"陰キャ"という言葉を最近よく目にします。陰キャラ、つまり「陰気なキャラ」を略した言葉であり、さらに反対の用語として"陽キャ"(こちらは陽気なキャラ)という言葉もよく見かけます。

そんな陰キャであるMさん、Hさん、Tさんの3人は、陽キャだらけの会社に就職。毎日のように飲み会が開催される職場で、数少ない"陰キャ仲間"としてサバイブしています。ちなみにMさん、Tさんは中途入社、Hさんは新卒入社です。

  • 左からHさん、Tさん、Mさんの陰キャ3名(写真:マイナビニュース)

    左からHさん、Tさん、Mさんの陰キャ3名

今回はそんな3人に集まっていただき、日頃から実践している「陰キャの処世術」について語ってもらいました。

陰キャと陽キャの違い

ーーそもそも陰キャ、陽キャってどんな人のことでしょう。

M:そういえば定義ってなんだろうね。

H:陽キャは飲み会で活躍する人じゃないでしょうか。

T:若くてノリがよくて口がうまい人ですよ。あと、何かお願いしてくるときに「次、合コンおごるんで!」って言ってくる人。

M:めっちゃ具体的だね。

H:完全に実体験ですよね、それ。

M:僕ら3人に共通することだよね。なんだろう。

H:うーん……やっぱり会社の飲み会を楽しめるかどうかじゃないですか。

T:会社の人でも気のおけない同僚だったら楽しいんですけどね。

M:じゃあ、これでどうかな。偉い人から「飲みに連れて行ってやる」と言われて喜べるかどうか。

H:あー!

T:わかります!

H:素直に喜べる人は陽キャですよね。

  • 「職場では波風を立てたくない」と言うTさん(左)

    「職場では波風を立てたくない」と言うTさん(左)

ということで、陽キャは偉い人と「喜んで」飲みに行ける人のようです。いろいろあるようなので、「飲み会」についてもう少し深掘りしてみます。

陰キャと飲み会

ーー皆さん、飲み会には言いたいことがありそうですね。

H:いっぱいありますよ! 私、飲み会途中での席移動ができないんですよ。で、お店に着いたら何となく着いた順番で席を埋めていくじゃないですか。そうすると、お店に行くまでの道で一緒に歩いていた人と隣になる可能性が高いんですよ。

T:言われてみればそうかも……。

H:誰と隣になるのかは死活問題なんです。極力偉い人の隣にはならないようにお店に入るタイミングとか、誰と移動するのかを慎重に調整しています。勝負は会社を出た瞬間から始まっているんですよ!

M:わかるなぁ。

T:でも先に着いて席をとっても、後から人がきたら「奥につめて」とか言われませんか?

H:そう。だからお店に着いたら、まずは座りたい席、できれば端っこにカバンを置いてトイレに行くことにしています。そうすると「つめて」って言われないから。で、皆の席が決まった頃合いを見計らって帰ってくる。

  • Hさんの狙う座席イメージ

    Hさんの狙う座席イメージ

T:策士……!

M:付け加えると、取るべき席はなるべく下座だね。上座に近いほど偉い人が隣になる確率が上がるから。

陰キャの処世術1:飲み会で座る場所をカバンで確保

陰キャと二次会

ーーでも偉い人と話した方が今後の会社生活に「プラス」になりませんか?

H:その発想が陽キャですよね。

M:飲み会で出世しようというのがもう陽キャ。

T:なるべく波風立てたくないんですよ。

H:そりゃあ気に入られたらプラスになることも多いですけど、逆もありえるじゃないですか。ハイリスク・ハイリターンですよ。リスクは取りたくないです。

M:皆さん、二次会はどう?

H:なるべく行きたくないですね。

T:実は僕は二次会は行くことも多いです。二次会まで行くと自分も皆も酔っぱらってるから、わりと陽キャにもいいたいこと言えるチャンスなので。

H:えー! そんなチャレンジしてたんだ……。

M:ちなみに僕は絶対二次会には行きません。

H:Mさんは家庭がありますしね。

M:そう、「子どもの世話があるので帰りますね」ってするっと抜ける。

T:まぁそれは誰も何も言えませんよね。

M:極論すると、「二次会に行きたくないから子どもつくった」みたいなところありますからね。

H:……。さらっとすごいこと言いましたね。

T:ちなみに偉い人じゃなくて、同期はどうですか?

M:僕は同期も無理だな。

H:たとえ同期でもちょっと……。そういえば私の同期は、内定式の前に皆で一緒に旅行に行ってたらしいんですよ。私はもう、そもそもそういうのが無理で、その話を聞いた後「この職場、私はダメかもしれない」って電車で号泣しましたもん。泣きすぎてコンタクトが目の裏に入って病院行きましたよ。

M:えええ……。

T:誰も悪くないのに悲しいエピソードだ。

陰キャの処世術2:二次会は家族を理由に回避

ここで、飲み会以外の会社生活も聞いてみましょう。

陰キャは帰るのも大変

ーーいろいろな苦労話が出てきましたが、とはいえ会社生活は続きます。他に処世術はあるのでしょうか。

M:僕はもうずーっと陰キャをやってるんだけど、それで思ったことは、妙にがんばるより陰キャを確立した方がいいと思いました。たとえば「二次会は絶対行かない」とかも、ずっと言い続けて、そういうやつだと認識されるようになっておく。陰キャブランディングです。

H:ああー。

T:すごくわかります!

  • Mさん(左)は様々なテクニックで職場をサバイブ

    Mさん(左)は様々なテクニックで職場をサバイブ

H:帰りのエレベーターとかどうしてます? 同僚と鉢合わせして、そのまま電車も同じ方向だと一緒に帰ることになって話すこともないし、めちゃくちゃ困るんですけど……。

M:それもちゃんと考えてるよ。それが嫌だから、オフィスで席を立つタイミングから計算してる。それでもどうしても一緒になってしまったときのために、話す内容もぜんぶ用意している。

H:すごい!

T:Mさん、プロ陰キャ(※)ですね。
※陰キャとしての強い自覚と責任感をもつ存在

H:電車は本当につらいので参考にします……。仕事で陽キャの人と一緒に外出することがあるんですけど、そのときも「何話そう」「あとどれくらい電車に乗るんだろう」とか、いつも考えてしまうので。

陰キャの処世術3:帰るときはタイミングを計算

陰キャ歴が長いだけあり、Mさんはいろいろテクニックを駆使しています。これだけ陽キャ対策を考えるからには、陰キャは陽キャが苦手なのでしょうか?

陰キャは陽キャをどう思う?

ーー会社の人とあまり仲良くしたくないということですか?

T:いや、そういうわけじゃないんですよ。

M:自分から誘えないだけなんです。ランチも飲み会も、誘われたら行きますよ。

H:大人数だと苦手ですけどね。少人数だと楽です。

M:そもそも陽キャって別に嫌な人ではないんですよ。むしろ「いい人」が多い。そこは誤解がないように言っておきます。

H:そうそう! 光属性(※)ですよね。行動力もあるし、いろいろ気を遣ってくれるし、「いい人だなー」って素直に思うことが多いですよ。
※職場の中心として機能する存在。多くはカースト(職場の序列)の上位者。

T:だから相性の問題なんですよね。親切だし、よい人なのはわかるんだけど、どうしてもベースの思想が違うから真似できないし、したいとも思わない。

M:やっぱり陰キャブランディングでキャラを確立して、波風立てず平和に生きていくのが一番ですよ。

陰キャの処世術4:陰キャブランディングを行う


陽キャが多い職場でサバイブする陰キャの皆さん。次々に飛び出す"あるある"エピソードと、そこから生み出された処世術には納得する人も多いのでは?

属性を変えることなく、自分らしく働く3人。もし同じような悩みや不安があるのなら、参考にしてみてください。