ふるさと納税利用者は要注意!税優遇が“指定自治体のみ”に!?

もうすっかりおなじみとなった「ふるさと納税」は、実質2000円の自己負担で、寄付した自治体から肉や米などの特産品がもらえる魅力的な制度。おトクな制度として人気も高く、利用したことがある人も少なくないでしょう。

しかし一方で、自治体間の過度な返礼品競争はたびたび問題視されてきました。そのため、ついに総務省は法規制に踏み切り、この度ふるさと納税制度の見直しが決定されました。2019年度に行うふるさと納税では、従来通りに行っていると、税優遇を受けられず単なる「寄付」で終わってしまう可能性も。

今回は、制度見直しの内容と注意しなくてはならないポイントについて解説していきます。ぜひともこの記事を参考にして、今年も楽しくおトクにふるさと納税を利用してください。

そもそもふるさと納税ってどんな制度?!

ふるさと納税とは、自治体への寄付制度のこと。好きな自治体を選んで寄付を行い所定の手続きをすることで、支払った住民税や所得税が戻ってくるうえに、肉・魚介類・米など、地域の特産品である「返礼品」がもらえる仕組みです。

個人が自治体に2000円を超える寄付をした際には、寄付額から2000円を引いた額が税金から控除されます。例えば3万円を寄付した場合には、そこから2000円を引いた2万8000円が控除されるのです。つまり、実質2000円の自己負担で寄付した自治体から肉や米などの特産品がもらえる、誰にとってもおトクな制度。それがふるさと納税です。

ただし年収・家族構成によって、「自分が2000円の自己負担で済む寄付金の上限額(控除上限額)」が決められており、上限額を超えた分については税控除の対象になりません。ふるさと納税ポータルサイト上で公開されているシミュレータを活用すれば、年収や扶養家族人数などを入力するだけで、自分の控除上限額を知ることができるので、この上限額を守って寄付を行うことが大切です。

もちろん、自分が応援したい自治体に少ない自己負担額で寄付ができる点も魅力です。各自治体はふるさと納税で集まった寄付金を、災害支援をはじめとした様々な用途に使用します。寄付者は寄付金の使い道を指定できるため、自分の税金がどのように使われているかが分かり、社会貢献の実感を得られます。きっかけは返礼品目的だったとしても、数年間ふるさと納税を続けていくうちに、段々と社会貢献の魅力に惹かれる人も多くいます。

このようにふるさと納税はおトクかつ楽しい制度です。もらいたい返礼品がある場合や、応援したい自治体がある場合は、活用しない手はないでしょう。

ふるさと納税制度見直しの注意点

平成31年度税制改正にて、ふるさと納税制度の見直しが発表されました。以前から問題となっていた過度な返礼品競争を規制する目的です。

新たな仕組みでは、自治体に対して以下の2つの規制が課せられました。

・返礼品は地場産品に限定
・調達費は寄付額の30%以下

以上2つの規制を破った自治体は、「指定自治体」の対象から除外されます。

ここで利用者側が注意したいのは、「来年6月1日以降、指定自治体から除外された違反自治体に寄付をしても税優遇を受けられなくなる」という点です。2018年12月27日に総務省は違反自治体のリストを公開しました。このリストのなかには人気自治体も多く含まれています。このリストはこれからも更新されていきますので、随時確認が必要となります。

今回の法規制が実施されるのは今年の6月から。つまりそれ以前は違反自治体への寄付も税優遇の対象となります。ただし激しい駆け込み寄付が予想されるので、注意が必要です。

今回の法規制により、ふるさと納税制度は転換期を迎えました。今後、制度内容に関してさらなる見直しがおこなわれることも考えられます。「せっかくふるさと納税したのに税優遇が受けられなかった…」といった悲劇にならないためにも、ニュースや違反自治体のリストなどを日頃からよくチェックし、常に新情報を仕入れるように心がけましょう。

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回遊舎

“金融”を専門とする編集・制作プロダクション。 お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術、」「J-REIT金メダル投資術」(株式会社秀和システム 著者酒井富士子)、「NISA120%活用術」(日本経済出版社)、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」(株式会社ダイヤモンド社)、「子育てで破産しないためのお金の本」(株式会社廣済堂出版)など。