『ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2019』のオープニングセレモニーが7日に北海道・夕張市内で行われ、ファンタスティック・オフシアター・コンペティション部門の審査委員長を務める白石和彌監督が登場した。

  • 白石和彌監督

同映画祭は北海道・夕張市にて行われるリゾート型映画祭で、今年で29回目を迎え、3月7日~10日に開催される。夕張市内5会場で120以上の作品の上映が行われる予定だ。

開会に際して、エグゼクティブプロデューサー ・深津修一氏は、夕張について「年々インフラが劣化しているんです。会場を変えざるを得ない。悩みながら、人もいない、お金もない、ものもないというすごい過酷な状況の中でなんとか続けていきたいと思っている」と明かす。「北海道のお客さんには『冬の夕張なんか行きたくないよ』ってボロクソに言われて」と苦笑しつつも「来年30回目を迎えます。開催時期を夏に変更します。冬の映画祭は今回が最後ということになります。最後の冬の映画祭を皆さんと楽しんで、記録に残る映画祭にしたいなと思っています」と語りかけた。

また白石監督は「一つだけ、苦言を言っていいですか」と前置き、「OPのキム・ギドク監督の映画、映画人であれば知っている通り、監督は大きな過ちをしていることがわかっていて」と、現在同監督が女優から暴行被害で訴えられていることについて触れる。

「決して上映の是非などを言うつもりはないんですけど、どうしてそれを上映するのかは、映画祭として公式にコメントを出すべきだと思いました」と真摯に提言。「来年からより形を変えて大きく、国際的な『世界で一番楽しい映画祭』を標榜していくのであれば、そういう問題ともちゃんと向き合って、例えばシンポジウムをするなどして、映画界にある問題を話し合うのも、映画祭の役割としてあると思う」「より大きな映画祭にするには、ちゃんと向き合うことだと思いました」と語った。

真剣に訴えた白石監督だが、話を終えると柔らかな表情で、「冬に開催する最後の映画祭ということなので、来年から『やっぱり冬が良かったよね』と言われるように、ここにいるメンバーと一緒に伝説になるように盛り上がっていきましょう」とメッセージを送った。