民放キー5局の4月改編情報が14日、出そろった。日本テレビの独壇場だった日曜のゴールデンタイムで、テレビ朝日が『ナニコレ珍百景』『ポツンと一軒家』で存在感を示すなど変化が現れているが、各局はどのような思惑でこの改編に臨むのか。その他のトピックを含め、動向をまとめた。

  • (上段左から)日本テレビ、TBS、テレビ東京 (下段左から)テレビ朝日、フジテレビ

■テレ朝の日曜猛追に日テレは…

2月24日に16.4%を獲得した『ポツンと一軒家』が、『世界の果てまでイッテQ!』(日テレ)を0.1ポイント差で関東で初めて抜き、3月10日は『ポツンと一軒家』が番組最高の17.0%で再び『イッテQ』(16.5%)を上回った。

この状況に、テレ朝の赤津一彦編成部長は「多くの視聴者に見ていただいているということは、非常に励みになっております」とコメント。一方、日テレの岡部智洋編成局担当局次長兼編成部長は「各局の番組が切磋琢磨していくのはいいことだと思いますので、テレビ朝日さんの番組に限らず、他局の番組も見習っていきながら、『鉄腕DADH』『イッテQ』『行列のできる法律相談所』という日曜日の強いラインというのを、しっかり支えて強化していきたい」と、謙虚に見解を述べた。

テレビ東京は、『THEカラオケ★バトル』を、現在の水曜20時台から『日曜ビッグバラエティ』枠(毎週日曜19:54~21:54)に移動。同枠では『緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦』『日曜ゴールデンの池上ワールド』も引き続き編成されるが、縄谷太郎編成部長は、この3番組とその他単発番組のサイクルではなく、「もう少し『カラオケ★バトル』の本数が多くて、池上さんに関しては、ここの枠での本数は少なくなるというイメージ」と、娯楽色を強めていく方針を示した。

フジテレビは、4月改編に先駆け、今年に入って20時台に『でんじろうのTHE実験』、21時台に『アオハルTV』を投入。世帯視聴率としては厳しい出足となっているが、齋藤翼編成部長は「放送回数も少なく、まだ完全ではありませんが、それぞれ試行錯誤しながらも良い芽が少しずつ出てきています」とした上で、特に『アオハルTV』については「(総合演出の)マイアミこと萩原啓太の若い才能が力強くさく裂できるように応援していきたいと思っています」と、見守っていく姿勢を語っている。

■TBS2時間ドラマ撤退の裏で好調のテレ朝

今回の改編で、TBSは『月曜名作劇場』を終了。かつては各局で編成されていた2時間サスペンスドラマ枠だが、石丸彰彦編成部企画総括は「地上波では、一定の役割を終えたという判断をしました」とその理由を語り、「培ってきたDNAを今後連続ドラマに生かすということが、我々の使命だと思っています」とした。

これをもって、2時間ドラマ枠がキー局の夜から消滅するという一部報道もあるが、実はテレ朝『日曜プライム』(毎週日曜21:00~23:05)では、積極的に2時間サスペンスを放送している。バラエティ特番も編成する枠だが、今年に入ってからの放送は全てドラマで、『警視庁・捜査一課長スペシャル』(1月6日、11.9%)、『おかしな刑事スペシャル』(1月13日、11.5%)、『終着駅牛尾刑事50作記念作品~荒野の証明』(1月27日、11.3%)、『松本清張ドラマスペシャル・疑惑』(2月3日、11.2%)、『庶務行員 多加賀主水が悪を断つ』(2月10日、12.0%)、『遺留捜査スペシャル』(2月24日、10.7%)、『温泉若おかみの殺人推理30』(3月3日、10.9%)と、2ケタ視聴率を連発しているのだ。

テレ朝の赤津編成部長は「『土曜ワイド劇場』を終了したときに『なんでやめたんだ』という声がものすごく多かったんです。それで、日曜の朝10時にやったら『良かった』『夜見たい』という声が強く、クオリティも高かったので、もう一度週末の夜に放送することにしたんです」と経緯を説明。結果を出している背景について、「リラックスする人が多い時間なので、複雑なストーリーよりも痛快で分かりやすい作品を選んでやっています。同じシリーズでも(趣向を)変えています」と、各局が撤退する中での戦略を明かした。

■中居新番組はいずれも「調整中」

各局でMC番組を持つ中居正広だが、この改編で『中居正広の身になる図書館』(テレ朝)と、『ナカイの窓』(日テレ)の2つの番組が終了。いずれも、それぞれの局で新たな番組がスタート予定だ。

テレ朝の赤津編成部長は「中居さんには7年半にわたり、番組を続けてもらい、大変感謝しています」とした上で、「この4月を節目に、『中居図書館』シリーズは終了し、中居さんには新たな放送枠でさらなる挑戦をしていただきたく、改編にいたりました」とし、「視聴率が原因ではない」と強調。“新たな放送枠”はまだ明かされておらず、「調整中」としている。

日テレの岡部担当局次長は「横並びでも良い視聴率獲得していただいて感謝の言葉でしかない。金曜日の夜が若い人がテレビを見やすい時間なので、そこの時間帯に中居さんのMC力を生かして、新しい視聴者層の開拓の一環として頑張っていただきたいということで、終了することになりました」と、こちらも視聴率低迷が原因ではないことを説明。新番組は、金曜(24:30~24:59)の時間帯で、“M1層(20~34歳)開拓”を狙いとするバラエティ番組を「最終調整中」としている。

また、前回の10月改編で『THE突破ファイル』(日テレ)、『坂上どうぶつ王国』(フジ)と、ゴールデンで2本のレギュラーが増えたばかりのサンドウィッチマンが、今回も『10万円でできるかな』(テレ朝)、『サンドのお風呂いただきます』(NHK)でさらに2本増。『帰れマンデー見っけ隊!!』(テレ朝)で、地上波ゴールデン初レギュラーをつかんでからわずか1年で、ゴールデンで5本のレギュラーを持つことになる。

視聴率の数字は、ビデオリサーチ調べ・関東地区。