3月14日、所属する13人の棋士が総当たりで上位2席の昇級枠を争う第77期順位戦B級1組最終局全6局が東西の将棋会館で行われました。

渡辺二冠は全勝で1期復帰 木村は9期ぶりA級へ

前期の雪辱果たす! 21期ぶりのB級1組全勝を達成した渡辺二冠

今期は順位1位の渡辺明二冠が初戦から全勝を続け、昨年12月、自身9戦目となる対橋本崇載八段戦に勝って9勝0敗とし、2位以内を確定させ早々に昇級を決めていました。最終局を迎えた時点で残り1枠を勝ち取る可能性がある棋士は有利な順に7勝4敗の木村一基九段(5)、斎藤慎太郎王座(10)、6勝5敗の行方尚史八段(2)の3人。木村九段と行方八段は最終戦直接対決で、木村九段は自身が勝てば昇級、斎藤王座は自身が勝ち木村九段が敗れた場合、行方八段は自身が勝ち、斎藤王座が敗れた場合に昇級という状況でした(※カッコ内は今期順位)。

結果は自力の木村九段が行方八段に勝って8勝4敗とし、9期ぶりのA級復帰を決めました。結果的に斎藤王座は自身が勝っても昇級ならずでしたが、全勝の渡辺二冠との対局に敗れ7勝5敗の3位で今期を終えました。

渡辺二冠は第56期の丸山忠久七段(当時)以来21期ぶりのB級1組全勝を達成。11人で行われ降級枠が3つあった前期A級で、順位3位・4勝6敗ながら降級の憂き目に遭いましたが、わずか1期での復帰となりました。今期は他棋戦でも活躍を見せ、挑戦権を獲得した第68期王将戦七番勝負では久保利明王将(当時)を4-0のストレートで下し王将位に復位、現在進行中で3月17日に第4局が行われる第44期棋王戦五番勝負でも挑戦者・広瀬章人竜王に対し2-1とリードを奪い、防衛まであと1勝としています。

やさしくユーモアのある解説でファンの多い木村九段

木村九段はA級通算4期。タイトル戦にも6回登場している実力者ですが、惜しくも戴冠には至っていません。実力もさることながら、ユーモアに富み、かつ優しい口調の将棋解説で多くの支持を得ています。ファンは初タイトル獲得を心待ちにしていることでしょう。久々のA級、大暴れなるか。

来期第78期のA級は順位の順に、佐藤天彦名人か豊島将之二冠(※名人戦の敗者)、羽生善治九段、広瀬章人竜王、糸谷哲郎八段、佐藤康光九段、久保利明九段、三浦弘行九段、稲葉陽八段、渡辺二冠、木村九段と決まりました。濃密な総当たり戦は6月ごろ開幕の見込みです。