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【この記事のエキスパート】
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート:石関 華子
埼玉県出身、高知県在住。一児の母。慶應義塾大学文学部仏文科卒。三越日本橋本店の洋酒担当を経てワインやビール、ウィスキーなどの洋酒全般の知識を培い、2016年、J.S.Aワインエキスパートの資格を取得。
現在はOffice Le Lionの代表として、高知県内のワイナリーのアドバイザーやワイン検定の講師を務める一方、ワインに関連する記事やコラム等の執筆も多数手がけています。2019年、日本ソムリエ協会高知支部副支部長に就任。
「デザートワイン」は飲みやすい極甘口ワインのこと。デザート代わりにもなるワインです。カルディや成城石井などのスーパーでも見かけます。この記事では、デザートワインの選び方とおすすめの商品をユーザー、エキスパート、編集部の視点からそれぞれ厳選してご紹介します。
世界一甘いワイン!?
デザートワインとは?
【エキスパートのコメント】
デザートワインには明確な定義がありません。ただ、一般的にはデザートと一緒に飲まれる、もしくはデザート代わりに飲まれる甘口ワインのことをデザートワインと呼ぶことが多いです。
甘口ワインには、さまざまな製法がありますが、安価で買える甘口ワインのほとんどは、加糖することで甘みが付けられています。安定した甘さではありますが、ブドウ本来の甘さとは異なるものです。ブドウ自体の甘みを活かして造られた甘口ワインには、大きく分けて「貴腐ワイン」と「アイスワイン」があります。
貴腐ワインやアイスワインなど
デザートワインの選び方
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートの石関華子さんのアドバイスをもとに、デザートワインの選び方を紹介します。ポイントは下記の4つ。
【1】製法(貴腐ワイン、アイスワインなど)
【2】ブドウ品種
【3】ワインの産地
【4】糖分添加があるかないか
上記の4つのポイントをおさえると、より具体的に自分好みのデザートワインを選ぶことができます。一つひとつ解説していきます。
貴腐ワイン、アイスワインなど
4種の製法で選ぶ
デザートワインの製法は、大きく4種類。「貴腐ワイン」「アイスワイン」「ストローワイン」「遅摘みワイン」があります。
貴腐ブドウからつくられた「貴腐ワイン」
【エキスパートのコメント】
貴腐ワインとは、貴腐菌によって糖度が高められたブドウから造られたワインのことです。一定の条件下でブドウに貴腐菌が付くと、水分が蒸発し、結果的に糖度の高いブドウになるのです。もちろん人体に有害な菌ではありません。貴腐ワインの特徴としては、上品かつ繊細な甘さや、独特の貴腐香と呼ばれる香りなどが挙げられます。
氷結したブドウからつくられる「アイスワイン」
アイスワインとは、ドイツのフランコニア地方で偶然生まれたデザートワインです。18世紀末、厳しい寒さにより凍ってしまったブドウでワインをつくってみたところ、非常に甘くおいしいワインができたのがはじまりとされています。現在では、ドイツのほか、オーストリア、カナダの3カ国でのみつくられています。
ブドウの収穫時期をあえて遅らせることで、極寒のなか氷結されたブドウ。その果実からは、うまみが凝縮された深い味わいの果汁をしぼることができます。こちらも希少価値が高く、貴腐ワインと比べるとさっぱりとした飲み口です。
長期保存もできる「ストローワイン」
ストローワインとは、干しぶどうから作られるワインで、完熟したブドウを藁のうえにのせて乾燥させ、糖分を凝縮させて作ります。ストローとは、「藁」の意味。乾燥したブドウからは水分が抜けるため、アルコール度数と糖度ともに高い、甘みの強いワインができます。長期保存できるものも多くあります。
フランスのジュラで造られる「ヴァン・ド・パイユ」、イタリアの「ヴィンサント」、キプロスの「コマンダリア」などがあります。
糖度、アルコール度数ともに高めの「遅摘みワイン」
遅摘みワインとは、ブドウの収穫時期を遅らせて作ったデザートワインです。完熟したブドウを摘まずにそのまま木につるしておくと、乾燥します。乾燥したブドウには糖分が凝縮されているので、とても甘いワインができます。
うまみ成分が凝縮されているので、アルコール度数が高いワインが多いのも特徴です。黒ブドウからも白ブドウからも作られています。フランスのアルザス地方やスペイン、ドイツ、アメリカのニューヨークやワシントン、チリでおもに製造されています。
世界にはたくさんの品種が!
ブドウ品種をチェック
ワインの味わいは、使われているブドウ品種によっても異なります。たとえば、フランスのボルドー地方やロワール地方でつくられる白ワイン用ブドウ品種の「ソーヴィニヨン・ブラン」は、柑橘系の香りとさわやかな酸味が特徴。ドイツを代表する白ワイン用ブドウ品種の「リースリング」は、上品な酸味とはちみつなどの甘い香りが魅力です。好みの品種を見つけてみるといいでしょう。
ブドウの収穫時期も製法によって異なる
一般的なブドウの収穫時期は9月から10月にかけてです。デザートワインは、製法によりブドウの収穫時期も異なります。
貴腐ワインは天候によるものの、一般的なブドウより少し遅めの10月下旬もしくは11月初旬ごろまでのよう。アイスワイン用のブドウの収穫時期は、寒くなった12月から2月ごろとされています。
有名な産地はどこ?
世界中のワイン産地からお気に入りを選ぼう
デザートワインには、著名な産地もあります。産地にも注目してデザートワインを選んでみましょう。
世界三大貴腐ワインの産地
フランス:ソルテーヌ地方
世界三大貴腐ワインの産地であるフランスのソーテルヌは、ソーテルヌ地区のソーテルヌ村を中心とした5つの村で形成される地区です。ソーテルヌの貴腐ワインは、法定最低値13%の高いアルコール度数と、強い甘み、さらに新樽熟成と貴腐によって作り出される香りがあいまって、複雑な味わいが楽しめます。
フランスの甘口ワインではもっとも高いランクであるソーテルヌ産ワインを、ぜひ試してみましょう。
糖度が高くアルコール度数が低い
ドイツ:ラインガウ地方やモーゼル地方
ドイツでは世界三大貴腐ワインのひとつであるトロッケンベーレンアウスレーゼをはじめ、いろいろなデザートワインが造られています。
トロッケンベーレンアウスレーゼはドイツのワイン格付けのひとつで、貴腐ブドウで造られた極甘口ワインのなかでも、もっとも高級なものを指します。とくに南西部にあるラインガウ地方とモーゼル地方で造られたものが著名で、強い甘さと低いアルコール度数が特徴です。
貴腐ワインが有名
ハンガリー:トカイ地方
ハンガリー北東部に位置するトカイで造られる貴腐ワインは、世界三大貴腐ワインのひとつです。トカイのヘジャリヤ地方で造られている甘口ワインは、アスーという品質区分によって分けられています。もっともランクの高い貴腐ブドウのみで造られたナトゥールエッセンシアをはじめ、いろいろな貴腐ワインがあります。
最低残糖分や最低熟成年数によってアスー5プットニョシュ、アスー6プットニョシュ、アスーエッセンシアのランクに分かれ、貴腐ブドウ以外のブドウも使った貴腐ワインも多くあります。
管理下で作られたアイスワインが楽しめる
カナダ:オンタリオ州やブリティッシュ・コロンビア州
アイスワインづくりが認められている国はドイツ、オーストリア、カナダのみです。そのなかでもカナダは、世界一アイスワインがつくられている国で、とくにオンタリオ州やブリティッシュ・コロンビア州がアイスワインの産地として有名です。
カナダでは政府が「自然に凍ったブドウを使ったもののみ、アイスワインとして販売できる」と規制されています。また、味や原産地などが認められたワインにつけられる、VQAマークがあります。
国産も負けてない!
日本:山梨県
日本でも国産の貴腐ワインがつくられていることは、まだあまり知られていません。
日本で貴腐ワインがつくられるようになったのは、1975年のこと。大手メーカーが所有する山梨県のワイナリーで偶然貴腐ブドウができたため、これを醸造したのがはじまりとされています。
その貴腐ワインは海外でもよい評価を受け、さまざまな賞を受賞したことから、「G7伊勢志摩サミット」において各国首脳にデザートワインとしてふるまわれました。現在は、先述の大手メーカー以外のワイナリーでも貴腐ワインがつくられています。
甘さの質が変わる
糖分添加があるかないかチェックしよう
デザートワインには、ブドウ自体の甘みを活かして造られたワインと、加糖することで甘みを出しているワインがあります。
糖類を添加してつくられたデザートワインは、甘みが強く、ワインを飲みなれていない人でも飲みやすいのが特徴。価格も、糖類を添加していないものより値段が安いので、購入しやすいです。
一方、糖類を添加せずにつくられたデザートワインは、ブドウ本来の甘さが楽しめます。ブドウのもつかすかな渋みや酸味も感じられるので、より複雑な味わいです。
選び方のポイントはここまで! では実際にエキスパートが選んだ商品は……(続きはこちら)