東京メトロは15日、千代田線北綾瀬駅で10両編成列車の運行開始を記念した式典と出発式を実施した。北綾瀬駅では3月16日からホームを10両化し、新たに改札と出入口を増設。同駅を発着する列車の一部を10両編成とし、代々木上原方面へ直通運転を行う。
北綾瀬駅では1979(昭和54)年の開業以来、3両編成の列車による北綾瀬~綾瀬間の折返し運転が行われ、ホームは短い3両編成のみ対応していた。2015年、千代田線の本線(綾瀬~代々木上原間)から10両編成の列車が直通できるように、北綾瀬駅ホームを延伸する工事に着手。あわせて改札と出入口の新設、バリアフリー設備の増設、駅ビルの新築などにより、駅の利便性向上をめざす工事が進められてきた。
ホーム延伸工事の完了により、10両編成列車による北綾瀬駅から代々木上原方面への直通運転が可能となる。駅隣接のしょうぶ沼公園側に直結する新たな改札と出入口が設置され、3月16日から営業開始。延伸ホームの南改札を覆うように、しょうぶの葉をモチーフとした柱構造の膜屋根が設置され、自然光を取り込んだ開放感あふれる空間となる。
10両編成列車の運行開始を前に、北綾瀬駅で記念式典が行われ、東京メトロ代表取締役社長の山村明義氏が挨拶。「開業当時の利用者数は1日4,000人ほどでしたが、いまは3万人を超えるまでに成長しています。今回、10両編成列車が発着できる構造に改良したことで、北綾瀬駅の混雑が緩和され、10両編成列車を代々木上原方面へ直通運転することにより、利便性が大きく向上します」「明日のダイヤ改正以降、北綾瀬~綾瀬間の平日の運行本数を6本増発の124本とし、うち51本を10両編成の直通列車として運行します。綾瀬駅で代々木上原方面から北綾瀬駅へ乗り換える際の階段の上り下りなどが軽減され、千代田線全体の安定性も向上すると考えています」と説明する。
北綾瀬~綾瀬間では朝ラッシュ時間帯を中心に、同区間折返し運転の列車と、綾瀬車両基地を出発する綾瀬駅始発の列車が一部で同じ線路を使用するため、遅延などが発生した際に他の列車にも波及し、ダイヤ乱れの原因になっていたという。折返し運転の列車は綾瀬駅で切欠き式の0番ホームを使用しており、代々木上原方面へ乗り換える際、列車の後寄りの車両が混雑しやすいという課題もあった。北綾瀬駅から10両編成列車を代々木上原方面へ直通させることで、これらの課題を軽減し、綾瀬駅の混雑緩和と利便性向上、千代田線の安定輸送の実現を図ることも目的のひとつとされている。
記念式典の後、関係者向けに10両編成の16000系による臨時列車が運行され、到着に合わせ、延伸ホームにてテープカットが行われた。臨時列車は北千住駅務管区長の出発合図で11時11分に発車し、綾瀬駅までの区間を往復した。北綾瀬駅ではホーム延伸工事の完了後も、環状7号線の北側へ出入口を新設し、道路をまたぐ連絡通路を設けるほか、駅ビル新築工事なども進める。駅全体のリニューアル完了は2020年12月を予定している。
なお、千代田線と相互直通運転を行うJR常磐線(各駅停車)の亀有~取手間13駅において、列車の車体に取り付けた車外スピーカーから発車メロディを鳴らす取組みを3月16日初電から本実施し、あわせて東京メトロ・小田急電鉄の協力の下、全車両の発車メロディを統一するとJR東日本が発表している。これに関連して、北綾瀬駅を含む千代田線の発車メロディについて担当者に尋ねたところ、「発車メロディはいままで通りホームから流す形となりますが、(JR東日本の取組みが)かなり効果があるということであれば、当社としても今後検討していきたいと考えています」とのことだった。