南海電気鉄道は2日、極楽橋駅にて高野山ケーブルカー(鋼索線)にデビューした新型車両の運行開始記念セレモニーを開催した。
高野山ケーブルカーは昨年11月から車両および巻上機など諸設備の新造工事にともない運休。バスによる代行輸送を実施していた。3月1日から運行再開し、新型車両もデビュー。3月2日に行われたセレモニーでは、南海電気鉄道取締役社長兼CEOの遠北光彦氏が挨拶し、「新型車両のコンセプトは期待感、癒し、調和、安全、安心となっています」と述べた。新型車両の車体がスイスのキャビンメーカーであるCWA社製であることにも言及した。
総本山金剛峯寺座主、葛西光義氏も新型車両に対する期待感を示し、「世界中からお見えくださる方々に、法の喜びを感じていただけるものと心から確信します」と挨拶。その後、新型車両を前に総本山金剛峯寺による運行安全祈願も行われた。出席者によるテープカットやくす玉開披が行われ、多くの地元関係者らに見守られながら、新型車両は高野山駅へ出発した。
高野山ケーブルカーの4代目となる新型車両は、車体をスイスのCWA社が担当。ヨーロッパ風の流線型をベースとしつつ、高野山・壇上伽藍の根本大塔を思わせる朱色を基調としている。
新型車両で使用される朱色は、高野線の特急「こうや」をはじめ、「こうや花鉄道」(高野線橋本~極楽橋間の愛称)でおもに運行される「天空」などにも使われており、高野線全体で聖地・高野山への旅を醸成するという。外観は全体的にシンプルな印象を受けるが、車体の朱色が高野山の山中に映える。紅葉の時期になると、より沿線の風景とマッチするかもしれない。
車内は前面・側面ともに窓が大きく、高野山の風景を堪能できる。木目調のデザインや格子上の背もたれを採用するなど、あたたかみを感じさせる空間となった。座席は多客時の対応として折畳み収納式となっているが、乗車時には乗客が操作できないように固定されていた。扉の開口部は広がり、車いすにも対応。一部の扉横に車いすスペースも設けられている。
なお、1964(昭和39)年から活躍を続けてきた3代目ケーブルカーは2018年11月25日に引退。保存はされず、解体されるとのことだった。