トヨタ自動車はキングコング・西野亮廣さんとコラボレーションし、高級セダン「クラウン」にオリジナルデザインを施した。西野さんが“ナポレオンの帽子”をイメージしてデザインした「ニシノクラウン」は、2019年3月12日~3月17日まで、表参道ヒルズおよびソーカルリンクギャラリー(東京都渋谷区)にて公開される。

トヨタ自動車の東京本社でお披露目された「ニシノクラウン」とキングコングの西野さん。左端はトヨタ自動車・第2国内販売部長の杉浦宏哉(すぎうら・こうや)氏

「クラウン」の保守的なイメージを変えたい

クラウンは1955年に誕生したトヨタの高級セダン。2018年6月26日に発売となった新型で15代目となる歴史あるクルマだが、現行モデル発売時の情報によれば、ユーザーの平均年齢は65歳と高く、保有台数自体も以前のモデルと比べると減少傾向にあったという。

日本自動車販売協会連合会の統計で確認すると、クラウンの販売台数は2018年(暦年)で計5万324台。同年上半期(1~6月)が計1万2,344台となっているので、現行型クラウンの発売後、販売には勢いが付いているようだ。

そんな状況の中、西野さんとのコラボを企画したトヨタには、どのような意図があったのだろうか。同社第2国内販売部長の杉浦氏は、「クラウンに保守的なイメージを持っている人がいるとしたら、そのイメージを変えていきたい」と話す。

西野さんが調べたところによると、クラウンユーザーはクラウンの「走行性」と「燃費」を評価していたそう。「クラウンには2つの武器がある」と感じた西野さんは、2本の角を持つ伝説上の生き物「バイコーン」を連想し、ナポレオン・ボナパルトの「二角帽子」にまでイメージを広げ、紺色と金色のカラーリングに決めたという

杉浦氏によれば、歴代クラウンは「『日本初』や『世界初』など、いろんなことに挑戦してきた」クルマであり、「革新しようとしてきたこと自体がクラウンの歴史」だそう。約2万2,000人の会員を抱える日本最大のオンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」を主催しているほか、絵本作家、ホテル開発、ビジネス書の執筆など、常に新しいことにチャレンジしている西野さんであれば、「クラウンの革新性をうまく表現してくれる」と考えたという。今回のプロジェクトを通じ、「これまでクラウンと接点がなかった人にもクラウンを知ってもらい、実際に乗ってもらえれば」と杉浦氏は期待を込める。ちなみに、このカラーリングのクラウンを販売する計画はないという。

2018年6月に発売となった15代目「クラウン」

西野さんが発表会で公約したところによると、表参道ヒルズおよびソーカルリンクギャラリーでの展示期間中、ニシノクラウンを撮影し、ハッシュタグ「ニシノクラウン」を付けてインスタグラムに投稿すれば、西野さん本人が「いいね!」を付けてくれるとのこと。件数によっては大変な作業になりそうだが、こんなことでもなければ「クラウン」を見に出掛けることはない、というインスタユーザーもいると思われるので、キャンペーンとしては悪くないかもしれない。

(藤田真吾)