スマホのカメラは、超広角レンズに加えて、メインとなる35mm判換算26mmの広角レンズ、そして同約130mmの望遠レンズという3つのレンズを搭載します。
ズームの動きは、広角端の16mmから8.1倍までズームすると望遠レンズに切り替わり、10倍までデジタルズームをする、というものです。
光を屈曲させる仕組みでレンズを薄く
128mmという焦点距離はスマートフォンとしてはかなりの望遠レンズですが、これを搭載するために同社ではペリスコープ(屈曲光学)構造を採用しました。一般的にカメラのレンズは、先頭から入った光を、奥行き方向に複数並んだレンズへ進ませ、最後尾にあるセンサーに届けます。そのため、焦点距離128mmを実現しようとすると「レンズモジュールの厚さが15mmになってしまう」(李龍佳氏)といいます。
これに対して、レンズの前玉(一番前にあるレンズ)から入った光をプリズムで屈曲させて、潜望鏡のように、高さ方向に曲げるのが屈曲光学系です。デジタルカメラではすでに採用されている技術で、過去には同様のモジュールを搭載したスマートフォンもありましたが、これによって6.76mmという本体厚を実現しました。
メインカメラは4,800万画素に。日本でも2019年発売へ
今回、展示されていたのは試作機ということで、詳細なスペックなどは明らかにされていません。メインのカメラの画素数が4,800万画素になることは明らかにされていますが、それ以外のカメラの画素数も明らかにされていません。
日本でも発売は今年中になるとのことで、実際の製品化が楽しみなところです。
日本市場の参入から1年。新シリーズ「Reno」を予告
オッポジャパンは、日本市場に最適なFeliCaと防水性能を備えたスマートフォンも投入する計画です。新シリーズとなる「Reno」ブランドのスマートフォンの存在も公表されました。しかし「具体的な製品は適切なタイミングで発表する」(鄧社長)とのことで、明らかにされていません。10倍ハイブリッドズームスマートフォンとFeliCa・防水スマートフォン、Renoが同じ端末なのか、別々なのかも明らかにされませんでした。
日本市場参入1年となる同社ですが、矢継ぎ早に端末をリリースしてきたものの、「MVNOをメインにやってきて、3分の1ほどしか力を十分に出し切れていない」と鄧社長。「日本のマーケットは他国とは異なっている。グローバルでのやり方をそのまま日本に持ってきてはダメ」というのが鄧社長の判断で、今後日本ユーザーとの積極的なコミニュケーションや接触ポイントの増加を図りつつ、ブランドの確立と販路拡大を目指していく考えです。
ちなみに、今回展示されていた10倍ハイブリッドズームスマートフォンは、実は5Gにも対応していたそうです。OPPOは5Gの研究開発に注力を続けており、2015年4月から5G標準化チームを結成し、すでに2000以上の文書を標準化団体に提供し、特許も1,000以上取得するなど、市場をリードする1社になっていると自信を見せています。