日本酒の味、英語で伝えられる? 2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を控えて、東京には外国からやってくるお客さんがますます増えている。都内で働いているサラリーマンだったら、外国の方に道を尋ねられたりする場面も、きっと出てくるはず。ということで、趣味を通して英会話に親しめる「IIBC ENGLISH CAFE」が開催されていると聞いて行ってみた。

  • 「おっとっとっと…」も英語で言っていたのかな?

「趣味×英会話」で楽しく英語を学ぼう

この催しは、日本でTOEIC Programを実施・運営する、国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)主催により2019年2月28日~3月3日の期間限定で東京・北青山の「ロイヤルガーデンカフェ青山」にて開催されたもの。

  • 会場となったのは北青山の「ロイヤルガーデンカフェ青山」

IIBCの広報室によると、「IIBC ENGLISH CAFE」は、"Enjoy Communication"をコンセプトとして、会議室などではなくカフェで気軽に英会話に親しんでもらおうというもので、今回は好きなものや趣味(Hobby)を通して英語(English)を学べる「ホビングリッシュ(Hobbinglish)」と銘打たれた講座などを4日間にわたり実施。「ENGLISH×スマホカメラ講座」「ENGLISH×ビジネス会食講座」「ENGLISH×トラベル講座NY編」「ENGLISH×おもてなし講座」などが行われた。その中の1つに、「ENGLISH×日本酒講座」なんていうものも。どうして日本酒を題材に取り上げているのだろうか?

  • 4日間にわたりさまざまな講座が開講。トークセッションなども行われた

「海外から人がいらしたときに、ビジネスの会話はできるという方は多いと思います。でも、仕事後にご飯を食べに行って、例えば日本酒を飲んだりしたときに、なかなか英語で雑談ができない、日本のことについて話せない、という話を耳にしたんです。そこで、今回はそういう場で話せるようなプログラムをやってみようということで『ウィー』(英語講師協力)さんのご協力のもと、「ENGLISH×日本酒講座」を実施することになりました」(広報室)

なるほど、となれば食レポ記事も担当している筆者としては、今後日本酒の味わいをワールドワイドに伝えていくという使命感を持たざるをえない。これは取材するべきだ(ただの酒好き)。参加者は20名ほど。中には、居酒屋を経営している方や、日本酒を販売しているお店の方もいたようだ。

日本酒の味を英語で伝えるには?

10時半からスタートした講座では、外国人の女性講師が「Good morning!」と元気に挨拶。日曜の午前中からお酒を……的なことを英語で話している。うん、これくらいまではなんとなくわかる。正直、最初は日本語で説明をしながら英会話に入っていくのかと思いきや、最初から最後まで英語でのコミュニケーションであった。どうやら、みなさんある程度日頃から英語に親しんでいる方たちのようだ。ユーモアを交えて参加者とトークして、講座は進行。

  • 講座は明るい女性講師のトークで終始和やかな雰囲気だった

手元には日本酒の味や匂いなどを英単語にしたテキストが配られており、「Sake」「Shochu」などの単語が飛び交っていた。参加者のみなさんは、講師の言葉を聞き取りながら、積極的に会話に参加していく。味わいや香りについての表現では、「Dry(辛口)」「Sweet(甘口)」などで表すだけでなく、「芳醇な」という表現を「Mellow」と表していた。そうなんだ!?

しばし、対面の人と酒の味わいについての会話を行ったりした後、実際に日本酒を試飲。「東洋美人」「南部美人」「獺祭発泡にごり」「七田 純米おりがらみ」と、普通に呑みたい日本酒を手に、全員で乾杯!

  • 本格派の日本酒が用意されていた

  • みんなで乾杯してからテイスティング開始

みなさん、グラスを傾けつつ、味わいを語り合っていた。酸味を表す「acidity」という単語についての名詞と形容詞の使い分けなど、講師に表現方法の違いを尋ねている人もいた。その後、2人の女性参加者が前に出て、美味しかった日本酒について英会話でプレゼンテーションを行った。日本酒を楽しみながらの英語での会話を通して、積極的な姿勢が生まれている様子だった。

  • 表現方法の違いについて積極的に質問している人もいた

参加者のお1人にお話を聞いてみると、建設関係のお仕事をしているという男性は、実際に会社で外国人の方と会食する機会があり、日本酒の説明をするのはむずかしいと感じていたそうで、この講座を知り参加したとのこと。参加したことで、「日本酒に関するボキャブラリーが増えてよかったです」とほろ酔い気味の笑顔で語ってくれた。

これからの時代、英語スキルは必要不可欠

「IIBC ENGLISH CAFE」は地方でも展開しており、2018年は金沢、石巻、熊本の益城町で実施したという。益城町は震災により英語学校が無くなってしまったり、石巻はインバウンドに注力していることから要望があり開催することになったのだとか。金沢は、外国人旅行客が増加していることから、地元の方が英語を話すきっかけになれば、ということで開催することに。こうした地方のニーズにも合わせて展開すると共に、東京はフラッグシップとして開催していこうと考えているそうだ。

今後の日本、特に東京に住み働く人にとっては、英語でのコミュニケーションはもはや必要不可欠。「ENGLISH CAFE」は英会話に親しむきっかけとして、今後ますます需要が高まりそうだ。