東芝インフラシステムズは14日、JR西日本の新型車両227系1000番台向けに3.3kV All-SiC(シリコンカーバイド)素子を適用した車両制御装置をはじめ、主電動機、デジタル伝送装置、空調装置などの電気品を納入したと発表した。
車両制御装置は、2台の主電動機を駆動するVVVFインバーター装置と、空調などのサービス機器および制御機器に電源を供給する補助電源装置で構成され、JR西日本にはこれまで321系や225系などの車両向けに納入してきた。227系1000番台では、VVVFインバーター装置の素子として従来のSi(シリコン)に代わりSiCを用いている。
All-SiC素子は高温での動作が可能であり、導通損失とスイッチング損失が少ないなどの特徴がある。これらの特徴を生かした制御により、システムの高効率化を実現したほか、主電動機には高効率、省メンテナンス、低騒音の全閉式かご形三相誘導電動機を用いている。これらの製品を搭載した227系1000番台は3月16日、和歌山線・桜井線(万葉まほろば線)などで運行を開始する予定となっている。
東芝グループは、All-SiC素子をはじめとしたパワーエレクトロニクス領域を成長事業と位置づけており、SiC素子は鉄道システムの省エネ化および装置の小型軽量化に貢献できることから、今後の市場拡大が期待されているという。