いよいよ年度末。棋士たちが約10カ月を懸け昇級、名人挑戦権を争う第77期順位戦各級も、それぞれ1戦を残すのみとなっています。最終局が行われる3月を前に、5クラス各級における昇級争いの状況をおさらいしてみましょう(※カッコ内は各級における順位)。

最終局を待たずの昇級者も3者決定

最高クラスA級の挑戦権争いは豊島二冠(上)、羽生九段(下左)、広瀬竜王の3者に絞られた

A級

佐藤天彦名人への挑戦権を争うA級(各棋士9局、挑戦1人)は、豊島将之二冠(6)が7勝1敗でトップ。羽生善治九段(1)と広瀬章人竜王(3)が6勝2敗で追走しています。去年は過去最高、人によるプレーオフが行われましたが、今期の挑戦権争いはこの3棋士に絞られました。豊島二冠は勝てば挑戦権を獲得。敗れても、最終局で組まれている羽生九段―広瀬竜王戦の勝者とのプレーオフになります。

B級1組

B級1組(各棋士12局、昇級2人)は今期絶好調の渡辺明棋王(1)が昨年までの9勝0敗時点で昇級確定。その後も快走を続け現在11勝0敗、最終局には全勝昇級がかかります。2位集団は混戦模様で、7勝4敗の木村一基九段(5)、斎藤慎太郎王座(10)、6勝5敗の行方尚史八段(2)に昇級の可能性があります。最終戦の組み合わせは、渡辺棋王―斉藤王座、木村九段―行方八段。上位陣直接対決の図式となっています。

B級2組

B級2組(各棋士10局、昇級2人)は第4期叡王戦で挑戦者決定戦三番勝負に出場中の永瀬拓矢七段(21)が最終戦を残し9勝0敗で昇級確定。残りの1枠を8勝1敗の千田翔太六段(20)、7勝2敗の横山泰明六段(3)、大石直嗣七段(17)で争います。2月16日に行われた第12回朝日杯準決勝の舞台に立った千田六段は、自身が勝てば昇級となります。

C級1組

C級1組(各棋士10局、昇級2人)は8戦目まで全勝の杉本昌隆七段、藤井聡太七段による師弟同時昇級なるかで注目が集まりましたが、前局でそれぞれ競争相手の船江恒平六段、近藤誠也五段に敗れ、8勝1敗で4棋士が並ぶ状況となりました。近藤五段(6)、杉本七段(7)、船江六段(14)、藤井七段(31)の順に有利で、上位2棋士は自身が勝てば昇級です。7勝2敗で順位最上位の高崎一生六段(4)にもわずかながら昇級の可能性があります。

C級2組

C級2組(各棋士10局、昇級3人)はこのクラス11期目となる31歳、及川拓馬六段(25)が9勝0敗でうれしい昇級。残り2枠を争う戦いは混戦で、8勝1敗の佐藤和俊六段(14)は勝てば昇級となるのですが、敗れると自身より順位が上の7勝2敗勢が群れをなしているというまるで気の抜けない状況です。2敗勢の面々は石井健太郎五段(2)、佐々木大地四段(6)、阿部光瑠六段(11)、西田拓哉四段(12※8勝2敗で最終局は抜け番)、高見泰地叡王(13)。このクラス唯一のタイトルホルダー高見叡王は自身が勝って競争相手4人が全員敗れないと昇級できない、非常に厳しい状況となりました。

各級の最終局は3月1日にA級、5日にC級1組、7日にC級2組、13日にB級2組、14日にB級1組が一斉に行われます。