住信SBIネット銀行 システム開発第2部 部長 相川真一氏

続いて、住信SBIネット銀行 システム開発第2部 部長の相川真一氏が、同社のOracle DatabaseのAWSへの移行について説明した。

同行では、2012年から部分的にクラウドの利用を開始し、2017年に全面的なクラウド移行を決定し、2020年のクラウドネイティブ化を目指し、現在は移行作業が進められているところだ。

現在、データベースの移行が進められているのは「インターネットバンキングシステム」「事務処理システム」「外貨システム」だという。「インターネットバンキングシステム」はAmazon Aurora PostgreSQLを採用し、2020年3月に稼働予定だ。「事務処理システム」もAmazon Aurora PostgreSQLを採用し、稼働は2019年10月を予定している。「外貨システム」はAmazon Aurora MySQLを採用し、2019年12月に稼働予定だ。

これら3システムにおいて移行先のAWSのデータベースが異なるのは、元のデータベースが異なるからだ。相川氏によると、Oracle Databaseの移行はAmazon Aurora PostgreSQLのほうがコストが安く、外貨システムのデータベースはOracle製品ではなく、Amazon Aurora MySQLのほうがコストが安かったという。

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相川氏は、インターネットバンキングシステムにおいて、Amazon AuroraとOracle Databaseを比較した結果を紹介した。

性能については、Oracleと比べ、Amazon Auroraはピーク時のスループットが50%向上することが可能であることが確認された。コストについては、両データベースのランニングコストを比較したが、Amazon Auroraにおいて約83%の低減が可能であることが確認された。

Oracle DatabaseをAmazon Auroraに移行するとなると、そのコストはかかるが、それを加味しても、運用から3年でコストメリットを出せるという。相川氏は「Oracleからの移行コストは結構な金額だが、それでもランニングコストの低減を考えると、3年間の運用でカバーできる」と語った。

予備検討において、SQLの互換性を調べたところ、自動変換が可能であったものは62%だったが、62%のオブジェクトについても一部修正が必要なものがあったという。予備検討の評価は3カ月で済ませることができたが、相川氏は「3カ月で終わったのは、AWSのアジリティがあったから」と語っていた。

  • インターネットバンキングシステムにおけるAmazon AuroraとOracle Databaseの比較

  • インターネットバンキングシステムにおけるAmazon AuroraとOracle Databaseの評価