東京・原宿に、サムスン電子ジャパンのブランドショップ「Galaxy Harajuku」がオープンしました。一般公開は3月13日からで、地上6階、地下1階という大規模ショップとなっています。外観にはデザイナーの吉岡徳仁氏を起用し、1,000台のGalaxy Note9が電飾として外壁を彩る大胆なデザインです。
オープニングイベントには、韓国Samsungのモバイル部門トップ、DJ Koh氏も来日。東京五輪の500日前というタイミングでオープンすることに対して、オフィシャルスポンサーとしてのサムスンをアピール。
オープニングイベント後には、DJ Koh氏がメディアとのラウンドテーブルに応じ、Galaxy Harajukuや発表されたばかりのGalaxy S10シリーズ、Galaxy Foldなどについて詳細を語りました。
―― Galaxy Harajukuのようなショップは全国展開するのでしょうか。
DJ Koh氏:これまでも新製品の体験ブースは作ってきましたが、そうした体験空間は期間限定でした。そうしたブースを出してきたメリットはあったので、直接消費者の皆さまに触れて経験してもらいたいと、2年ぐらい前から準備をしていました。
DJ Koh氏:Galaxy Harajukuの効果があれば、日本の主要都市に拡大したいと考えていますが、具体的な計画があるわけではありません。今後の反応を見ながら決めていきたいと思います。
―― Galaxy HarajukuではGalaxy製品の修理も受け付けるということですね。
(Galaxy Harajukuでは、NTTドコモとauの担当者が修理を受け付け、Galaxyの修理自体はその場で行います。最短60分で修理するそうです)
DJ Koh氏:日本で初の試みとして、日本で購入したGalaxy以外にも、(外国人旅行者が)海外で購入した端末の修理にも対応することを想定しています(6月の対応に向けて準備を進めている、との補足)。東京・原宿を選定したのは、(外国人旅行者が多いことから)グローバルからの顧客を想定したためです。
DJ Koh氏:こうした取り組みは今後様子を見てグローバルにも広げていく計画です。
(Galaxy Harajukuの取り組みを通じて、世界のGalaxyショップでも、海外で購入した端末の修理に対応することを想定。日本で買ったGalaxyが海外で故障しても、現地で修理できるようにすることを目指している、との補足)
―― Galaxy Foldの狙いを教えてください。
DJ Koh氏:Galaxy Foldは、ディスプレイの開発を含めると8~9年ぐらい前から始まったプロジェクトです。2018年10月に、Developer Conferenceで発表したのがGalaxy Foldです。このデバイスは(折りたたみという)新しいフォームファクタであり、4:3というアスペクト比を実際に利用するためには、サードパーティーの開発者がコンセプトを知らないと開発ができないと考えたからです。
特に、同時に3つのアプリを起動できるコンセプトは、1年前からGoogleと協力してきたものです。一般的に、フォームファクタをDeveloper Conferenceと(製品発表の場である)Unpackedで繰り返し発表する必要はないのですが、Foldは開発者向け、消費者・パートナー向けと発表を重ねました。
―― 折りたたみというのは今後主流になるのでしょうか。
DJ Koh氏:Samusungは、ノート型のGalaxy Noteを初めて開発したメーカーです。Noteを開発した背景ですが、初代Galaxy Noteを発売した10年前は3.8~4インチぐらいのスマートフォンが主流でした。それを、もっと大きな画面、もっと没入感のある体験を提供し、さらにペンを追加することで、スマートフォンの新しい進化とともに、新しいカテゴリを創造できると考えて製品化しました。
Galaxy Noteのペンは日本のワコムと共同で開発して作り上げました。その後はGalaxy Noteが、大画面をメインストリームにする決定的なきっかけになりました。Noteを発売してから、多くのメーカーが大画面化を図ってきました。
人が手に持って使えるスマートフォンのサイズは、最大で6~7インチだと考えています。そのため、より大きな画面を提供するためにはどうするべきか、折りたたむしかないと考えました。
折りたたみを実現するには多くの技術が必要でした。バッテリー関連、ヒンジのメカニズム、ディスプレイを20万回、30万回開閉しても問題ないような技術など、乗り越えなければならない課題がいくつもありました。
アウトフォールド(山折り)も検討したのですが、やはりインフォールド(谷折り)が正しい方向性だと考えて最終的にこの形にしました。
なぜ谷折りにしたのかという質問をたびたび受けます。詳細な説明もありますが、まずはなぜ、2000年前に発明された本というものが内側に折り曲げる形になっているのか、という指摘をしたいと思います。
折りたたみがメインストリームになるのかについては、実はもう少し技術的な革新が必要だと考えています。メインストリームというよりも、折りたたみを好むお客さまがいるはず、ということです。
Galaxy Noteを発売して最初の3~4年間は、大画面のために購入したというお客さまがたくさんいました。Note8の段階では、ペンがあるから使う、というしっかりとした顧客層がグローバルの調査で確認できました。Galaxy Noteにペンがないというのは、韓国人が食事にキムチがないのと同じことを感じる、という声を聞いたことがあります。
―― ズバリ、Galaxy Foldは日本で発売しますか。
日本でGalaxy Foldを発売するために、キャリアと話し合いはしています。ただ、物量はグローバル全体で限られているので、全世界のキャリアに提供できるわけではありません。2019年内に導入したいとは希望しています。
―― フラッグシップモデルとして、従来とは異なりGalaxy S10eが用意されました。
フラッグシップを発表すると聞いて、従来通りのGalaxy S10と(より大画面の)S10+を発表すると考えられていたと思います。しかし、Galaxy SシリーズではS8からエッジスクリーンを採用して、欧州などからフラットディスプレイのモデルはないのかという問い合わせが続いていました。
さらに、女性を中心にもう少し小さい端末を求める声があり、加えてフラッグシップの機能を持ちながら、少し仕様を落としてもっと買いやすい価格で提供できないか、という声もありました。
こうした消費者の要望に耳を傾けた結果、市場に対する回答として提供したのがS10eです。
―― S10、S10+、S10e、Foldと、フラッグシップのラインナップが増えています。今後の展開はどうなっていくのでしょう。
消費者のニーズはいっそう多様化、高度化しています。韓国や北米などではGalaxy S10 5Gも発売しました。さまざまな要求にすべて対応するのは、正直大変ではあります。しかし、消費者に愛される製品、信頼されるブランドになるには、市場の声に迅速に対応することが必要なのです。
ただ、Galaxy Noteは、一つのフォームファクタに統合することも考慮しています。例えばGalaxy Foldにペンを入れれば、自然にNote化します。しかし、現在の技術では難しい点が多々あり、検討しているだけで決定はしていません。
―― 日本では完全分離モデルの料金体系が導入されようとしています。
料金分離については、韓国ですでに経験しています(韓国の分離プランは、キャリアから端末を購入する場合、補助金ありとなしを選べる)。日本では、新しい料金プランについてキャリアが悩んでいる、という認識です。
制度の内容によっては影響が出るかもしれませんが、端末の完成度が高く、生活に必要となって、革新的で最高の経験を感じてもらえるような製品を作れれば、(端末価格を問わずに)消費者に受け入れてもらえると思います。
韓国でも、(3月8日の)Galaxy S10発売でSIMフリーの反応が良かったので、消費者の選択肢を広げることができる制度と感じています。
―― 日本でのミッドレンジ端末の戦略は。
日本市場は、これからもフラッグシップモデルで挑戦し続けたい市場です。ミッドレンジ端末として、パートナー(キャリア)が「長持ちバッテリーでミッドレンジの価格帯の製品なら日本の消費者が必ず喜んでくれる」ということで、(Galaxy Feelのような端末を)提供していましたが、特にパートナーの料金制度と掛け合わせて良い反応でした。ミッドレンジ市場に進出するというより、パートナーの声や消費者の声を聞くことが優先です。
まだ、日本にはフィーチャーフォンのユーザーが多くいるとキャリアから聞いています。そうしたユーザーが無理なくスマートフォンを使えるか、といったユーザビリティを考えていて、いかにスムーズに移行できるかをパートナーと議論しています。
―― ありがとうございました。