JR北海道・JR東日本が3月16日に実施したダイヤ改正により、東北・北海道新幹線「はやぶさ」の一部列車で東京~新函館北斗間の所要時間が短縮され、最短3時間58分となった。これを記念し、地元関係者らによる歓迎イベントが新函館北斗駅や函館駅などで行われた。
北海道新幹線は青函トンネル内とその前後の区間が在来線(貨物列車)との共用走行区間となっており、風圧での荷崩れなどを考慮してトンネル内の最高速度を140km/hに抑えてきた。高速化を図りたいJR北海道は昨年9月、実車によるすれ違い試験を青函トンネル内で実施。安全性が確認できたことから、今回のダイヤ改正で青函トンネル内の最高速度を160km/hに引き上げた。
これにより、これまで最短4時間2分だった東京~新函館北斗間の所要時間が4分短縮され、開業以来の悲願だった「4時間切り」が実現した。ダイヤ改正によって「4時間切り」を果たした列車は、東京駅8時20分発・新函館北斗駅12時18分着「はやぶさ5号」、東京駅9時36分発・新函館北斗駅13時34分着「はやぶさ11号」の下り2本と、新函館北斗駅17時25分発・東京駅21時23分着「はやぶさ38号」の上り1本。
この日、初の「4時間切り」列車として新函館北斗駅に到着した「はやぶさ5号」の乗車率(新青森~新函館北斗間)は約50%だったという。新函館北斗駅長や北斗市長をはじめとする地元関係者らに加え、北海道新幹線つなげる応援大使「どこでもユキちゃん」などのキャラクターがコンコースに立ち、約400人の乗客を出迎えた。
ただし、地元在住者に話を聞くと、祝賀ムードとは裏腹に冷めた見方をする人も少なくない。4時間あまりの乗車時間が4分短縮されたところで、「早くなった」との実感を持ちにくいというのがその理由だ。
別の理由もある。北海道新幹線の利用者の大半は、新函館北斗駅で函館駅へ向かうアクセス列車「はこだてライナー」に乗り換える。東京なら次から次へと列車がやって来るが、「はこだてライナー」の場合はそうではない。たとえばこの日、「はやぶさ5号」で従来より4分早く新函館北斗駅に到着した乗客は、「はこだてライナー」の発車まで18分待たなければならなかった。これでは、4分の短縮効果などないに等しい。
新函館北斗駅での北海道新幹線と「はこだてライナー」の接続の悪さについては、これまでも地元在住者や旅行者から不満の声が上がっていた。今回のダイヤ改正で一部は改善されたが、それでもなお、乗継ぎまでに20分以上を要する列車が上下合わせて1日5本も残った。新幹線のスピードアップと所要時間短縮は歓迎しつつも、「新函館北斗駅と函館駅のアクセス向上も優先してほしい」というのが利用者の本音のようだ。