iPhoneの買い替えを考え中のみなさん、機種選びでチェックするポイントはいろいろあると思いますが、気になるポイントの一つはやはりカメラ性能ですよね。でも、スペック表を見るとiPhone XS/XS MaxもXRも、カメラの画素数は12MP(1,200万画素)。iPhone 6sやSEと同じ数字です。じゃあiPhoneのカメラは進化してないの? と思ってしまうのはちょっと待った。画素数は同じでも、実はその"中身"はかなり別物です。

今回は、数字的には同じ「1レンズ・12MP」のiPhone 6sとXRで同じものを撮ってみました。大きく違うポイントを4つ挙げて、比較してみましょう。

※撮影サンプルは縮小・JPEG変換しているため実際の画像とは異なります。それ以外のレタッチは一切行なっていません。

1)普通に撮った場合の発色が違う

同じ条件で同じものを、ただシャッターを押して撮った場合の比較です。6sでは光の当たっていない部分がグレーがかった色になっているのに対し、XRは色味の奥行きで再現され、全体的に鮮やかな印象を受けます。

  • 葉や花びらの色合いを見ると、XRの方が階調豊かに表現されていることがわかります

  • 色の深みの違いがわかりやすい1枚。6sの方が現実に近いホワイトバランスなのですが、写真としてはXRの方がいい雰囲気になっています

  • XRは全体に柔らかく光がまわりこんだような発色に。質感も……というより、直感的に「美味しそう」に見えます

2)逆光・暗い場所での描写力が違う

逆光や暗い場所など、一般的にカメラが苦手とする状況で撮った場合の比較です。XRは逆光で影になった部分が自然に明るく見え、色味や質感がよく表現されています。また、暗い場所では白と黒の極端な表現になっている6sに対して、XRは明暗の幅が広く色味も鮮やかに再現されています。

  • 逆光でぬいぐるみの顔が影になっている6sに対し、XRは自然な明るさに補正されています

  • 光っている部分と暗い部分の幅が少ない6sに対して、XRは階調豊かに明暗と色味の幅を表現しています

3)コントラストの描写力が違う

明暗の差が激しい場所で撮影すると、暗部が黒く潰れたり、明部が白くなりすぎて質感が消えてしまいがちで。XRではその両方のディテールをしっかり表現しています。

  • 目で見た印象に近い仕上がりのXR。影の中でもさらに明暗の階調を広く表現しています

  • 影になった木の幹のディテールをしっかり拾っています。グレーっぽい石の質感もより精彩に感じられます

4)自撮りのキレイさが違う

一番の違いはこれでした。フロントカメラの画素数は6sの5MPから、XRでは7MPへ増えています。それ以上に、XRはフロントカメラでも「ポートレートモード」を使うことができます。

ポートレートモードとは、被写体に人を検知することで背景をボカしたり、照明効果を加えたりすることができる機能です。より人物にフォーカスした仕上がりが得られます。6sには搭載されていません。

  • XRはポートレートモードで撮影。背景がボケていると小顔に見えませんか? また、逆光で撮ったことを感じさせない自然な明るさで色白効果も

  • 「深度コントロール」で背景のボケ具合を調整できます。これだけでもかなり印象の違う写真になります

全体的な印象は、6sに比べてXRは「一段明るく、鮮やか」に撮れるというものでした。特に暗い場所や逆光で撮った場合の差は顕著で、明暗差や色味が幅広い階調で表現されています。逆に、条件のいい環境で撮ると「つくりすぎでは?」と思わないでもないのですが、後で比べてみるとXRの方が好ましい印象になっているのが不思議なところ。人間の思い出補正にXRのカメラがついてきているのでしょうか。

6sとXRは、1レンズ・12Mという数字は同じでも、カメラ機能を支えるセンサーやプロセッサなど"中身"の進化によって、撮ったものを写真として仕上げる性能に大きな差があることがよくわかりました。買い替えの機種を決めあぐねているみなさんのご参考になれば幸いです。