広島電鉄は14日、新型車両5200形「Greenmover APEX(グリーンムーバーエイペックス)」の営業運転開始を記念し、広電宮島口駅で出発式を開催した。2号線(広島駅~広電宮島口間)のさらなる利便性向上を目的に、新たな超低床車両が導入される。
新型車両5200形「Greenmover APEX」は車両長30,000mm(5車体3台車)、車体の最大幅2,496mm、車体高さ3,450mm。「APEX」は「頂点」「極地」などの意味を持ち、「Greenmover」シリーズ最先端の車両を表す。
近畿車輛、三菱重工エンジニアリング、東洋電機製造の「U3」が製造を手がけ、エクステリア・インテリアともにこれまでの「Greenmover」シリーズから一新。エクステリアは「スピードと広島のアクティブさ」を造形のテーマとし、モノトーン基調に明るい緑のアクセントを加えたカラーリングで未来的なデザインとした。車体側面は角を斜めにカットしたグラフィックスで街を駆け抜けるスピード感を表現している。
インテリアもエクステリアに呼応して「モノトーン+アクセント」配色でまとめ、色数を抑えた配色とコントラストで車内全体の広がりを演出し、都会的でメリハリのある空間デザインに。腰掛表布は水の都・広島の川の流れをモチーフに、ドットと曲線で新しい時代へとつなぐ時間の流れを表したという。スタンションポールはエクステリアと同等色の明るい緑とし、車内空間にアクセントを加えるとともに見やすさも考慮した。
定員は151名で、うち座席定員58名。宮島線の車両はこれまで車掌2名での運行に対応していたが、現在は車掌1名となっているため、新型車両では車掌が1名減った分のスペースを座席に置き換えることで、座席定員を2名増やしたという。客室床面高さは入口330mm・一般部360mm。車内表示器は日本語・英語・中国語・韓国語の4カ国語対応とし、訪日外国人などに多くの情報を提供できるようにした。
「Greenmover APEX」の最高速度は60km/h(設計最高速度は80km/h)、加速度は3.5km/h/s、減速度は常用4.8km/h/s・非常時6km/h/s。最小曲線半径18m、最急勾配7%。運転台は正面のパネルに主要な機器や画面を収め、すっきりと見やすいコンソールとした。角度をつけて視認性を高め、安全性も向上させているという。
3月14日から5201号(5201A-5201C-5201E-5201D-5201B)が営業運転開始することになり、広電宮島口駅の1番ホームにて出発式が行われた。広島電鉄代表取締役社長の椋田昌夫氏、広島県知事の湯崎英彦氏、広島市長の松井一實氏らが出発式に出席し、椋田社長は挨拶の中で、「Greenmover APEX」について「広島の街に新しい時代の電車を走らせてみたいと思い、いままでとデザインを変えています。この電車を走らせることで、宮島線の約8割が低床電車になります」と説明した。
その後、出席者によるテープカットと運転士・車掌への花束贈呈が行われ、閉会後は閉会後には出発式に参加した関係者を対象に貸切運行を実施。宮島線の広電宮島口駅から広電西広島駅まで走行した。5201号は3月14日の午後から営業運転に入っている。
広島電鉄の新型車両5200形「Greenmover APEX」。出発式の後に貸切運行。広電宮島口駅を発車してからの様子を動画に撮ってみました。#鉄道 #鉄道ニュース #電車 #路面電車 #新型車両 #広島電鉄 #5200形 #GreenmoverAPEX pic.twitter.com/8MQQJofiL3
— 【公式】マイナビニュース 鉄道 (@tetsudomynavi) 2019年3月14日
新型車両5200形「Greenmover APEX」は2編成導入され、5201号に続き、3月末には5202号が営業運転を開始する予定となっている。現在、宮島線の車両は17編成を基本としており、うち12編成が低床電車。新型車両2編成の導入により、宮島線の車両は17編成中14編成(約82%)が低床電車になるという。これにともない車両の置換えが予定されているが、どの編成を置き換えるかは現在検討中とのことだった。
なお、広島電鉄は新型車両のデビューを記念し、「Greenmover APEX 誕生記念乗車券」(販売枚数5,200セット)をはじめ、「Greenmover APEX」グッズとしてクリアファイル、ネクタイピン、ペーパークラフト、ダンボールキット、ボールペン、キーホルダー、とことこぬいぐるみを発売する。