毎年春恒例のカメラ展示会「CP+」が開幕しました。開幕直前に各社がフルサイズミラーレスを中心とする新製品を続々と発表したこともあり、昨年に続き盛り上がりを見せています。今年は、王者ソニーを追撃すべく各社が投入する高性能ミラーレスや、スマホには難しい撮影が手軽に楽しめる新趣向カメラに注目です。
フルサイズミラーレス、ソニー以外の動向にも注目
2月28日(木)~3月3日(日)の会期で「CP+2019」が開幕しました。本来は、5月から独ケルンにてカメラ展示会「フォトキナ」が開催される予定でしたが、2018年12月に急きょ開催の中止を表明。それもあって、各社とも今回のCP+に合わせて新製品を投入し、多くの魅力的な新製品が出ろそったといえます。
まず注目なのがフルサイズミラーレス。「α7 III」や「α9」などのヒットモデルを擁するソニーは、次期ファームウエアで提供されるリアルタイムトラッキング(α9)や、動物の認識にも対応するリアルタイム瞳AF(α9、α7R III)がいち早く撮影体験できる場を用意していました。一眼レフではほぼ不可能な技術ばかりで、「撮影性能重視でもミラーレス」の印象がいっそう強まりそうです。
αシリーズ関連では、国内外のレンズメーカーがフルサイズαに対応したEマウントの交換レンズを続々と発表したのが注目できます。αシリーズの好調ぶりを受け、ソニー以外のメーカーを巻き込んで関連アクセサリーが充実してきたのは好ましい流れといえます。「フルサイズミラーレスのスタンダード」というポジションをしばらく堅持しそうな印象を受けました。
とはいえ、今年はニコンやキヤノン、パナソニックなどからソニー追撃を狙うフルサイズミラーレスが続々と登場しており、昨年までの“一強”とは状況が変わってきています。特に、フルサイズミラーレスとしては意欲的な小型軽量化と低価格化を果たしたキヤノンの入門機「EOS RP」(3月14日発売)が注目の存在となりそうです。展示機を試していた人からは「思っていたよりも小さい。機能や装備も十分」という声が聞かれ、感触は上々のようでした。
かたや、プロやハイアマチュアを狙うLマウントのフルサイズミラーレスも、発売直前の製品がズラリ並んで試用できるので見逃せません。パナソニックの「LUMIX S1」「LUMIX S1R」(ともに3月23日発売)は、パナソニック独自の6Kフォト/4Kフォト、実に2億画素に迫るハイレゾモード、高精細表示のEVF、プロユースにも使える4K動画、速写性能など、αシリーズを上回る点が豊富。交換レンズも、サイズの小ささよりも描写性能を重視した高性能タイプを3種類そろえており、撮影性能重視のユーザーにとっては注目の存在といえます。
Lマウントでパナソニックやライカと連合を組むシグマは、会期の2日目と3日目、同社ブースで山木社長によるプレゼンテーションを実施します。「Lマウントシステムについて」「シグマのレンズ設計思想とミラーレス対応について」というお題しか明らかにされていませんが、シグマ製のフルサイズミラーレスのお披露目や、大三元ズームや超望遠ズームなどズームレンズのEマウント版など、待たれていた発表があるかもしれません。
スマホにはない個性派カメラの提案も
フルサイズミラーレス以外では、スマホでは難しい撮影が簡単にできるよう工夫した新機軸のカメラが存在感を放っていました。1インチセンサーの採用で高画質化を図ったリコーの360度カメラ「THETA Z1」、ジンバルの搭載でなめらかな動画が撮影できるDJIの小型動画カメラ「Osmo Pocket」などが人気でした。
これまでにない新趣向のカメラの試作品を数種類まとめて展示して来場者の注目を集めていたのがキヤノン。特にユニークだったのが、100mmと400mmの超望遠を光学的に切り替えて撮影できる「Multifunctional Telephoto Camera」。撮影をせず単眼鏡としても使える利便性や、スマホと接続して使える拡張性など、かわいらしいデザイン以外にも見どころがありました。外観やスペックなど仕様はまだ固まっていないものの、販売を前提に開発を進めているとのことです。