どんな会社にも「資本金」というものがありますが、そもそもなぜ資本金が必要なのか、一体いくら必要なのかをご存知でしょうか。そこで今回は、「資本金」をテーマにお話ししたいと思います。

  • 「資本金」って何ですか? - 資本金からわかること【ビジネス用語】

    「資本金」って何ですか?

■資本金とは

資本金とは、会社が事業を始める際に株主などの出資者から受けた出資金を合計したものです。

会社を設立するには、登記費用から事務所の準備、デスクやパソコン、機械の購入など多くの設備投資を必要とします。さらに、スタッフの人件費や、仕入れを必要とするビジネスではそのお金も用意しておかなければなりません。

ビジネスがスタートし儲けが出れば、その利益で運営していけばよいのですが、一番初めはそうもいきませんね。経営者は、この資本金を元手に事業をスタートさせます。

■資本金はいくら必要?

2006年に会社法が改正されましたが、その内容をご存知でしょうか。それまで「株式会社の最低資本金は1,000万円以上、有限会社の最低資本金は300万円以上」とされていましたが、新会社法の施行後は「資本金1円から」会社を設立することができるようになりました。

資本金の金額に決まりはありませんが、当然のことながら、会社の規模や事業の内容によって自ずと差が生じます。たとえば、工場や産業用ロボットといった高額な設備投資を要する事業ではそれなりの資本金が必要ですが、事務所と電話、パソコンさえあればできるような小規模な会社であれば、資本金が少なくても事業を始めることは可能です。つまり、資本金1円の会社もあれば、何億円という会社もあるのです。

■資本金からわかること

前述のとおり、資本金の額は自由に決められますが、一度設定した資本金の額は、途中で増資・減資といった手続きを行わない限り、基本的に増減することはありません。

資本金は会社の業績とは関係のないもので、その企業が儲かっていても儲かっていなくても、資本金の額には影響しません。資本金5,000万円の会社が巨額の負債を抱えていても、資本金はあくまでも5,000万円ですし、資本金100万円の会社が大きな利益をあげていても、資本金は100万円のままです。

つまり、資本金からわかることは会社設立当初の規模であって、業績ではありません。会社の価値を資本金だけで判断しないよう、気を付けましょう。

■資本金が少ないと……

ここまでの話からすれば、無理して資本金を用意しなくてもいいと思うかもしれませんが、少ない資本金には、それなりのデメリットが伴います。

まず第一に、相手からの信用を得るのが難しいということです。確かに資本金だけからその企業の業績を推し量ることはできませんが、企業の規模や安定力の目安にはなります。また、それだけの資本金しか用意できなかった経営者の力のなさに不信感を抱く人もいるでしょう。故に、取り引きを申し出ても相手にされないこともあるのです。

第二に、金融機関から融資を受けられないという点です。儲かっている時はいいのですが、事業に失敗し、いざ金融機関から融資を受けようとしても、資本金の低さが信用にひびき、容易には貸してもらえません。

また、金融機関の多くは、融資額の上限に「資本金の2倍まで」などと一定の基準を設けています。資本金50万円で会社を設立した場合、途中で500万円借りよう思っても、100万円しか借りられません。つまり、資本金の金額によって借入額が違ってくるのです。

こういったデメリットを考えると、ある程度の資本金を用意した方がよいと言わざるを得ません。ただし、資本金が1,000万円を超えると、減税措置などの優遇が受けられなくなってしまいますので、会社の規模にもよりますが、その点も考慮して決めるようにした方がいいかもしれませんね。


資本金からわかることもあれば、資本金だけではわからないこともあります。大事なことは、会社を設立する時ではなく、現在の業績と実力、そして将来性ではないでしょうか。取引先や転職・就職先を検討する場合には、さまざまな情報をしっかりとチェックし、総合的に判断するようにしましょう。